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条虫症
条虫症とは、サナダムシともいわれ、細長いひも状をしている条虫によって、引き起こされる寄生虫病。
条虫には多くの種類があり、魚のサケ、マスに寄生する広節裂頭条虫(日本海裂頭条虫)、豚に寄生する有鉤(ゆうこう)条虫、牛に寄生する無鉤条虫などが知られていて、数メートルを超える大きなものばかりです。
条虫の幼虫が中間宿主(しゅくしゅ)としている魚、豚、牛などを生のまま、あるいは加熱不十分な状態で食べることなどにより、人体の消化管などに寄生するようになります。
多くの場合、無症状です。腹痛、下痢などの消化器症状、飢餓感、多食、体重減少、貧血などを起こすこともありますが、一般には肛門(こうもん)から長いひも状の虫体が出てきたり、便とともにちぎれた虫体が出てきたりして、初めて感染に気付きます。また、虫体が排出される際に、肛門に違和感を覚えることがあります。
有鉤条虫の幼虫である有鉤嚢虫(のうちゅう)の寄生が脳、脊髄(せきずい)、筋肉、皮下組織、目に出現することもあり、それぞれの部位に見合った多彩な症状がみられます。中枢神経系に寄生が出現した場合は、てんかん、頭蓋(とうがい)内圧高進、水頭症、神経症状、精神状態の変化、無菌性髄膜炎などがみられます。
条虫の虫体が認められた場合は、排出された虫体、あるいは虫体の一部(体節)を持参して内科を受診します。
医師による診断では、排出された虫体を直接観察して、条虫の種類を確認します。また、検便などをして、便の中に出てくる虫卵を顕微鏡で観察します。有鉤嚢虫の中枢神経系への寄生が疑われる場合は、CT検査またMRI検査を行って評価します。
腸管内感染の治療では、駆虫剤のプラジカンテル、メペンダゾールなどを服用する方法と、注腸造影剤のガストログラフィンを注入する方法があります。ともに副作用はほとんどありませんが、注腸造影の場合にはX線被曝(ひばく)に留意します。貧血の治療などの対症療法も行われます。
中枢神経系感染の治療では、コルチコステロイドと抗けいれん薬を投与して、炎症と症状を緩和します。場合によっては、アルベンダゾールまたはプラジカンテルを投与します。水頭症が現れたり、脊髄や目に症状が現れた場合には、手術が必要なこともあります。
予防法としては、牛肉、豚肉は生で食べずに、十分に加熱してから食べることが必要です。サケ、マスについても十分に加熱をするか、マイナス18℃で48時間以上冷凍した後に食べるようにします。
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