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爪甲下角質増殖症



爪床側の角質の成長異常により、爪の甲が押し上げられるとともに、厚くなる状態

爪甲下(そうこうか)角質増殖症とは、爪(つめ)の先端にある爪床側の角質部分の不全角化という成長異常によって、爪の甲が爪床から押し上げられるとともに、押し上げられた爪の甲が厚くなる状態。

爪床と爪の甲の間には、もろくなった爪が角質塊という粉となって充満します。

爪甲下角質増殖症の多くは、爪や指先に受けた外傷や、爪の水虫(爪白癬〔はくせん〕)、乾癬(かんせん)、指先の湿疹(しっしん)などの皮膚病に伴う爪の二次的な変化として生じます。ごくまれに、先天性ないし遺伝性の爪甲下角質増殖症をみることもあります。

また、爪甲下角質増殖症単独ではなく、爪の甲が爪床からはがれる爪甲剥離(はくり)症や、爪の甲の先端あるいは全体がスプーン状にへこむ匙状(さじじょう)爪(スプーンネイル)を併発することも少なくありません。爪甲剥離症や匙状爪を併発する場合、何かの病気が原因になっていることがほとんどです。

爪の水虫に伴う爪甲下角質増殖症は、最も一般的にみられるもので、著しい爪甲下角質増殖を呈します。足の親指の爪に生じることが多く、爪甲表面には爪の水虫の特徴の一つである白い濁りを認めます。

乾癬に伴う爪甲下角質増殖症は、爪の水虫と似た症状が現れ、爪甲が白濁化して、悪化すると表面がはがれ落ちます。爪の周囲に乾癬による皮膚病変を認め、頭部、腰部、下腿(かたい)前面などの好発部位にも、乾癬特有の皮膚病変を認めます。

指先の湿疹に伴う爪甲下角質増殖症は、多くは爪の縁の変化を伴います。また、爪の回りには、紅斑(こうはん)や丘疹などの湿疹性変化をみます。

爪甲下角質増殖症に気付いたら、すぐに皮膚科、皮膚泌尿器科を受診することで、早期治療が可能です。遺伝子に問題があると判明するのを早めるためにも、医療機関での検査は早いほうがよいといえます。

爪甲下角質増殖症の検査と診断と治療

 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲の先端部分に角質増殖を起こし得る外傷や外的物質、薬品、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査します。

主に遺伝的な問題があることもあり、外服薬や内服薬での治療で完治させられない場合には、遺伝子検査などをすることも大切です。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、外傷などの原因となっているものを優先的に除去ないし治療し、その後、外服薬よりも内服薬による治療を中心に行います。

爪の水虫に伴う爪甲下角質増殖症の場合、水虫の外服薬はほとんど効果がなく、グリセオフルビン、イトラコナゾールなどの内服が必要です。少なくても、3〜6カ月間内服します。

硬く厚くなった爪の外側から外服薬を塗っても、奥深く潜んでいる白癬菌まで薬の有効成分が行き渡りませんが、飲み薬ならば血流に乗って直接白癬菌にダメージを与え、体の内側から治すことができるわけです。

乾癬に伴う爪甲下角質増殖症の場合、まだ根本的な治療法はなく、外服薬、内服薬、光線療法など、症状に合わせたいろいろな治療を行います。症状が軽い場合には主に外服薬で、症状が重くなると内服薬や光線療法で治療します。いずれの治療法も治療を中止すると、再発することがあります。

外服薬には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、活性型ビタミンD3外服薬も副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。古くから用いられてきた外服薬にタールやアンスラリンなどがありますが、現在は一部の病院でしか使用されていません。

内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。

爪甲剥離症や匙状爪(スプーンネイル)を併発する場合、内的疾患が理由になっているため、爪自体は治療しません。肺疾患や心疾患といった原因となる疾患の検索と、それに対する治療を優先します。

爪甲下角質増殖症を予防するには清潔な足を維持し、食生活をきちんと管理することが大切です。足を蒸れたままにせず、しっかりときれいに洗って乾燥させるなどの工夫が必要です。健康を維持していればそれほど悪化することもなく、爪の水虫も早い時期に治療できるため、重症化せずに治せます。

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