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乾燥症候群
乾燥症候群とは、全身の細胞、皮膚、粘膜に乾きが出現し、潤いがなくなることで障害が生じる一群の症状。ドライシンドロームとも呼ばれます。
目が乾く角膜乾燥症(ドライアイ)、鼻の中が乾く乾燥性鼻炎(ドライノーズ)、口の中やのどが渇く口腔(こうくう)乾燥症(ドライマウス)、肌が乾く乾燥肌(ドライスキン)、女性の膣(ちつ)が乾く膣乾燥症(ドライバジャイナ)などが含まれます。
テレビ、パソコンなどに取り囲まれて、目が酷使されてしまう現代社会では、「目が疲れやすい」、「何となく目に不快感がある」という人が、確実に増えています。視覚を担う目に不快感や違和感が生じれば、仕事や勉強を始めとした日常生活で、大変な不便を感じてしまいます。
このような疲れ目などの原因として最近、注目を集めているのが、目の乾き、すなわち角膜乾燥症、別名でドライアイです。
あなたの目の不快感も、目を使いすぎたせいばかりでなく、実は角膜乾燥症が原因かもしれません。角膜乾燥症は自分では気が付きにくく、「何となく目が疲れるわ」といった症状で病院や診療所に行き、医師から指摘される人が多いのです。
簡単にいえば、角膜乾燥症とは、涙液、すなわち涙の減少によって目が乾き、表面に障害を生じる疾患です。涙が減少すると涙の役割が低下し、乾きのために角膜が傷付きます。重症になると、角膜の表面に無数の傷が付きます。
我が国では角膜乾燥症の疾患を持つ人が多く、潜在患者は800万人いるともいわれています。放置しておくと眼病のもとになるので、早めに専門医に診察してもらうのが、お勧めです。
専門医による角膜乾燥症の検査では、シルマー試験紙という目盛りの付いた細い紙を下まぶたに挟んで、涙の染みる量を測定するシルマーテストを行い、涙の分泌低下を調べます。このほか、蛍光色素試験で角膜の傷の状態、ローズベンガル試験で結膜の傷の状態を調べます。
涙腺から分泌される涙は、泣く時以外にも少しずつ出されており、目の表面の保護や、栄養分・酸素の供給、ゴミ・細菌の侵入防止といった働きをしています。
この涙が乾いてくると、眼球の前面を覆う透明な膜である角膜の上に、ドライスポットと呼ばれる穴のような物が、開いてしまいます。通常であれば、そこをすぐ涙が覆い、やがて穴はふさがっていくのですが、ある一定量以上に涙が減り続けると穴は残ったままとなり、最も傷付きやすい角膜が露出して障害が生じるのが、角膜乾燥症なのです。
角膜乾燥症の主な原因を挙げると、
1)涙の質・量の低下を来す場合:シェーグレン症候群などの涙が減少する疾患、あるいは加齢、夜間作業、大きなストレス、降圧剤や精神安定剤などの服用の影響で涙の質が低下したり、量が少なくなることが、角膜乾燥症の原因になります。
2)涙が蒸発しやすい・まばたきが少ない場合:エアコンなどの影響で部屋が乾燥している環境、あるいは、まばたきの少なさ、コンタクトレンズの装着、アレルギー性結膜炎の罹患、パソコン・テレビの見すぎ、目の酷使などが、角膜乾燥症の原因になります。
ちなみに、私たちの目全体に涙をゆき渡らせてくれるのが、まばたきなのですが、パソコンなどを凝視すると、まばたきの回数は通常の1/4にもなります。
下の項目で、長期に渡って当てはまるものが5つ以上あれば、要注意!
