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上室性不整脈

上室性不整脈は、心房由来の不整脈

上室性不整脈とは、心臓内部の上半分である上室、すなわち右心房、左心房に由来する不整脈。

この上室性不整脈には、上室性期外収縮、発作性上室性頻拍、心房頻拍、心房細動、心房粗動があります。

上室性期外収縮は、心房内と房室接合部付近に電気刺激が発生して、早期に心臓が収縮する不整脈

上室性期外収縮は、心臓内部の上半分である心房内および房室接合部付近に電気刺激が発生し、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から発生する本来の電気刺激によるよりも早い時点で、心臓が収縮する不整脈。

通常は発生しない電気刺激が房室接合部より上位で発生した場合は心房性期外収縮、心房と心臓内部の下半分である心室の境界部にあって、房室結節と房室束(ヒス束)からなる房室接合部付近で発生した場合は房室接合部性期外収縮と区別されますが、両者の判別が容易でない場合は上室性期外収縮と呼ばれます。

上室性期外収縮は健康な人にも高頻度でみられる有り触れた不整脈で、年齢を重ねていくにつれてみられる頻度も一段と高くなっていきます。

健康な人における発生誘因として、疲労、緊張、ストレス、運動、睡眠不足、喫煙、カフェイン、飲酒、栄養ドリンク、季節の変わり目などが挙げられます。心疾患や肺疾患のある人では発生頻度が高く、カフェインを含むコーヒーの摂取や、飲酒で引き起こされ、悪化することがあります。

上室性期外収縮が起きても無症状であることがほとんどなのですが、軽い一過性の動悸(どうき)を自覚して、心臓がドキンとしたり、心臓が一時止まったように感じたりすることもあります。

あるいは、脈が不規則になり、「トン、トン、トン」と規則正しく打っている脈の中に時々「トトン」と早く打つ脈が現れたり、急に心臓の1拍動が欠け、1秒飛んで2秒後に拍動するといったリズムの乱れを自覚することもあります。のどや胸に不快感を感じたり、きわめて短い胸痛を感じる人もいます。

まれに上室性期外収縮が連続して起こった時は、耐えがたい動悸を感じたり、一時的に血圧が下がるために、めまいや失神といった症状が現れることもあります。この場合は、心房細動などの危険な不整脈へと移行することがあるので注意が必要です。

心房細動では、1分間当たり400~600回も心房が不規則に動きます。心房内の血液の流れは悪くなり、意識の消失や心機能の低下、血栓を生じて脳梗塞(こうそく)を招くこともあります。

健康診断などの検査で上室性期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとった時に脈が飛ぶなどして上室性期外収縮だと感じたりした場合は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。頻繁に起こるような場合は、医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。

発作性上室性頻拍は突然に脈拍が速くなり、突然に元に戻るのを特徴として、動悸を感じる不整脈

発作性上室性頻拍は、突然に脈拍が速くなり、しばらく続いた後に突然止まる不整脈。

正常な状態では、右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節から発生した電気信号は一方通行で、心臓の隅々まで伝わって消えてゆきます。次の脈は、新たに洞結節から発生した電気信号によって生じます。

ところが、何らかの原因で異常な電気回路ができたり、先天的に余分な電気回路があったりすると、突発的に電気信号の旋回(空回り)が始まることがあります。

原因となる電気回路がある場所は、大きく分けて3つあります。心房と心室をつなぐ結び目に当たる房室結節付近に電気回路がある房室結節回帰性頻拍が、最も多いものです。

また、正常な状態では、心房と心室をつなぐ電気回路は1本だけですが、それ以外に先天的に電気回路が別にできている場合があります。頻脈発作が出ていない時に特徴的な心電図の波形が出るWPW症候群と呼ばれるものも、その1つです。この場合、正常な電気回路と異常な電気回路を使って、心房と心室の間を電気信号が大きく回る房室回帰性頻拍というものが起こります。これが、2番目に多いものです。

 それ以外の部位で電気信号が小さく回るものや、異常な電気信号を一部の心筋細胞が発生させる心房頻拍というものがありますが、発作性上室性頻拍の1割程度を占めるのみです。

