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耳硬化症



耳小骨の中で最も深部にある、あぶみ骨が動かなくなって難聴を来す疾患

耳(じ)硬化症とは、鼓膜の裏側の中耳にある3個の小さな骨である耳小骨の中で、最も深部にあって最も小さい、あぶみ骨が動きにくくなる疾患。

3個の耳小骨には鼓膜の振動を内耳に伝える役割があり、内耳へ通じる中耳の窓にはまり込んでいる、あぶみ骨の底板と周囲の骨が硬化して、あぶみ骨の可動性が損なわれると、伝音難聴を起こします。進行すると、感音難聴や混合難聴を起こします。

聴力が低下した状態である難聴のうち、音を聴神経へ伝える外耳、鼓膜、中耳に障害が生じたために起こるのが伝音難聴、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こるのが感音難聴、伝音難聴と感音難聴の両方の特徴を併せ持っているのが混合難聴です。

耳硬化症を発症する原因はいまだに不明ですが、遺伝的要因があり、東洋人や黒人より白人に多い疾患です。女性に多くみられ、妊娠や出産を切っ掛けに難聴が悪化することもあるため、ホルモンの影響も考えられています。

日本人では、難聴自覚年齢が30歳ころ、医療機関を受診し診断が付く年齢が40歳ころにピークがあります。難聴は、両側の耳に起こることが多く、片側だけの耳に起こることもあります。両側の耳に起こったケースでは、難聴の進行程度が左右で異なることもあります。ある難聴のレベルに達すると、日常生活にも大きな支障を来すことになります。

約7割では、耳鳴りを伴い、約3割では、耳がふさがったように感じる耳閉塞(へいそく)感を伴い、約1割では、めまいを経験しています。

思春期以降に発症する進行性伝音難聴で、鼓膜が正常であれば、耳硬化症の可能性が高くなります。しかし、日本人では、全耳疾患の1パーセント程度と発症率が低いことから、耳硬化症という疾患名の知名度も低く、正確な診断がなされずに、補聴器装用などで対応されていることも少なくありません。

耳硬化症はあぶみ骨の手術により高い率で聴力の改善が得られる一方で、内耳障害によって聴覚を喪失する可能性もあるので、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診します。

耳硬化症の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、症状と問診、聴力検査で容易に判断できます。

聴力検査を行うと、気導聴力が低下しており、骨導聴力が正常かやや低下した程度の伝音難聴、または混合難聴があります。ただし、病変が内耳にまで波及すると、感音難聴となります。

そのほか、鼓膜の動きの程度を調べるティンパノメトリー検査や、側頭骨CT(コンピューター断層撮影)検査を行うこともあります。ティンパノメトリー検査では、あぶみ骨筋反射の消失などの特有なパターンを示します。側頭骨CT(コンピュータ断層撮影)検査では、耳硬化症の病変はあまりはっきりしないことが多いものの、ほかの耳小骨の固着や発育不全が原因の難聴を確認できます。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、通常、あぶみ骨切除術か、あぶみ骨小開窓術という手術を行います。どちらの手術も、局所麻酔で行えますが、手術後、数日間はめまいが起こることがあるので、短期間の入院、安静が必要となります。

手術後10日目ごろから聴力が徐々に回復し、耳鳴りも消失することが多いようです。ただし、術後数カ月間、舌の味覚異常が続くこともあります。

手術を望まない場合は、補聴器の装用で聴力を補うこともできます。

内耳障害によって聴覚を喪失して、聾(ろう)になる可能性がある場合は、セラミクス人工耳小骨を埋め込む手術を行います。埋め込んだ人工耳小骨は、一生使えるので取り換える必要はありません。

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