1.目が疲れやすい 2.目やにが多く出る 3.目がゴロゴロする 4.目が乾いた感じがする 5.重たい感じがする
6.何となく目に不快感がある 7.目が痛い 8.何もしていないのに涙が出る 9.視界がかすむ 10.何となく目がかゆい
11.光がまぶしく感じる 12.なぜか目が赤い 13.涙が出ない 14.悲しい時でも涙が出ない
角膜乾燥症(ドライアイ)によって、目が疲れたりするだけでなく、肩が凝ったり、頭痛を引き起こしたりと、体に変調を来します。集中力も当然低下し、仕事や勉強の能率は落ちます。
角膜乾燥症を予防したり、進行させないための基本は、目を乾燥させないことです。そのためのケアの一部を紹介します。「乾いているな」と感じる方は、お試しを。
目薬を上手に使う
目を乾燥させないためには、やはり目薬が手ごろ。この目薬にもいろいろな種類がありますが、最もいいのは眼科で処方してもらう目薬です。市販されている目薬を使う場合には、防腐剤が入っていないものを選ぶよう注意しましょう。
目薬は通常、開封した後に非常に細菌感染を起こしやすい構造になっていて、カビが増殖しやすいために、防腐剤が入っていることが多いのです。目薬を使用した時に「目に染みる」と感じるのは、防腐剤のせいです。
角膜乾燥症の場合には、目の表面に傷が付いていることが多く、また防腐剤を洗い流すだけの涙が足りないために、悪影響を及ぼす恐れもあります。よって、防腐剤が入っていないかどうかを確認して購入し、開封後は早めに使い切るようにしましょう。
病院、診療所での治療においても目薬が有効で、角膜乾燥症用(ドライアイ用)の防腐剤を抜いた目薬や人工涙液などを使用します。目の乾燥のひどい人に対しては、涙の排水口である涙点を小さなシリコンプラグや手術でふさぐ方法もあるので、専門医に相談しましょう。
何よりリラックスを
涙腺は、リラックスした時に優位になる副交感神経によってコントロールされています。従って、くつろぐことで涙がより多く出ます。
逆に、緊張していては目が乾きます。車で出掛ける時などは、余裕のあるドライビングをしたいもの。運転中は無意識に緊張が高まり、まばたきの回数も減少し、さらに目が乾きます。風が目に直接当たるのも、避けましょう。
冷暖房の効いている部屋では、エアコンの風が直接当たらないようにしましょう。目が乾きやすい人は、加湿器やぬれタオルを干すなどして保湿に注意すればよいでしょう。
できればコンタクトレンズの使用を避ける
角膜乾燥症の初期の場合、コンタクトレンズを使うこともできますが、基本的には勧められません。本来、目には常に新鮮な涙が供給されていなければならないのに、コンタクトで角膜にフタをした状態では、まばたきによる涙の交換率がハードで約20パーセント、ソフトでは2~3パーセントにも低下してしまう、と見なされています。
コンタクトレンズ使用者は、防腐剤抜きの人工涙液タイプの目薬を使うように注意しましょう。保湿成分のヒアルロン酸入りの目薬も出ています。また、目を温めることでも角膜乾燥症が改善します。
角膜乾燥症用(ドライアイ用)眼鏡を使用する
顔と眼鏡の透き間を、プラスチックのカバーで覆ったものや、水を含ませるスポンジが内側についた物もあります。「たかがカバー?」と侮るなかれ、スキーのゴーグルのようなものをつけると涙が蒸発しないのでよいとされている通り、かなりの効果があります。ゴミや花粉も防ぐことができます。外出用のほか、パソコン用としてもよいでしょう。
たばこの煙を避ける
たばこの煙も角膜乾燥症の大敵! 吸っている人がいた場合は、その煙が自分の目に入らないように気を付けましょう。目は煙の粒子を洗い流そうとしますが、角膜乾燥症の人には相当の負担となります。自分が吸っている人は、この際、禁煙してみてはいかがですか。
パソコン作業には工夫を