発作性上室性頻拍が起こると、動悸がして息苦しくなります。脈拍数は大抵1分間に150回以上になり、タッタッタッと規則的な動悸が起こります。

多くの病的な頻脈は、徐々に脈が速くなるのではなく、頻脈発作の開始と同時に一瞬で脈が速くなり、止まる際も一瞬のうちに止まるという特徴があります。発作が起こると、急に激しい勢いで心臓が動き始めるため、血流に十分な圧力をかけられなくなって血圧が下がります。そして、冷や汗やめまい、息切れ、失神を起こしたりします。動悸は、めまいの後で自覚することが多いようです。

発作性上室性頻拍は、普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになる期外収縮を切っ掛けにして、電気信号の旋回が始まります。そのため、期外収縮の少ない若年者には頻脈発作が起こりにくいのですが、中年以降になると頻脈発作が起こりやすくなります。

重症な心臓の病気がなく、頻脈発作の頻度が多くない場合には、息をこらえて強く胸と腹に力を入れる、冷たい水を飲む、冷たい水に顔をつける、くしゃみやあくびを繰り返すなどの迷走神経の刺激で頻脈発作を止める処置が、自宅で可能で安全に行えるものです。

繰り返し症状が現れる場合や、生活に支障が出るほど強い動悸や不快感が現れる場合は、循環器科、循環器内科、もしくは不整脈専門の不整脈科、不整脈内科を受診することが勧められます。

心房頻拍は、心房内の規則的な電気刺激により、心臓の拍動が1分間に140~200回に増える頻拍

心房頻拍は、心臓内部の上半分である心房内に異常興奮部位が存在することで、心臓の拍動が1分間に140~200回へと突然増える頻拍。

正常な心臓では、右心房付近にある洞結節から1分間に60~80回の電気刺激が発生して、心臓内部の上半分である右心房、左心房、心臓内部の下半分である右心室、左心室を規則正しく収縮させることで拍動を起こし、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出しています。

心房頻拍は、洞結節からの電気刺激ではなく、心房内の異常な心筋細胞から極端に速い頻度で電気刺激が発生してしまうことで起こります。

頻拍が発生する起源により、異所性心房頻拍、リエントリー(再侵入)性心房頻拍(心房内リエントリー性頻拍、マクロ・リエントリー性心房頻拍)などに分類されます。

異所性心房頻拍は、比較的狭い異常な心筋細胞が心房内に発生することが原因となるため、起源は多彩です。好発部位は、右心房では分界稜(りょう)、上大静脈、冠静脈洞、左心房では肺静脈入口部周囲。比較的若い人に多くみられます。

一方、リエントリー性心房頻拍は、洞結節の周囲や、心臓の外科手術で切開した跡の周囲などに、電気的刺激が比較的大きく旋回することが原因となります。

心房頻拍のほとんどは一過性で、特に心配はいりませんが、突然に拍動が速くなり、突然に元に戻るのが特徴です。頻脈発作の持続時間は数秒から数時間までとさまざまで、起こる回数もまちまちです。

頻脈発作の持続時間が短い非持続性心房頻拍の場合は、胸がドキドキする感じがするくらいですが、頻脈発作が長く続く持続性心房頻拍の場合や、拍動が1分間に200回くらいになる場合は、強い動悸や息切れといった自覚症状を感じることがあります。胸の違和感、不快感を覚えることもあります。

また、一過性の非持続性心房頻拍でない場合は、心不全を合併するもの、脳梗塞を引き起こすものもあり、心房の拍動が1分間に300回以上と速くなったり、拍動のリズムが不規則になったりする心房細動に移行することもあります。

心房頻拍は特に原因となる疾患がなくても起こることもある一方で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある人、肺や食道の手術を受けた人、狭心症や心筋梗塞を起こしたことがある人などは特にリスクが高くなります。

心房細動は、心房の拍動が速くなったり、不規則になったりする不整脈

心房細動は、安静時の正常な心臓が1分間で60回~80回と規則的に拍動するのに対して、心臓内部の上半分である心房の拍動が1分間で300回以上と速くなったり、拍動のリズムが不規則になったりする不整脈。

心房の収縮が通常より速くなって、心房の壁が不規則に細かく震える(不整)ために、心房の中の血液の流れるスピードが低下して血液がうっ滞し、血液を効率よく全身へ送り出せなくなります。

心房細動は、年齢が上がるにつれて発症率が高くなり、60歳を超えると発症の可能性が高まります。また、女性よりも男性に多く発症します。日本では70万人以上が心房細動を持っていると推定されています。

