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腎盂(じんう)腎炎

腎盂、腎杯に起こった炎症が腎実質まで波及

腎盂(じんう)腎炎とは、主に細菌感染で腎盂、腎杯に炎症を起こした腎盂炎が、腎実質まで炎症が波及した疾患。

大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などの感染が原因となって、起こります。感染経路は尿の流れとは逆に、尿道、膀胱(ぼうこう)から尿路を通って上行感染するものが多く、そのほか血管から腎臓に感染するものもあります。

腎盂腎炎は、急性と慢性に分けられます。急性の場合は、寒けを伴った39度以上の高熱が出て、背中から腰にかけて痛みがあり、吐き気、嘔吐(おうと)があります。膀胱炎から起こったものは、排尿痛、頻尿があります。

慢性の場合は、倦怠(けんたい)感、食欲不振、腰痛などがあります。微熱が続くために、風邪と間違える人もあります。

急性の腎盂腎炎は、数日から7日くらいで熱が下がり、全治します。慢性の腎盂腎炎は、10〜20年といった長い期間をかけて、腎臓機能が悪くなる場合もあります。

急性の腎盂腎炎は、若い女性によくみられます。基礎疾患として、膀胱尿管逆流症といって、膀胱から尿が腎臓に逆流する疾患で、多くは先天障害が重要です。繰り返し起こす場合は、こうした基礎疾患の検査が必要です。

腎盂腎炎の検査と診断と治療

尿検査で、膿尿(のうにょう)がみられます。症状などから、診断は容易です。治療を始める前に、尿の細菌培養検査を行うことが大切です。繰り返す場合には、X線による腎盂撮影や膀胱尿管逆流検査などが必要となります。

急性腎盂腎炎の場合は、入院の上、点滴と抗生物質の投与を行います。治療薬の進歩により、特殊なケースを除いては、速やかに改善します。

慢性腎盂腎炎の場合は、完全に治癒させるために、長期間、抗生物質やサルファ剤を投与します。また、尿路結石、前立腺(せん)肥大、尿道狭窄(きょうさく)といった慢性化する原因があったら、これを治療しなければなりません。

生活上の注意として、症状が著しい急性期には、水分を多量にとって、尿量を多くすることが大切になります。

慢性の腎盂腎炎は、経過の長い疾患のため、根気よく治療することが必要。規則正しい日常生活を送り、寒さや過労は再発の誘因になるので、できるだけ避けます。食事は体に抵抗力をつけるため、高エネルギー食とします。

自覚症状がなくとも、月に1〜2回、定期的な尿の検査を受けて、進行の防止に努めます。

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