パソコンの作業では、1時間したら10分間の休憩が必要で、作業中はまばたきを意識的に増やしましょう。正常では、まばたきは1分間に20回前後です。パソコンのモニターの位置を低くして、目線を下向きにするだけでも、涙の蒸発と目の乾燥が防げます。
私たち人間は、夜になると涙の出る量が少なくなり、朝にはカラカラ状態になっています。頭や体は起きていても、「目が開けられない!」という事態もあり得ます。このような時、無理をして開けると角膜に傷が付きます。目薬をさすなどするようにしましょう。
乾燥性鼻炎とは、鼻の中の粘膜が潤いをなくし、鼻の乾燥感と呼吸がしにくい感じがする状態。ドライノーズとも呼ばれます。
鼻の中の粘膜が乾いて、カサカサしたような乾燥感や、ムズムズ感を覚えます。乾燥感と同時に、ヒリヒリとした痛みを伴うこともあります。さらに、鼻水が出るわけでもないのに、鼻をかみたくなります。鼻水などが乾いて固まりやすくなるため、粘膜に付着したり、カサブタ状になったりします。
鼻の中の粘膜は弱いため、何度も鼻をかんでいると炎症を起こし、鼻出血を伴うこともあります。
従って、鼻の中に空気が出入りしていても、呼吸がしにくい感じになります。夜、寝る時には、鼻の中が詰まった感じで息苦しく、寝苦しくなることもあります。
鼻は、外界から体に必要な空気を吸い込むための大切な器官。外界の空気は、乾燥していたり、そのまま肺に入ると有害なほこり、ごみのほか、病原菌やウイルスような成分も含んでいます。それゆえに、鼻の中の粘膜は常に粘液を分泌し、乾燥した空気を湿潤にして、異物を粘液に絡み取ってきれいにしています。
鼻の粘膜が本来持っている加湿機能や浄化機能が低下した状態が、乾燥性鼻炎であり、風邪やインフルエンザ、感染症にかかる危険性も高くなっています。
乾燥性鼻炎を生じる原因は、空気の乾燥です。冬場の空気の乾燥時に1日の大半を戸外で過ごしたり、空気が乾燥している室内に年がら年中、身を置くことで、乾燥性鼻炎を生じます。
気密性の高いオフィスやマンション、ホテルでは、セントラルヒーティングやエアコンなどの空調設備を使用しているため、湿度が20パーセント以下になることもしばしばです。週3日以上、1日5時間以上、湿度20パーセント以下の部屋にいると、かなりの割合で乾燥性鼻炎になるといわれています。
また、アレルギー性鼻炎を抑える点鼻スプレー薬の使用により、乾燥性鼻炎を発症してしまうこともあります。アレルギー性鼻炎のように鼻水が止まらない場合は、粘膜は常に湿った状態ですが、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン剤が含まれる点鼻スプレー薬が効きすぎた場合には、粘膜が乾燥してしまって乾燥性鼻炎を発症します。
生活環境と鼻の保湿と加湿を心掛ける工夫で、乾燥性鼻炎(ドライノーズ)を治したり、予防することができます。
部屋の乾燥を防ぐには、加湿器を使うことが一番の対策で、部屋の湿度が50パーセントくらいになるようにします。ただし、60パーセント以上になると、カビやダニが発生する原因にもなるので、湿度の上げすぎもよくありません。
ぬれタオルをハンガーに掛けたり、観葉植物や水槽を部屋に置くだけでも効果があります。逆に、エアコンや電気毛布、電気シーツ、ホットカーペットなどの電気器具は、室内を乾燥させる元凶ですので、使いすぎをセーブします。
入浴の際には、10分から15分くらいは湯船につかり、鼻から湯気を吸い込むのも効果があります。片方の鼻を指でふさいで深く呼吸をすれば、両方の鼻で息をする時の倍の力で吸い込むことができ、大量の蒸気が鼻の奥までしっかり届いて潤います。
仕事中や外出中などで加湿器を使えない場所にいる時には、マスクで鼻の乾燥を防ぎましょう。普通のマスクでも効果がありますが、水で湿らせたガーゼマスクを使えば、自分の息の湿気をガーゼが吸い込んで鼻を保湿してくれるので、よりいっそう効果が高まります。
