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視神経委縮



視神経の中の神経線維が減少、消失する眼疾

視神経委縮とは、視神経を侵すいろいろな疾患が進行して、最終結果として現れる病変。視神経を構成している線維の軸索や髄鞘(ずいしょう)が減少、消失して、視神経は回復できない状態にまで変性しています。

視神経は視覚情報を伝える100万本以上の神経線維を含んでいて、網膜に映った物の形や色、光などの情報を脳神経細胞に伝達するという役割を担っていますので、視神経が損傷すると物を見る働きも、部分的にまたは完全に損なわれてしまいます。

片目、または両目の視力の減退や視野の欠損などが、主な症状として現れます。視界のぼやけ、色覚の障害 、光を目に差し入れた時の瞳孔(どうこう)の縮瞳の減弱、 同じ光を左右の目に差し入れた時の障害側でのまぶしさの減少なども現れます。視神経乳頭と呼ばれる眼球後方の円盤状の部分は青白くなり、最後には失明することが多くみられます。

この視神経委縮には、単純性委縮、炎性視神経委縮、軸性視神経委縮、網膜性視神経委縮、緑内障性神経委縮、遺伝性視神経委縮があります。

単純性委縮は、球後視神経炎や視神経管骨折、脊髄癆(せきずいろう)などでみられるものです。視神経管骨折は梅毒、頭蓋(ずがい)底骨折、脳腫瘍(しゅよう)、内頸動脈瘤(ないけいどうみゃくりゅう)、外傷によって起こるもので、早期に手術を行えば、失明せずにすむことがあります。

炎性視神経委縮は、うっ血乳頭や乳頭炎、視神経炎の経過後に起こるものです。

軸性視神経委縮は、ビタミンの欠乏、たばこの過剰摂取、アルコール中毒、あるいは悪性貧血などによる軸性視神経炎の経過後に起こるものです。

網膜性視神経委縮は、中心性網膜脈絡症の進行期に、視神経乳頭が黄白色調を現すものです。

緑内障性神経委縮は、緑内障で眼球の中の圧力が高い時に視神経が圧迫されて起こるもので、視神経乳頭の陥没を伴います。

遺伝性視神経委縮は、視神経が正常な発達をしなかった場合にみられるものです。思春期の男子に発症し、両眼性の急激で高度の視力障害が起こるレーベル病のほかに、常染色体性優性遺伝や劣性遺伝の視神経委縮があります。

最も多い視神経委縮としては、その発生原因が不明のものも少なくはありません。

視神経委縮の検査と診断と治療

視神経委縮では、早期にその原因となる疾患を明らかにして、それを取り除くことで進行を止めるという早期診断、早期治療が最も有効ですので、視野の欠損や視力の低下を自覚した際には、眼科の専門医を受診します。

眼科医による検査では、眼底鏡を使って瞳孔(どうこう)を通し、眼球後方の円盤状の部分である視神経乳頭を観察します。視神経の委縮があるならば、この小さな視神経乳頭は視神経線維の減少を反映して、蒼白(そうはく)あるいは白いと表現されるように変化していますので、視神経委縮と診断されます。

この眼底検査のほか、視力検査、瞳孔の反応検査、視野検査、MRI検査、血液検査、髄液検査などが必要に応じ行われます。

視神経委縮の治療としては、その原因となった疾患の治療が基本で、脳外科や耳鼻科などと連携した治療が必要です。しかし残念ながら、視神経委縮に対しては、初期以外は有効な治療法は存在しません。視神経の中の神経線維が失われてしまうと、その線維は復活することはありません。

早期にその原因を明らかにして、それを取り除くことで進行を止めるという早期診断が、最も治療には有効なのです。 その原因の治療を早く行えば、視野の欠損や視力の低下の進行を抑えられるだけでなく、治療のできる疾患が隠れていることに気が付く場合が少なくありません。

例えば、ゆっくり進行する良性の脳腫瘍が数年後に見付かることも、まれではありません。視神経委縮という診断ですでに視力を失っている発症者も、数年に一度は再度詳細な検査を受けることが勧められます。

なお、視神経に有害な物質が原因で発症した視神経委縮の場合は、たばこやアルコール、その他の有害な物質を避ける必要があります。アルコール摂取が要因だと考えられる場合は、バランスのよい食事を取るとともに、ビタミン類のサプリメントを摂取します。

栄養の不足が原因の視神経委縮の場合は、サプリメントにより不足した栄養が補われます。ただし、ビタミンB12の不足が原因の場合は、サプリメントの摂取だけでは不十分で、ビタミンB12が注射で補われます。視神経が委縮していない限り、ある程度の視力回復が期待できます。

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