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精巣過剰症

男性の精巣が3個以上存在する先天性奇形

精巣過剰症とは、男性の下腹部に精巣、すなわち睾丸(こうがん)が3個以上存在する状態の先天性異常。多精巣症、睾丸過剰症、多睾丸症とも呼ばれます。

 泌尿器系と生殖器系には、その胎生期の複雑な発生過程のために多くの先天性異常が生じやすく、男性の生殖器官である精巣、すなわち睾丸についても数、形態、位置などの異常が知られています。精巣過剰症も、比較的まれにみられる先天性異常です。

精巣は本来、陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしており、男性ホルモンおよび精子を産生していますが、精巣過剰症では真ん中にある陰嚢縫線で区切られた左右の陰嚢内に、過剰な精巣を含めて2個の精巣が重複して存在します。左の陰嚢内に2個存在することが多く、右の陰嚢内に2個存在することもありますが、左右両側の陰嚢内に2個存在することはまれです。

過剰な精巣はほとんどが陰囊内に存在しますが、精巣の下降が不十分で陰嚢内に位置せずに途中でとどまっている停留精巣(停留睾丸)などに合併して、脚の付け根の鼠径(そけい)部に存在することもあります。

過剰な精巣が発生する理由として、胎生6週で構成される生殖隆起(生殖堤)の分割過程での異常、生殖隆起の重複、胎生5週で構成される胎芽期の腎臓(じんぞう)に相当する中腎の部分的な退化の3つが考えられています。

精巣過剰症は、精巣(睾丸)、精液の通り路である精管(輸精管)、精巣の上面および後面に付着している精巣上体(副睾丸)の関係から6型に分類されています。

第1型は、精巣、精管、精巣上体を重複するもの。第2型は、重複する一方が精巣、精巣上体のみで精管を有しないもの。第3型は、重複する一方が精巣、精管のみで精巣上体を有しないもの。第4型は、重複する一方が精巣のみで精巣上体、精管を有しないもの。第5型は、重複する精巣に精巣上体が付着し、これに続く1本の精管を共有するもの。第6型は、重複する精巣、精巣上体が1本の精管で連結されているもの。このうち、第5型が最も多いとされています。

精巣過剰症には、停留精巣のほか、鼠径ヘルニア、陰囊水腫(すいしゅ)、精索水腫、精巣捻転(ねんてん)、精巣(睾丸)腫瘍(しゅよう)、奇形腫、胎児性がんなどを合併することがあります。

精巣過剰症を発見された年齢は、2歳から49歳と幅広いものの、平均年齢は20歳で若年者に多くなっています。幼少時は、停留精巣、鼠径ヘルニアなどほかの疾患の治療時に発見されることが多く、幼少時以降では無痛性陰囊内腫瘤(しゅりゅう)を主訴として受診した際に、診断されることが多くなっています。

精巣過剰症の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、まず陰嚢の触診による腫瘤の触知を図ります。超音波(エコー)検査を行うと、精巣と等信号の像が得られ、陰囊水腫、精索水腫との鑑別が可能となります。悪性腫瘍の可能性もあるため、 CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを行い、骨盤内病変の有無を調べることもあります。

最終的には、過剰な精巣に針を刺して組織を採取し、その組織を顕微鏡で見て検査を行う生検も含め、手術で摘除した組織の病理組織診によって、確定します。

鑑別すべき疾患としては、悪性腫瘍のほか、精巣腫瘍、精巣上体腫瘍、精液瘤などがあります。

泌尿器科の医師による治療では、ほとんどの場合は診断も兼ねて、過剰な精巣を手術で摘除します。過剰な精巣が小さい場合はもちろん、特に、陰囊外の鼠径部に存在する過剰な精巣は、がん化の危険を考慮し手術で摘除するべきと考えられています。

また、陰囊内にあり妊孕(にんよう)性を期待できるものに関しても、生検で悪性・異型性を認めるもの、解剖学的には精路を認めても造精能を欠くもの、超音波検査で悪性所見を認めるもの、あるいは本人に過剰な精巣の摘除の希望がある時、定期的な経過観察が望めない時は、手術で摘除するのが一般的です。

生検で過剰な精巣が精巣実質であり、悪性腫瘍でないことを確認した後に温存した場合は、慎重を期した定期的な診察と超音波検査が必要になります。

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