食塩水を点鼻するのも、鼻の保湿と加湿に効果があります。1リットルの水に9グラムの食塩を入れれば、人間の体液と同じ濃さの生理食塩水のでき上がりで、これをスプレーボトルなどに入れて、鼻の中に噴き入れるだけで洗浄される上、鼻の粘膜が塩分に反応して鼻水を出し、鼻の粘膜を潤った状態にします。夜、寝苦しいという人は、床に入る5分ほど前に鼻の中に噴き入れるのがよいでしょう。市販されている乾燥性鼻炎用(ドライノーズ用)スプレーも、主成分は食塩水なので、効果は同じです。
市販されている鼻用の保湿ジェルを使って、鼻の中から保湿を行うのも効果があります。
アレルギー性鼻炎を抑える点鼻スプレー薬の使用で、乾燥性鼻炎を生じている場合は、使用量を減らしたり、ほかの薬を使うようにします。
口腔(こうくう)乾燥症とは、唾液(だえき)の分泌量が少なくなって唾液の質に異常を来し、口の中やのどが渇く疾患。ドライマウスとも呼ばれます。
ストレスやうつ病による影響が主な原因ですが、さまざまな原因が考えられます。アレルギーを抑える抗ヒスタミン剤、抗うつ剤、血圧を下げる降圧剤、鎮痛剤、抗パーキンソン剤などの多くの薬の副作用でも起こります。
自分の免疫細胞が唾液腺(せん)や涙腺を攻撃してしまうシェーグレン症候群でも、口や目が渇きます。糖尿病や更年期障害、腎(じん)障害、唾液腺障害、口腔周囲の筋力の低下、食習慣、放射線が関係することもあります。
保湿や抗菌作用がある唾液が足りないと、食べ物の味がよくわからない味覚障害、水分の少ない食品が飲み込めないなどの嚥下(えんげ)障害、口の中がネバネバするなどの不快感、口腔の粘膜の乾燥、夜間の乾燥感といった症状が現れます。さらに、義歯の不適合、装着時の痛み、カンジダ菌という真菌の増殖による舌痛(ぜっつう)や口角炎も認められます。
虫歯の多発や悪化、歯周病、舌苔(ぜったい)の肥厚、舌表面のひび割れ、口内炎や口臭、食事がとれない摂食障害、会話時に話しづらいなどの発音障害を引き起こすこともあります。
歯科口腔外科、歯科、内科の医師による診断では、安静にして自然に出てくる唾液を15分間採取し1・5ミリリットル以下だと、口腔乾燥症(ドライマウス)の可能性が高いと判断します。
原因により対処は異なりますので、原因を明らかにします。血液検査や画像検査で、シェーグレン症候群などの判別もできます。
歯科口腔外科、歯科、内科の医師による治療は、唾液の分泌を促す薬や、ジェルやスプレー状の保湿剤で口の中を潤します。夜間の乾燥を防ぐ保湿用マウスピース(モイスチャープレートなど)、夜間義歯などを症状に応じて処方します。
薬の副作用が原因なら、主治医と相談して薬の変更や減量を検討します。原因がはっきりすることでストレスが軽くなり、口腔乾燥症自体が改善する場合もあります。
あごをよく動かして食べ物をかむことも大切。ほおや唇の内側など、口の中に広がっている唾液腺を刺激するマッサージも有効です。舌を転がして押し付けたり、指を入れて軽くこすったりします。口腔筋機能療法も、筋力を強化させ唾液分泌を促進させる効果が期待できます。
シェーグレン症候群からもたらされる口腔乾燥症では、残念ながら根本的な治療法はありません。口や目などの乾燥症状を軽快させることと、疾患の活動性を抑えて進展を防ぐことを目的に、内服薬と症状に応じた人工唾液、口腔乾燥症状改善薬、保湿剤、含嗽剤(うがい薬)などによる対症療法に頼らざるを得ないのが現状です。
なお、シェーグレン症候群で全身性の臓器病変のある人の場合は、内科などでステロイド薬や免疫抑制薬などを含めて適した治療を受けるべきです。
乾燥肌とは、皮膚の水分や皮脂量が不足して、皮膚が乾燥した状態。ドライスキンとも呼ばれます。
