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前立腺炎
前立腺(ぜんりつせん)炎とは、細菌などによって、男性の尿道後部を囲む前立腺が炎症を起こす疾患。あらゆる年代の男性に起こります。
前立腺はクルミ大の器官で膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあり、この中を尿道が貫いています。成人では重さ15~17gグラムで、男性ホルモンに支配されており、分泌される前立腺液は精液の一部を占め、精子の運動を活発にするものといわれています。排尿時に前立腺が収縮、緩和を行うことで、排尿をコントロールをする働きもあります。
炎症だけにとどまっている場合を前立腺炎といい、これが化膿(かのう)してうみを持った状態を前立腺膿瘍(のうよう)といいます。また、前立腺炎がある時は、ほとんど隣接する精嚢(せいのう)にも炎症が起こっていることが多いものです。
原因としては、以前は淋菌(りんきん)によって起こるものが多かったのですが、近年は大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などによって起こるものが増えています。感染経路は、病原菌が尿道から直接侵入するものが一般的ですが、ほかの化膿巣から血液によって運ばれる血液感染もまれにみられます。
急性(細菌性)前立腺炎と慢性前立腺炎があり、慢性前立腺炎は慢性(細菌性)前立腺炎、慢性(非細菌性)前立腺炎、前立腺痛の3タイプに分類できます。
急性(細菌性)前立腺炎では、初期には微熱が出て、頻尿と排尿の終わりに痛みがある程度です。進行すると、症状も強くなり、会陰(えいん)部から直腸部に痛みが起こり、腰部に走ります。頻尿は強くなり、排尿時の痛みも強くなるとともに、排尿困難を生じ、時に尿閉も起こります。
排便も困難になり、寒けと震えを伴った高熱が出ます。時には、著しい高熱発作で、急激に発症することもあります。
慢性前立腺炎には、急性のものから移行するものと、初めから慢性に起こるものがあります。慢性(細菌性)前立腺炎は、急性前立腺炎が治りきらず細菌感染が継続した状態ですが、尿道炎などから前立腺の炎症を併発することもあります。
朝、尿道から少量のうみが分泌し、頻尿、排尿時の痛みと不快感、残尿感などのほか、会陰部、直腸部、膀胱部に痛みを感じたり、腰痛などが起こります。人により、性欲減退、勃起(ぼっき)不全、早漏、遺精、精液漏など、いろいろな性機能障害を覚えます。
慢性(非細菌性)前立腺炎 は、疲労やストレスなどが原因となることもある最も一般的なタイプ。頻尿や排尿時の痛み、残尿感、会陰部の痛みなどがありますが、急性(細菌性)前立腺炎に比べれば症状は軽く、なかなか疾患と認識されません。どの年代の男性にもみられ、症状が消えたり現れたりを繰り返します。
前立腺痛は、前立腺そのものには異常がないのに、下腹部や会陰部に痛みを感じるタイプ。はっきりした原因は不明で、誘因としては前立腺や膀胱周辺の筋肉の機能障害やストレスが考えられます。
前立腺炎の症状に気付いたら、泌尿器科の専門医を受診します。
医師による診断では、尿検査、エコー検査、血液検査、直腸診などが行われます。細菌性の前立腺炎では、尿検査で尿中に白血球が多数出現し、炎症所見がみられます。直腸診で前立腺を触れると、圧痛が現れます。前立腺マッサージをして出てくる前立腺分泌液にも、白血球を認めます。急性(細菌性)前立腺炎では、細菌の存在も確認できます。
強い痛みや不快症状がある急性(細菌性)前立腺炎は、入院して鎮痛剤で痛みや不快症状を抑え、同時に感染菌に効く強力な抗生物質による治療を行います。前立腺は薬物移行が悪いため、治療効果が得られるまでに時間がかかることも多く、敗血症に移行することもあるので注意が必要です。また、再発を繰り返すと慢性化してしまうので、医師の指示通り、服薬や治療を継続しなければなりません。
逆に、慢性前立腺炎は大事に至ることはありません。慢性(細菌性)前立腺炎では、抗菌剤を4~12週間程度服用します。また、前立腺のマッサージで、分泌腺内にたまっている膿性分泌物を排出させます。
慢性(非細菌性)前立腺炎でも、細菌感染の可能性もある場合には、抗菌剤を4〜8週間程度服用します。細菌の可能性がない場合や、前立腺痛では、筋弛緩(しかん)剤、温座浴などの温熱治療、漢方薬が用いられます。さらに、精神科医との連携も必要な場合があります。
慢性前立腺炎の場合、原因もさまざまでで、かつ治りづらいので、気長に治療することが大切。日常生活の摂生や軽い運動などによる体力増進も、不可欠となります。
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