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脊髄小脳変性症



運動失調を主要な症状とする神経変性疾患の総称

脊髄(せきずい)小脳変性症とは、小脳および脳幹から脊髄にかけての神経細胞が遺伝的な変性や、老化などによって進行性に侵され、歩行や手足の運動ができにくくなる疾患の総称。現在、厚生労働省の特定疾患(難病)の一つで、医療費の公費負担が受けられます。

脊髄小脳変性症は総称であって、多数の病型に分類されていて、孤発性(非遺伝性)のものと遺伝性のものに大別されます。

孤発性のものには、オリーブ橋(きょう)小脳委縮症(OPCA)、皮質性小脳委縮症(LCCA)があります。 遺伝性のものには、脊髄小脳失調症1型(SCA1)、脊髄小脳失調症2型(SCA2)、脊髄小脳失調症3型(SCA3、マシャド・ジョセフ病)、脊髄小脳失調症4型(SCA4)、脊髄小脳失調症5型(SCA5)、脊髄小脳失調症6型(SCA6)、脊髄小脳失調症7型(SCA7)、歯状核赤核淡蒼球〔しじょうせきかくたんそうきゅう〕ルイ体委縮症(DRPLA)、フリードライヒ失調症、遺伝性痙(けい)性まひなどがあります。また、遺伝性のものは、優性遺伝と劣性遺伝、性染色体性に分かれます。

それぞれ遺伝型式、発病年齢、臨床症状に違いがありますが、同一の病型でも発症年齢が早いか遅いかによって症状に差があり、症状のみから病型を決めるのは難しいといえます。

脊髄小脳変性症の厳密な意味での頻度は、知られていません。推定では、10万人に対して5~10人程度と考えられます。人種、性別、職業による発症の差は、認められていません。遺伝性以外の原因は、不明です。主に中年以降に発症するケースが多く見受けられますが、若年期に発症することもあります。

主な症状は、運動失調です。歩行時にふらつく、手がうまく使えない、話す時に舌がもつれるなどの症状が起きます。これらの症状が非常にゆっくりと進行していくのが特徴で、10年、20年単位で進行します。運動失調以外にも、さまざまな症状を来します。主要なものは、自律神経症状としての起立性低血圧、発汗障害、排尿障害などのほか、錐体(すいたい)路症状として下肢の突っ張り、末梢(まっしょう)神経障害、筋の委縮などです。

なお、小脳、脳幹、脊髄にかけての神経細胞は破壊されますが、大脳部分は破壊されません。そのため、アルツハイマー病などとは異なり、発症者は自分の体の運動機能が徐々に衰退していくことを、はっきりと認識できます。

脊髄小脳変性症の検査と診断と治療

特に有効な薬も、治療法も見いだされていません。専ら対症療法ということになります。

運動失調に対しては、甲状腺(せん)刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)および関連の薬が有効です。また、自律神経障害に対しては、多くの対症療法が工夫されており、起立性低血圧に対しては、ジヒドロエルゴタミン、ドプスなどが使用されます。排尿障害に対してはα交感神経遮断剤が使用されます。また、下肢の突っ張りなどに対しては抗痙縮剤が使われます。また、パーキンソン症状に対しては抗パーキンソン剤が使用されます。

いずれの病型も慢性進行性の疾患で、数年ないし数十年に渡って進行し、最後には全く歩行不能となりますが、絶えずリハビリを行って、神経の機能をうまく働かせることが必要です。

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