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線維筋痛症
線維筋痛症とは、全身に激しい痛みが起こる慢性の疾患。原因はいまだ未解明です。
多くは全身や広範囲の部位の筋肉、関節に痛みが起こりますが、ある部分だけに痛みが起こることもあります。その痛みは、軽度のものから激痛まであり、多くは耐え難い痛みです。痛みの部位が移動したり、天候によって痛みの強さが変わったりすることもあります。
痛みが強い場合、日常生活に支障を来すことが多く、重症化した場合、つめや髪への接触、温度や湿度の変化、音など軽微の刺激で激痛が走り、立ち上がれない、起き上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状がみられます。意識がもうろうとして寝たきりになり、自力での生活が困難になることもあります。
随伴症状として、こわばり感、倦怠(けんたい)感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などが伴うこともあり、症状には個人差があります。中には、リウマチや他の膠原(こうげん)病を併発している場合もあります。
痛みによって不眠となり、ストレスがたまり、それがまた痛みを増強させる場合もあると考えられています。死に至る病ではありません。
この線維筋痛症は、男性よりも女性に7倍多く、中高年に多く発症しています。そのため、自律神経失調症や更年期障害、不定愁訴など他の疾患と診断されることも少なくありません。現在、厚生労働省の調査から約200万人が発症していると推定されています。
原因は、いまだ未解明。欧米では100年以上も前から知られていた疾患にもかかわらず、診断方法ができたのは1990年で、アメリカリウマチ学会が分類基準を作成しました。中枢神経系および末梢(まっしょう)神経系の障害や、心身のストレスの要因、性格的因子、ライフスタイルなどの要因が重なって、発症につながっていると推測され、ほかに免疫異常、外傷、手術などが発症原因として推測されています。
アメリカでは、人口の2パーセント、リウマチ科に通う患者のうち15パーセントが線維筋痛症であるという統計があります。日本では、医師の間でも疾患の知名度が低く、患者の9割以上が病名すら知らないともいわれています。
線維筋痛症は発症してから1〜3年で適切な治療を受ければ、社会復帰も可能であり、自然治癒する可能性もあります。しかし、検査で異常がないため、長年病院を転々とするケースも多く、医師との信頼関係が築けないことが引き金となって、病状が悪化してしまう場合が多くなっています。
発症から時間が経過するほど治りにくいといわれていますので、整形外科、膠原病専門内科、リウマチ科、心療内科あるいは神経内科の専門医を受診します
明確な診断基準はなく、現段階では1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準を参考にしています。線維筋痛症と診断されるのは、全身に18個所の圧痛点があり、4kgの力で押すと11個所以上が痛く、また広範囲の痛みが3カ月続いていることが条件。11個所以上でなくても、専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。ほかの疾患があっても、診断は妨げられません。
血液、レントゲン、CRPという炎症反応、筋電図、CT、MRIを検査しても異常がなく、線維筋痛症と診断できる検査はありません。
治療法も確立されておらず、だれにでも効くという特効薬もまだありませんが、2012年6月にプレガバリン(リリカ)が線維筋痛症に伴う疼痛(とうつう)に対して、日本で初めて保険適応の承認を取得しました。適切に使用すると、症状を軽減する可能性があります。副作用として眠気、ふらつきが出る場合がありますので、注意が必要です。
リウマチ薬を含む膠原病の薬、向精神薬、神経の薬、消炎鎮痛薬などの組み合わせが効くこともあります。ウォーキング、ストレッチ、エアロビクス、水泳などの軽い運動が効果がある場合もあります。
食道や胃が痛かったり、睡眠がとれなかったり、口や目が乾いたり、手足や指先がしびれたり、たくさんの不定愁訴が出ている場合は、それぞれの症状に合わせて投薬されます。
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