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子宮膣部びらん
子宮腟(ちつ)部びらんとは、子宮の腟に面した部分の粘膜が赤く変化して、ただれているように見える状態。びらん、すなわち、ただれが子宮膣部に起きているわけではなく、病気ではありません。一種の生理的変化といえるものです。
びらんが起きる原因には、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関わっていると見なされています。
月経があると、エストロゲンが大量に分泌され、皮膚、外陰部、膣などと同じ扁平(へんぺい)上皮で覆われている子宮膣部が膨らむため、子宮の内側にあって、腺(せん)上皮(円柱上皮)で覆われている子宮頸管(けいかん)が外側にめくれてきます。
この子宮頸管の部分を覆う腺上皮は、粘液を分泌する一層の細胞から成り立っていて、毛細血管が際立っているために、赤くただれているように見えるのです。とりわけ若い女性では、エストロゲンが十分に分泌されているために、ホルモンに対する感受性の強い腺細胞が増殖し、頸管の部分がより外側にどんどん広がってきます。びらんのほとんどは、このようにしてできるのですから、びらんは病的というより生理的な変化といえるわけです。
月経がある女性では、びらん面の広さの程度が違っても、60~70パーセントに子宮膣部びらんがあるといわれています。更年期以降に女性ホルモンが減少すると、この赤く見えるところは次第に頸管内に退縮していきますので、閉経後の女性にはあまり見られません。
びらんを持っていても、ほとんどの女性が無症状で過ごします。しかし、びらんの部分は細菌や外部からの刺激に対して抵抗力が弱く、炎症のために下り物が増えたり、接触出血といって、性行為やタンポンなどによって刺激を受けると、出血することがあります。また、子宮頸管炎などの感染症が起こりやすくなります。
特にひどい症状がなければ、治療の必要はありません。ただ、びらんが大きい場合、下り物が多い場合や、不正出血、性交後の出血を何回も繰り返す場合は、治療をするほうがいいことなります。
まず、びらんに対する治療は別として、膣の洗浄や、抗生物質の膣錠を使うことによって炎症をとると、症状は軽くなります。この治療によっても症状が改善しない場合は、凍結療法やレーザー療法などでびらんを取り去り、その後に健康な上皮が形成されるのを待ちます。
なお、子宮頸がんの初期には、子宮腟部の粘膜にびらんの時と同じような変化が見られます。そのため、子宮腟部びらんのある場合は、がんの検査を行うのが一般的です。
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