心房細動は健康な人でも発症しますが、高血圧、糖尿病、心筋梗塞・心臓弁膜症などの心臓病、慢性の肺疾患のある人は発症しやすく、また、アルコールやカフェインの過剰摂取、睡眠不足、精神的ストレス時に発症しやすくなる人もいます。

 心房細動自体による頻脈や拍動リズムの不正は、命にかかわるような重症な不整脈ではありません。しかし、動悸、息切れ、疲れやすい、胸痛、めまいなどの症状が現れ、また、心房の中でうっ滞した血液が固まって血栓を形成し、血液とともに流れて脳の血管に詰まってしまうと、脳梗塞を引き起こします。

心臓部位に手を当てたり、手首や頸(けい)部(首)で脈を計ると、通常よりも速かったり、速い・遅いを不規則に繰り返したりします。心臓のリズムが常に一定ではなく、不規則に乱れていることがわかるため、さらに症状を悪化させる場合もあります。慢性化すると、全身の倦怠(けんたい)感や胸部の不快感など自覚症状が感じにくくなるため注意が必要です。

一方、全く自覚症状がなく、長い間にわたって気付かない人もいます。心房細動が隠れている人では、別の疾患で医療機関を受診した際に偶然発見されることが多いようです。

動悸や息切れなどの症状がみられたり、心臓のリズムが一定でないと感じた場合は早めに受診し、検査を受けることが重要です。

心房粗動は、心房の電気刺激が1分間に240回以上起こり、心臓の拍動に乱れが生じる不整脈

心房粗動は、心臓内部の上半分である心房の電気刺激が1分間に240回から450回の速さで起こり、心臓の拍動に乱れが生じる不整脈。

正常な心臓では、右心房付近にある洞結節から発生した電気刺激は一方通行で、心臓の端々まで伝わって拍動を起こし、消えます。次の拍動は、新たに洞結節から発生した電気刺激によって生じます。1分間では、洞結節から60~80回の電気刺激が発生して、右心房、左心房、右心室、左心室を規則正しく収縮させることで拍動を起こし、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出しています。

心房粗動では多くの場合、右心房の中で三尖弁輪(さんせんべんりん)という右心房と右心室の連結部分の周りを電気刺激が大きく旋回(空回り、リエントリー)している状態となっています。それ以外のところを電気刺激が大きく旋回する場合もありますが、あまり多くはみられません。

前者を通常型心房粗動、後者を非通常型心房粗動、あるいは希有(けう)型心房粗動と呼びます。両者とも、電気刺激が反時計方向に旋回する場合と、時計方向に旋回する場合とがあります。

心房粗動の症状は、心房から心室に伝わる電気刺激の数によって異なります。心房の電気刺激が1分間に240回の速さで起こり、4回に1回心室に電気刺激が伝わるとすると、心臓の拍動は1分間に60回前後となります。心房の電気刺激が1分間に300回の速さで起こり、4回に1回心室に電気刺激が伝わるとすると、心臓の拍動は1分間に75回前後となります。よって動悸はあまり感じません。

心房の電気刺激が1分間に240回の速さで起こり、2回に1回心室に電気刺激が伝わるような場合には、心臓の拍動は1分間に120回前後となります。心房の電気刺激が1分間に300回の速さで起こり、2回に1回心室に電気刺激が伝わるとすると、心臓の拍動は1分間に150回前後となります。

このような心臓の拍動が速くなる頻脈を来す場合では、動悸として自覚されることが増えます。息切れを自覚したり、胸部に違和感があったり、胸が躍るように感じたり、胸が痛むこともあります。漠然と、体が重いと感じたり、疲れやすいと感じたりすることもあります。

いったん心房粗動が始まると、なかなか自然には止まりません。心房粗動は、一般的には突然始まり長時間続くことが多いようです。夜間は心臓の拍動がゆっくりになる徐脈であっても、日中は軽く体を動かしただけで心臓の拍動が速くなる頻脈を来す場合も、ままあります。

心臓弁膜症や心筋症といった心房に負荷がかかるような心臓病がある場合や、高血圧のため心肥大がある場合などに、心房粗動は始まりやすく、自然には止まらないと過重な負担となり、肺に水がたまる心不全を発症することもあります。

