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心因性多飲症とは、心理的なストレスが原因で強迫的、または習慣的に水分を多飲してしまう疾患。
心因性多飲症の人は、1日に摂取する水分の量が極端に多く、何度もトイレにゆくことが特徴です。水をがぶ飲みする人もいれば、コーヒーやお茶、ペットボトルに入った清涼飲料水やスポーツドリンクを頻繁に飲む人もいますが、1日に6リットル以上の水分を摂取するとされています。それに伴い尿の量も増え、1日に尿を2・5リットルから3リットルも排出する多尿症になります。
尿を作る人間の腎臓(じんぞう)は非常に精密にできており、水分の摂取量によって排尿の量を変化させ、体の中の水分の量を一定にしています。従って、水分を大量に摂取すれば排尿の量も増えることになります。成人の膀胱(ぼうこう)容量は500ミリリットルほどで、普通は300ミリリットルほどの尿がたまると尿意を感じることになります。そして、成人の1日の排尿量は通常、1〜2リットルであり、起床時に排尿をする回数は7回程度です。心因性多飲症の人では、起床時に20回近く排尿をすることにもなります。
どうしても水分を大量に摂取せずにいられない心因性多飲症になる原因は、心理的なストレスにあるとされています。ほんの些細(ささい)なストレスからなる人もいれば、仕事、学業、対人関係などのストレスや、病気、事故、事件など大きなトラブルに巻き込まれたストレスからなる人もいます。
原因は人それぞれなのですが、心理的なストレスによって極度の不安を感じたり緊張状態に陥り、それを抑えるために水などを飲むようになります。水分を摂取すると心が落ち着くという経験をすることで、落ち着くためにあらかじめ水分を摂取しておこうと考えるようになります。
いわば水分が精神安定剤のような役割を果たすわけですが、次第に水分を摂取していないと落ち着かなくなります。そして、水分を摂取しなければ自分でいられないような、自分を保てないよう気持ちになって、次第に摂取量が増加し、強迫的、または習慣的に6リットル以上の水分を摂取するようになっていきます。
心因性多飲症は、更年期障害で起こる症状の1つとして中年女性に多くみられますが、男女を問わず、ほかの年代でもみられます。
心因性多飲症がほかの心の病と異なる点は、深刻な臓器の障害を引き起こす可能性があることです。大量に水分を摂取することで、血液中のナトリウム濃度が低下し体液が薄まった状態になると、低ナトリウム血症を引き起こす恐れがあり、注意が必要です。
低ナトリウム血症の症状は、その発症速度と血液中のナトリウム濃度の低下の程度にもよりますが、軽度の疲労感がみられる初期から、進行すると頭痛や嘔吐(おうと)、食欲不振、精神症状が加わり、悪化すると昏睡(こんすい)やけいれん、認知機能低下が起きてきます。精神症状やけいれんがみられるような重篤な低ナトリウム血症では、急速なナトリウムの補充が必要となります。
自分の症状に気付かず、長期間にわたって、水分の多飲と多尿を続けている人もいます。些細なストレスが原因となっている場合は、異常さに気付けないことも多いので、周囲から「飲みすぎ」「トイレにゆきすぎ」と指摘されることが増えたら、日常を振り返ってみるようにしましょう。
心因性多飲症かもしれないと思い当たった場合は、ストレス源を取り除いて症状を解消し、低カリウム血症を予防するためにも、精神科、心療内科、神経内科を受診することが勧められます。
なお、1日3リットル以上の著しい多尿や口渇、多飲などの症状は、糖尿病、腎疾患、尿崩症で引き起こされることもあります。
精神科、心療内科、神経内科の医師による検査では、カウンセリングを行い、発症の原因になっている心理的な要因を探ります。
精神科、心療内科、神経内科の医師による治療では、カウンセリングを行うなど精神療法により、心理的な部分の要因を取り除くため、日常生活での行動の見直しなどから始めていきます。「ストレスがあるから水を飲んでいる」という自覚はなく、「のどが渇いたと感じるので水を飲んでいる」と認識している人が多いので、まずは自身に向き合うことから始め、大量の水を欲しがるのは体が渇いているからではなく、ストレスに関連した異常行動であることを理解してもらいます。
原因となったストレスは、人によってはほんの些細なことの積み重ねという場合があるので、自分でも気付かずに心因性多飲症になっていることがあります。さまざまなしがらみが絡み合っていることがあるので、一つひとつほどいていきます。ストレスの軽減や環境の変化によって、自然と治癒する場合もあります。
薬物療法として、不安が強い人には、症状を落ち着かせるために精神安定剤を補助的に使用することもあります。抑うつ症状が出ている人には、うつ病の薬も使います。薬を飲むことで、症状が治まる場合もあります。
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