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若年性再発性網膜硝子体出血
若年性再発性網膜硝子体(しょうしたい)出血とは、網膜血管に血管炎が起こって血管が詰まったり、新生血管が生えてきて、網膜や眼球内に出血を起こす眼病。イールズ病とも呼ばれます。
眼球内出血のことを硝子体(しょうしたい)出血といい、この眼病は若い人によく出る疾患で硝子体出血を何度も起こします。若年者、ことに男子に多くみられ、突然の網膜硝子体の出血による視力低下で最初に気が付くケースが、多く認められます。
網膜硝子体の出血が起こると、光が網膜に届かなくなって、ひどい場合は急に何も見えなくなります。しかし、この硝子体出血は1~2週間でひき始めて、見え出すことが多いようです。出血を繰り返しているうちに、眼底に白い繊維のような組織の増殖が進み、この繊維が網膜を引っ張って、破ったりする網膜裂孔形成により、網膜剥離(はくり)や大出血を起こして、著しい視力の低下を来し、最悪の場合失明することがあります。また、出血がひどくなってしまうと、感染症も引き起こされることがあります。
大出血を起こす原因としては、網膜静脈壁の炎症を起こす網膜静脈周囲炎による静脈壁の破裂によるとする説が有力で、事実、病勢の盛んな時には網膜静脈に広範に白鞘(しろさや)をかぶったような変化がみられ、これは網膜静脈周囲炎によって起こると考えられます。また、まれに同様の変化が動脈壁にもみられることがあります。
網膜静脈周囲炎は通常、網膜周辺部に初発し、広範な領域に毛細血管網の閉塞(へいそく)した無血管領域が見られ、毛細血管網の閉塞は徐々に網膜中心部におよびます。こうした血管変化を起こす原因は、無血管領域の低酸素状態に陥った網膜からの影響と考えられます。
若年性再発性網膜硝子体出血の90%が両側性であるといわれるものの、必ずしも両眼同時に進行するものではなく、程度の差、発病と進行の時期的なずれはかなり著しい場合があります。
その病因に関しては、結核、その他細菌アレルギー説などが有力でしたが、若年性再発性網膜硝子体出血は病因にも不明な点が多く、結核アレルギー説、病巣感染説なども必ずしも信頼性が高いとはいえません。
しかし、日本において明治時代から昭和20年代にかけて、長らく死因のトップで国民病、亡国病とも呼ばれていた結核が、国を挙げて予防や治療に取り組んだため死亡者が激減したことと軌を一にするように、太平洋戦争の終戦前には相当多数起こっていた若年性再発性網膜硝子体出血も、戦後は著しく減少しました。
眼科、あるいは小児眼科の医師による若年性再発性網膜硝子体出血の検査は、視力検査、眼底検査や蛍光眼底検査、視野検査を行い、網膜の状態を調べます。
これらの検査の結果、さらなる精密検査が必要であると判断された場合には、網膜電図検査や暗順応の検査が行うことがありますが、ほとんどの場合は眼底検査の段階で診断は可能です。そのほかの検査は、ほかの眼病を併発していないかなどを調べるために行います。
眼科、あるいは小児眼科の医師による若年性再発性網膜硝子体出血の治療としては、糖尿病と同様の治療を行うことで血液成分を改善していくことで、傷害を受けた毛細血管を消滅させることがあります。
眼科的な治療としては、レーザー光線やキセノン光線を照射することで、網膜周辺部無血管領域の低酸素状態に陥った毛細血管を消滅させ、破壊する光凝固と呼ばれるものがあります。低酸素状態を緩和、ないしは消失できれば、病勢の進行に好影響を与え、場合によっては治癒に導けます。
また、病勢そのものが一段落した後に網膜硝子体中に生じた新生血管網のみが出血を繰り返す場合は、光凝固によりその閉塞を図る治療が成果を上げています。
網膜硝子体手術によって、出血で濁った硝子体を取り除き、視力回復を試みることもあります。
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