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シスチン尿症



アミノ酸のシスチンが尿に排出される疾患で、尿路にシスチン結石を形成

シスチン尿症とは、アミノ酸のシスチンが尿に排出されてしまう、まれな疾患。シスチンは含硫アミノ酸の一種で、毛髪や爪(つめ)、皮膚を形成する硬蛋白(たんぱく)質であるケラチンに、特に多く含まれています。

尿細管の遺伝的な異常が原因でシスチン尿症は起こり、しばしば尿路にシスチン結石が形成されます。引き起こす遺伝子は劣性遺伝子で、発症する人は異常遺伝子を両親からそれぞれ1つずつ受け継いでいます。

この遺伝子を受け継いでも発症していない人は、正常遺伝子と異常遺伝子を1つずつ持っています。こうした人では普通より多い量のシスチンが尿に排出されますが、シスチン結石を形成するほどの量になることはめったにありません。

シスチン結石は、膀胱(ぼうこう)や、尿が集まって腎(じん)臓の外に流れ出る部分である腎盂(じんう)、尿を腎臓から膀胱へ運ぶ細長い管である尿管に形成されます。シスチンとともに、アミノ酸のリシン、アルギニン、オルニチンの尿への排出を伴うことも多くみられます。

症状は通常、10〜30歳の間に始まります。しばしば最初の症状として、結石が引っ掛かった部位で尿管がけいれんするために、激しい痛みが生じます。結石によって尿路が閉塞(へいそく)すると、老廃物や過剰な水分と塩分を排出する腎臓の能力が、片方または両方で低下します。結石のある部位は、細菌感染も起こしやすくなります。

シスチン尿症の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、腎臓結石が繰り返しできる人に対して、シスチン尿を調べる検査を行います。顕微鏡を使った尿分析でシスチンの結晶がみられることがあり、尿のシスチン濃度を測定します。

泌尿器科の医師による治療では、尿のシスチン濃度を抑え、シスチン結石ができるのを防ぎます。シスチン濃度を低く抑えるには、毎日少なくとも約4リットルの尿を出すために、十分な量の水分を飲まなければなりません。それでも水分を補給できない夜間には、尿の産生量が少なくなり、結石ができやすくなります。対応策としては、寝る前に水分を摂取することで結石のリスクを抑えます。

このほか、クエン酸カリウムか重炭酸ナトリウムを服用して、尿のアルカリ度を高めるという治療法があります。アルカリ性の尿には、酸性の尿よりもシスチンが溶けやすいからです。水分の摂取量を増やし、尿のアルカリ度を高めようとすると腹部が膨満するため、この治療法は耐えがたいと感じる人もいます。

こうした方法を行っても結石が繰り返しできる場合は、シスチンに反応して溶かす作用があるペニシラミン、チオプロニン、カプトプリルなどの薬を試みます。カプトプリルは、効果の点でほかの薬にやや劣りますが、副作用が少ないという利点があります。薬による治療は概して効果がありますが、それでもかなりの確率で結石は再発します。

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