 また、心房粗動のために心房の中に血栓ができて、それがはがれて流れてゆき、脳梗塞を発症することもあります。

ただし、心房粗動の症状は多様で、特定の症状が出ないことも多いために、健康診断などの際に偶然、発見されることもあります。

 心房粗動が疑われる症状に気が付いた時には、自然に止まることは少ないので、循環器科、循環器内科などを受診することが勧められます。

上室性期外収縮の検査と診断と治療

内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による上室性期外収縮の診断では、心電図検査が基本となります。一般的に通常の検査は限られた時間の中で情報を集めますが、詳しく検査する場合はホルター心電計を利用します。これは胸に電極をつけて24時間にわたる心電図を記録する携帯式の小型の装置で、運動中や食事中、就寝中などでの上室性期外収縮の出現頻度と出現形態を確認できます。

また、基礎心疾患の有無や運動前後での上室性期外収縮の出現頻度をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図を行います。

正常な心臓における心電図の波形はP波という小さな波から始まり、とがって大きな波のQRS波、なだらかな波のT波、最後に小さい波のU波が見られ、これが繰り返されていきますが、上室性期外収縮の心電図上では、正常と異なる波形のP波が早期に出現し、そのP波は異所性のP波です。P波に続くQRS波は、正常な波形で出現します。

また、異所性のP波の波形により、電気刺激の発生部位が1つの単源性か、発生部位が複数ある多源性かを区別します。

内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による上室性期外収縮の治療では、症状がなく上室性期外収縮が単発で発生する場合は、特に処置を行わず経過を観察します。

しかし、症状がなくても原因となる疾患がある場合や、検査の結果で心房細動などの危険な不整脈に移行する可能性がある場合、ナトリウムチャネル遮断薬などの抗不整脈薬の投与による治療を行うことになります。

症状が強く期外収縮が連続して発生する場合は、まず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には、β(ベータ)遮断薬などの抗不整脈薬を使うことになります。薬物治療を行う場合には、副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行います。

運動をすると上室性期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻脈(頻拍)や持続性の頻脈が生じる可能性があるので、運動を控えるよう制限を設けます。逆に、運動によって上室性期外収縮がなくなる場合には、運動制限を設ける必要はありません。

一般的な上室性期外収縮の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。

発作性上室性頻拍の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、頻脈発作時の心電図検査で発作性上室性頻拍と確定できます。頻脈発作時の心電図がない場合は、24時間ホルター心電図で検査することがあります。

いずれの場合も、検査中に頻脈発作が起こってないと診断できません。そこで、症状が非常に疑わしい場合は、電気生理検査を行うことがあります。鼠径(そけい)部などから細いカテーテルと呼ばれる電極を心臓に挿入し、電気の通り道を調べるもので、発作性上室性頻拍の原因を探索できます。

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による発作性上室性頻拍の治療では、あまり発作が起こらず、発作時の症状も軽い人の場合、抗不整脈薬で予防します。

いったん発作が起こり始めると、内服剤では発作を停止できず、発作が長く続く場合は、注射による治療を行います。

よく発作が起こり、発作時間が長く、発作時の症状も強い人の場合、経皮的カテーテル心筋焼灼(しょうしゃく)術(カテーテル・アブレーション法)を行い、病気そのものを根本的に治療することもあります。鼠径部などから体内に挿入した細いカテーテルの先端から高周波電流を流し、心筋の原因組織を焼き切って正常化します。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。

心房頻拍の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による心房頻拍の診断では、心臓の電気的活動を体表面から波形として記録する心電図検査を中心に行います。心電図における真っすぐの基線である等電位線があり、心房の興奮頻度が1分間に140~200回のものを心房頻拍と見なします。

心臓の拍動数が1分間に100回を超えるような持続性心房頻拍が認められた場合には、胸部X線検査や心臓超音波(エコー)検査を行い、心不全の有無を確認します。発作時の心電図がない場合は、携帯式で小型のホルター心電計を付けたまま帰宅してもらい、長時間の心電図で診断することもあります。

異所性心房頻拍とリエントリー性心房頻拍の鑑別には、アデノシン三リン酸(ATP)の投与が有用で、異所性心房頻拍では頻拍が停止することが多いのに対して、リエントリー性心房頻拍では心室の興奮が通常より遅れたり、欠落する房室ブロックが生じるものの頻拍自体が停止することはありません。

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による心房頻拍の治療では、症状が強い場合、β遮断薬やナトリウムチャネル遮断薬などによる薬物治療を行います。

