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尖足



足先が下垂して背側に上げることができない変形状態

尖足(せんそく)とは、足関節が足底のほうへ屈曲した位置に拘縮した変形状態。

足先が下垂して背側に上げることができず、多くは足首からかかとなどが内側に変形している内反足となって現れます。歩く時、かかとを地面に着けることができずに、足先で歩くような状態になります。

多くは、下腿(かたい)の背屈筋と底屈筋の牽引(けんいん)力のバランスの差によって生じます。先天性と後天性に分けられますが、先天性尖足はまれです。

代表的なものは、麻痺(まひ)性尖足、痙直(けいちょく)性尖足、習慣性尖足。

麻痺性尖足は、腓骨(ひこつ)神経麻痺、シャルコー・マリー・トゥース病などの末梢(まっしょう)神経麻痺や、脊髄(せきずい)性小児麻痺などからくる下腿前面の背屈筋の筋力が低下または消失することに伴ってみられます。筋ジストロフィーなどの筋神経疾患によるものも多くみられ、アキレス腱(けん)の筋腹の外傷や筋炎により、筋の拘縮を起こした時にもみられます。

痙直性尖足は、脳性小児麻痺や、脳梗塞(こうそく)や脳出血などの脳卒中後の片(へん)麻痺などからくる下腿後面の底屈筋のけいれんに伴ってみられます。

習慣性尖足は、長期にわたる病臥(びょうが)中の足の重みや、掛け布団の圧迫などに伴ってみられます。

また、片方の下肢が短い時、それを補うために尖足になることもあります。

尖足の検査と診断と治療

整形外科、神経内科、内科の医師による治療では、腓骨神経麻痺などの末梢神経麻痺による尖足に対しては、回復の可能性のあるものや原因が明らかでないものは、保存療法を行います。保存療法には、圧迫の回避・除去、局所の安静、薬剤内服、運動療法などがあります。

腓骨神経麻痺の場合、症状が軽く、足を組むなどの明らかな誘因がある場合には、生活習慣の改善で軽快することがほとんどです。3カ月ほど様子を見て回復しないもの、まひが進行するものでは、手術が必要になります。骨折などの外傷や腫瘤(しゅりゅう)によるものは、早期に手術が必要です。

神経損傷のあるものでは、神経剥離(はくり)、神経縫合、神経移植などの手術が行われます。神経の手術で回復の望みの少ないものは、ほかの筋肉で動かすようにする腱(けん)移行手術が行われます。尖足のままだと、歩くことも困難で日常生活を送るのにも非常に不便ですから、足首を固定する距腿(きょたい)関節固定術が行われることもあります。

アキレス腱の筋腹の外傷や筋炎による尖足に対しては、アキレス腱延長術や腱移行術などの手術療法が行われます。

脳性小児麻痺や、脳卒中後の片麻痺などによる尖足は、原因となる疾患の治療に際して、足関節に副子や足板を直角に当てて固定し、発生を防ぎます。

習慣性尖足の予防には、副子や足板を用いて足首を直角に保ち、布団の重みが足に加わらないように離被架という足を保護する器具を用いたり、マッサージや足関節の自他動運動を行うことが大切です。

下肢が短いのを補うための尖足は、矯正治療してしまうと逆に不便にしてしまいます。

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