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純インフルエンザウイルス肺炎


インフルエンザウイルスそのものが原因となって発症する肺炎

純インフルエンザウイルス肺炎とは、インフルエンザウイルスそのものが原因となって発症する肺炎。インフルエンザウイルス肺炎ともいいます。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、人間に感染しやすいのはA型、B型。A型はウイルスの表面にある小さな粒子によって、さらにAソ連型、2009年〜2010年に流行した豚由来のH1N1型、A香港型(H3N2型)に分かれます。今はみられませんが、アジア風邪の原因であるAアジア型(H2N2型)が1957年に流行したこともありました。

インフルエンザウイルス肺炎の症状としては、インフルエンザウイルス感染に伴う発熱、頭痛、鼻水、全身倦怠(けんたい)感、のどの痛み、筋肉痛、せき、たんなどのインフルエンザ特有の症状に続いて、約3日のうちに出現する肺炎の症状がことに強く、進行性の呼吸困難が起こります。経過は2〜3週間にも及びます。

重症になると、発熱などのインフルエンザ症状の出現後1~2日のうちに呼吸困難が起こり、急速に低酸素血症が進行して死亡することも少なくありません。これは下気道でインフルエンザウイルスが増殖し、脱落した肺胞上皮細胞や浸潤した白血球を含む粘液栓が気道狭窄(きゅうさく)、気道閉塞(へいさく)を来し、急速に症状を悪化させるためです。

このインフルエンザウイルス肺炎は、インフルエンザの流行時に発症する肺炎の約20パーセントとみられています。心臓や呼吸器に慢性の疾患を持っている人、妊婦、若年者は、発症しやすい傾向があります。

インフルエンザウイルスそのものが肺炎を引き起こすことはあまり多くなく、一般的には、インフルエンザに引き続いて、細菌が肺炎を起こす二次性細菌性肺炎がほとんどを占めます。二次感染による細菌性肺炎は重症化しやすく、インフルエンザによる死亡例のほとんどといわれています。

インフルエンザウイルスによってのどや気道に炎症が起こると、気道の表面の細胞が壊れて、感染に対する防御機能が弱まり、細菌が感染しやすくなります。原因菌として多いのは、肺炎球菌やインフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌。なお、インフルエンザ菌は、インフルエンザウイルスとは別のものです。最初に、インフルエンザにかかった人からインフルエンザ菌が見付かったため、この名前が付けられました。しかしその後、インフルエンザの原因はウイルスであることがわかりました。

呼吸器症状に気付いたら、内科、呼吸器科の医師を受診します。

純インフルエンザウイルス肺炎の検査と診断と治療

内科、呼吸器科の医師による診断では、胸部X線撮影をすると肺全体が白く写るため、肺炎にかかっているかどうかをすぐに判断することができます。ただし、細菌性肺炎でみられるようなはっきりした陰影のあるパターンは認められません。気道からの分泌物の染色は、インフルエンザウイルスの検出に使われます。インフルエンザウイルスに対する抗体が増えているかどうかを調べることもあります。

多くのインフルエンザウイルス肺炎は、原因であるインフルエンザウイルスを殺す薬で治療できます。近年、治療に大きな進歩があり、塩酸アマンタジン(シンメトレル)とノイラミニダーゼ阻害薬という薬が使用可能になり、発症48時間以内の早期治療で高い有効性が示されています。

ただし、塩酸アマンタジンはA型にしか効かず、また耐性ウイルスを生じやすいといった欠点があります。ノイラミニダーゼ阻害薬には、吸入ドライパウダー型のザナミビル(リレンザ)と内服のオセルタミビル(タミフル)があり、A型、B型両方に効果があります。

ウイルスがいなくなった後も、しばらくの間、せきが続きます。その上、ウイルスが気道の内部を傷付けるため、多くの人は引き続いて二次的な細菌性肺炎を発症します。このような場合、抗生物質による治療が必要になります。

重症例では、喀痰(かくたん)の排出を誘導する理学療法、補助換気療法が行われることもあります。

予防面では、ワクチン接種が推奨されます。特に高齢者を中心としたハイリスク群には、2001年以降、国から公的補助が与えられています。

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