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先天性魚鱗癬様紅皮症



全身の皮膚の表面が魚の鱗のように硬くなり、赤みを伴う遺伝性角化異常症

先天性魚鱗癬様(ぎょりんせんよう)紅皮症とは、全身の皮膚にさまざまな厚さの鱗(うろこ)状ないし鮫肌(さめはだ)状の皮膚を生じ、さまざまな程度に全身の皮膚の赤みを伴う遺伝性角化異常症。

皮膚の表面は表皮細胞が細胞核を失って死んで作られる角質層で覆われていて、この角質層は皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしています。角質層には、垢(あか)になって自然にはがれ落ちては作られる一定のサイクルがあり、その際、皮膚には古い角質層がスルリと落ちる巧みなメカニズムが備わっています。ところが、先天性魚鱗癬様紅皮症においては、その機能がおかしくなって角質層がうまくはがれ落ちないために異常な角質層、すなわち魚の鱗のようにカサカサした鱗屑(りんせつ)がみられるようになります。

先天性魚鱗癬様紅皮症はいくつかの種類があり、水疱(すいほう)を伴う水疱型先天性魚鱗癬性紅皮症、水疱を伴わない非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、紅斑(こうはん)がなく大型の鱗屑を生じる葉状魚鱗癬、よろい状の非常に硬い皮膚を持つ道化師様魚鱗癬、皮膚以外の症状を持つ魚鱗癬症候群があります。いずれもまれな先天性の皮膚疾患です。遺伝しますが、両親に症状がなくても子供に現れることがあります。多くは出生時より、全身の皮膚症状が見られます。

水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症は、10万人に1人の頻度で発症します。ケラチン1、ケラチン10という蛋白(たんぱく)の遺伝子の異常により、常染色体優性遺伝します。全身の皮膚が赤くなって、古い角質層が厚い鱗状に硬くなり、硬くてゴワゴワした水疱を伴うのが特徴。出生の際、全身が半透明の薄膜で包まれているケースもあり、これをコロジオン児といいます。

乳幼児期には、全身の皮膚のびまん性潮紅、水疱形成を繰り返しますが、次第に水疱の形成はまれとなり、学童期には高度の角化が固定します。また、角化性局面には特徴的な悪臭も伴います。生命予後は良好ですが、ウイルスなどから体を守る皮膚のバリア機能の低下で、感染症にかかりやすく体温調節も難しくなります。

水疱を伴わない非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症は、常染色体劣性遺伝し、30〜50万人に1人の頻度で発症するとされている。全身の皮膚が赤くなって、古い角質層が厚い鱗状に硬くなりますが、水疱を伴うことはありません。眼瞼(がんけん)外反、口唇突出、手足の角化などを生じることがあります。

水疱型と非水疱型の先天性魚鱗癬様紅皮症は、国の小児慢性特定疾患研究事業に認定されており18歳未満、治療継続の場合は20歳未満まで、医療費補助を受けることができます。伝染性は全くありませんが、外見の印象が強い症状であるため、差別や偏見の対象となる問題があります。

葉状魚鱗癬は、ケラトヒアリンという蛋白の遺伝子の異常により常染色体劣性遺伝し、生まれた時より発症します。全身が赤くなることはなく、大形の鱗屑が皮膚に生じます。眼瞼外反、口唇突出、手足の角化などを生じることがあります。

道化師様魚鱗癬は、常染色体劣性遺伝し、よろい状の非常に硬くて厚い皮膚を生じる最重症型で、死亡することもあります。

魚鱗癬症候群は、皮膚症状に加え、神経を中心とするさまざまな臓器に異常を生じます。

先天性魚鱗癬様紅皮症に気付いたら、皮膚科、皮膚泌尿器科を受診して正しい診断を付けてもらい、適切な治療を受けるようにします。

先天性魚鱗癬様紅皮症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師は、皮膚の症状から診断します。特効的治療法はなく、対症療法が行われています。軽症の先天性魚鱗癬様紅皮症には、皮膚の表面を滑らかにする尿素含有軟こう、ビタミンA含有軟こう、サリチル酸ワセリンが効きます。重症の場合は、エトレチナート剤(ビタミンA誘導体)を内服します。各々特有の副作用に注意が必要です。

現在のところ、終生その症状は続きます。重症例では合併症などにより死亡することがあります。

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