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すじ爪



爪の甲の表面に縦方向、または横方向の線や溝が入っている状態

すじ爪(つめ)とは、爪の甲の表面に縦方向、または横方向の線や溝が入っている状態。

縦方向の線や溝が入っている状態は、爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)ともいいます。横方向の線や溝が入っている状態は、爪甲横溝(そうこうおうこう)ともいいます。

手指や足指の爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入る爪甲縦条は、誰にでも認められるもので、10歳代、20歳代ではほとんど目立ちません。老化現象の一つとして、加齢とともに滑らかだった爪の甲の表面に線や溝が目立つようになり、40歳以上ではすべての爪の甲に100パーセント現れ、50歳代くらいからは増加します。年齢によって、縦方向の線や溝の数も隆起の程度も異なります。

加齢とともに縦方向の線や溝が増える原因は、胃腸の働きが衰え始めるとともに、爪に十分に栄養素がゆき届かなくなるためです。特に亜鉛不足の場合は、線や溝が現れやすくなります。

若い人でも、食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合は、爪に線や溝が現れます。妊娠を切っ掛けに、線や溝が現れることもあります。

また、冬の季節に空気が乾燥すると、爪も肌と同じように乾燥し、線や溝が現れやすくなります。また、季節を問わず乾燥肌の人は、爪にも線や溝が現れやすくなります。

さらに、若い人でも、血液循環が悪い場合は、爪に線や溝が現れやすくなります。

高熱が出た時に爪に線や溝が現れることもあり、精神的ストレス、不規則な生活習慣が原因で、爪に線や溝が現れることもあります。

すじ爪になって、爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入っている爪甲縦条になっても、老化現象の一つであったり、疾患のサインではなく健康上の問題はない場合がほとんどですので、心配することはありません。

一方、手指や足指の爪の甲の表面に横方向の線や溝が入る爪甲横溝は、爪甲縦条と違って、何らかの体の異常のサインであり健康上に問題がある場合もあるので、注意が必要です。

爪の甲に横に走る水平の線や溝、波打った線や溝ができるのは、爪の発育を抑えるような障害が爪を作り出す爪母に作用するためで、その障害の強さや期間によって深さや幅が変わってきます。非常に障害が強く加わると深くなり、期間が長くなると幅が広くなります。

初めに、爪半月(つめはんげつ)の外側の辺りに横方向の線や溝が現れ、爪の発育とともに先端に移動してゆきます。この線や溝は爪母に障害が加わってできるものですから、現れるのは障害が加わってから数週間後です。現在できている横溝の位置から、いつごろ障害が起こったのか推測することは簡単です。

爪は1カ月で3~4ミリのスピードで伸びていくため、爪の根元から3ミリくらいのところに線や溝が入っているとしたら、1カ月ほど前に何らかの体調の変化が現れたということになります。また、1本の爪に線や溝が2~3本同時に見られる場合は、正常な期間をおいて繰り返し障害が加わったと考えらます。

もしも、爪の線や溝ができる原因が全身性疾患によるのものであるなら、すべての爪の同じ場所に変化が見られます。一部の爪の変化の時は、爪母近くの皮膚の病変の影響が考えられます。 また、爪の根元にけがをしたり、マニキュアや薬剤によって爪母を傷付けた時に変化が見られることもあり、この時は爪の甲が凸凹になる場合もあります。

爪の線や溝が生じる原因となる全身性疾患としては、急性熱性疾患のほか、尿毒症、糖尿病、ビタミンA欠乏症、低カルシウム血症、亜鉛欠乏症などの慢性疾患が挙げられます。皮膚の疾患としては、湿疹(しっしん)、皮膚炎、円形脱毛症、乾癬(かんせん)などが挙げられます。

さまざま原因がある中で、最も多いのは高熱で発病して、1~2週間で治るチフス、猩紅(しょうこう)熱などの感染症や、中毒の場合です。慢性疾患では代謝異常による疾患が多く、疾患が一時的に悪化した後に現れ、線や溝は浅く幅が広いのを特徴とします。

皮膚の疾患で最も多いのは、手の湿疹。手の湿疹の大部分は水仕事の多い主婦によくみられて、治りにくい慢性的な湿疹であり、爪の周辺の病変が急激に悪化して爪母にまで広がった場合に、線や溝が生じます。これと同様な症状で、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)やカンジタ菌による爪囲炎の時にも生じ、いずれも爪周辺の疾患が治れば自然に消えて行きます。円形脱毛症や乾癬の時には、点状のへこみと同時に線や溝も現れることがあります。

また、レイノー症状に伴って、線や溝が現れることもあります。手が冷たい水や風に触れた時に、指が白くなる現象がレイノー症状であり、若い女性に多くみられて、指の小さな動脈が一時的に狭くなって血液が流れにくくなるために起こります。指先に血液がゆかなくなると、爪の発育の障害になり、それが強く起こると線や溝が現れます。何度も繰り返してレイノー症状が起こると、一枚の爪に何本もの線や溝ができることもあります。

爪の甲の表面に横方向の線や溝が入る爪甲横溝は、体に異常が出ているシグナルかもしれません。すべての爪の同じ場所に変化が見られたり、1本の爪に線や溝が2~3本同時に見られる場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。<

すじ爪の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪甲横溝を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査します。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、原因に応じて行います。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。

爪を作り出している爪母の損傷が原因で爪甲横溝を来している場合は、現在の医療では手当できないとされています。

栄養素不足が原因の場合は、まずは蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養をしっかり摂取します。

マニキュア、薬剤、あるいは水仕事などが原因であれば、極力それらの使用を中止したり、使う機会を減らします。爪への負担が減るため、多くのケースでは自然に治ります。仕事などでどうしても薬剤、水、洗剤などを使わなくてはいけない場合は、手を保護するものを着用したり、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行います。

爪の末梢循環不全が原因であれば、ステロイド剤を配合した塗り薬をこまめに塗ったり、末梢血管の収縮を防ぐビタミンEの飲み薬を内服します。医師による治療と並行して、血液循環をよくするために日ごろから、手足のマッサージ、爪もみを心掛けます。

一部の爪に爪甲横溝がみられる皮膚疾患があれば、その治療を行います。すべての爪に爪甲横溝がみられる全身性疾患があれば、その治療を行います。

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