効果がない場合や、薬が使えない場合には、極端に速い頻度で電気刺激を発生させている異常興奮部位を探し出し、足の付け根などからカテーテルと呼ばれる電極を心臓内に挿入し、高周波で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーションという手術を行います。一度焼灼された組織は瘢痕(はんこん)化し電気が流れなくなりますので、頻拍は起こらなくなります。

心房細動の検査と診断と治療

内科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による心房細動の診断では、動悸や胸部症状、脈の乱れなどの症状がある場合、普通の心電図検査を中心に、胸部X線、血液検査、さらにホルター心電計、携帯型心電計、運動負荷検査、心臓超音波検査などを行います。いずれの検査も、痛みは伴いません。

ホルター心電計は、携帯式の小型の心電計を付けたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査。長時間の記録ができ、不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、心臓病は出ていないかなどがわかります。

携帯型心電計は、おおよそ1カ月間にわたり携帯し、症状が生じた時に手首もしくは胸部に圧着して自分で心電図を記録し、後から医師が記録を分析します。

運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりする検査。運動によって不整脈がどのように変わるか、心臓病が出るかどうかをチェックします。

心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に疾患があるかどうかが診断できます。

内科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による心房細動の治療では、薬物による除細動、電気ショックによる除細動のほか、心房細動が原因で起こる血液凝固を予防する薬などを使用します。

心房細動の予防のためには、規則正しい生活を行い、喫煙や飲酒、お茶やコーヒーの摂取などの習慣がある人は、本数や頻度の見直しが予防の一つにつながります。心臓病のある人は、心臓に負担をかけないように、日常生活を見直し、加齢により発症率も上がることから、年齢を意識し、年齢に見合った生活を送ることも大切です。

心房粗動の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による心房粗動の診断では、心臓の電気的活動を体表面から波形として記録する心電図をとります。

正常な心臓における心電図の波形はP波という小さな波から始まり、とがって大きな波のQRS波、なだらかな波のT波、最後に小さい波のU波が見られ、これが繰り返されていきますが、心房粗動の心電図の波形ではP波は認められず、代わりに「のこぎり状」の規則的な心房の波である粗動波(F波)が見られます。

心房から心室に伝わる電気刺激の数が多い状態で、粗動波(F波)の確認がむずかしい場合には、薬を使って心室に伝わる電気刺激の数を減らして心房の波形を見やすくすることもあります。よい条件で心電図が記録できれば、多くの場合三尖弁輪を回る通常型心房粗動か、それ以外の非通常型心房粗動かの診断ができます。

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による心房粗動の治療では、心房から心室に伝わる電気刺激の数が多く、頻脈となっている場合には、β(ベータ)遮断薬やカルシウム拮抗(きっこう)薬といった少し心臓の力を弱める作用があり、心室に伝わる電気刺激の数を減らす薬を使います。心室に伝わる電気刺激の数が減ると、心房は心房粗動のままでも動悸の症状は軽くなります。

点滴の薬を使って心房粗動を停止させるのはむずかしいことが多く、また、抗不整脈薬を使っての心房粗動停止、その後の洞調律維持(リズムコントロール)の効果は限定的で、抗不整脈薬を使ことでかえって症状が重くなることもあります。

症状が強く、特に肺に水がたまって呼吸困難を伴っているような場合には、直流通電による電気ショック治療で心房粗動を停止します。

三尖弁輪の周りを電気刺激が大きく旋回している通常型心房粗動の場合には、電極カテーテルを使って三尖弁輪から下大静脈にかけて数センチの距離を横断するように焼灼(しょうしゃく)する、カテーテルアブレーションという手術を行います。成功率が高く、危険性も少ないため現在最も勧められている治療法で、約95%程度で効果があり、症状の再発は多くても10%程度までです。

三尖弁輪以外のところを電気刺激が大きく旋回する非通常型心房粗動の場合には、あらかじめコンピュータを用いた特別な装置を用いて診断をする必要があり、正確な診断が付けば多くの場合はカテーテルアブレーションによる治療が有効です。

 心房粗動が長い間続いているような場合には、心房の中にできた血栓がはがれて流れてゆき、脳梗塞を発症することを予防するために、ワルファリンなどの血栓の予防薬を服用します。

現在、心房粗動の予防効果が高い薬は残念ながらありません。まずは日ごろから健康管理に気を配り、酒の飲みすぎ、疲労、睡眠不足、ストレスを避けることが大切になります。

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