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上咽頭がん
上咽頭(じょういんとう)がんとは、鼻の奥で、口を開けても見えない頭蓋(とうがい)底の直下の部分に発生するがん。中咽頭がん、下咽頭がんとともに咽頭がんの一つで、前二者に比べると発生頻度はやや少ない傾向があります。
上咽頭は上気道の一部で、頭蓋底、副鼻腔(びくう)に囲まれ、その下方は中咽頭に続き、その外側は耳管によって両側の中耳腔とつながっています。周辺には内頸(けい)動脈、脳神経が存在します。
初期症状は、がんのために耳管が閉塞(へいそく)されて起こる難聴、鼻詰まり、鼻出血などで、首のリンパ節がしばしば大きくはれてきます。
進行すると、脳神経まで侵され、ものが二重に見えたり、三叉(さんさ)神経などの脳神経障害が出てきて、頭痛がしたり、顔面の知覚が鈍くなったり、痛みが出たりします。また、肺、肝臓、骨などへの転位が多いのも、上咽頭がんの特徴です。
医師による診断では、内視鏡検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行い、最終的には組織片を調べて確定します。
治療は放射線照射が主体ですが、従来の成績はあまり良好ではありませんでした。近年では、放射線治療の前後に、抗がん剤の注射療法を行い、肺、肝臓などへの転位を防止します。
この化学療法を実施することで、従来は40パーセント以下だった5年生存率は、60パーセントまで向上するようになっています。
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