皮膚の一番外側にある角質層は、皮脂、アミノ酸や尿素などの天然保湿因子、セラミドを主成分とする角質細胞間脂質の3つの保湿成分によって、皮膚の潤いを保っています。しかしながら、3つの保湿成分は、加齢とともに減少するため、年齢が上がるとともに、多くの人は皮膚が乾燥しやすくなります。中には、体質的にセラミドが少ないために、若いうちから皮膚が乾燥している人もいます。
乾燥肌では、角質層に透き間ができやすく、外から異物が侵入しやすくなるため、表皮のすぐ下にある掻痒(そうよう)点がすぐに刺激を受けて、かゆみが生じたり、湿疹(しっしん)ができやすくなったりします。かくと皮膚の状態が悪化し、一段とかゆみが増すというように、悪循環を繰り返すこともあります。
特に、冬になると、汗などにより皮膚へ補給される水分量が減少する上、空気が乾燥して皮膚の水分が蒸発するため、皮膚が乾燥しやすくなります。
乾燥肌には大きく分けて、一般的な乾燥肌、アトピー性皮膚炎、脂性乾燥肌、老人性乾燥肌の4つのタイプがあります。
一般的な乾燥肌は、肌がカサカサしたり、洗顔後に突っ張ったり、白い粉が吹いたりするのが主な症状です。外からの刺激を防御し体内の水分を保つ肌のバリア機能が低下して、皮膚の角質層の水分量が不足している状態です。
その直接的な原因としては、スキンケアの不足、加齢、睡眠不足やストレスなどの生活習慣、食生活による肌の皮脂分泌量の低下、肌が本来持っている保湿機能の天然保湿因子の低下、セラミドなどの角質細胞間脂質などの減少が挙げられます。
これらの理由で一定の水分量を保てなくなり、健康な肌に比べて水分が約30パーセント以下になった状態が、一般的な乾燥肌に相当します。
冬場は夏場に比べて汗をかく機会が減り、皮脂を分泌するサイクル低下するため、一般的な乾燥肌になりやすい季節です。その上、暖房による部屋の乾燥は、洗濯物が乾きやすいのと同じように体の水分を奪い肌を乾燥させるので、暖房器具を上手に使うことが大切です。
一般的な乾燥肌の対策としては、エアコン、ストーブ、電気こたつ、電気毛布、ホットカーペットの使用は最低限にとどめること、急激に暖めないようにし、温度は控えめに設定すること、加湿器を使用したり、ぬれタオルを室内に干して、部屋の湿度を適度に保つことです。
アトピー性皮膚炎による乾燥肌の原因は、もともとの体質として持っている原因と、アレルゲンや肌の外部からの刺激による外部要因の原因があります。
アトピー性皮膚炎はまだ解明されていない部分も多い疾患ですが、アレルゲンなどのアレルギー反応による要因が関連しているケースが多いようです。アトピーになると、その症状として皮膚の乾燥がみられます。
アトピー性皮膚炎の特徴的な症状として、皮膚の炎症や、強いかゆみが出るため、皮膚をかいて傷付けてしまうことで、さらに肌がダメージを受けて、皮膚の保湿能力を下げて乾燥してしまうという悪循環に陥るケースがみられます。
基本的に、アトピー性皮膚炎はセルフケアで治療することはできないため、皮膚科や専門医師による治療を受けなければなりません。
医学的にもまだ、未解明の部分が多く、関係する要因には個人差が大きく、明確な対策ができないのも事実です。ただし、アトピー性皮膚炎の治療と向き合い、医師の指示を受けながら、自分の症状を悪化させる成分や食べ物、環境を理解していくことで、徐々に症状を軽減していくことは可能です。
それらを理解した上で、適切なスキンケアで清潔と保湿を心掛けることで、外からの刺激を防御し体内の水分を保つ肌のバリア機能の低下を防ぐことは可能です。
アトピー性皮膚炎は、通院による治療後、皮膚の調子がよくなったとしても、症状が繰り返すことも特徴です。自身の症状に悪いことを把握して、常に予防を意識した生活習慣を続けることが大切です。
脂性乾燥肌は、一般的にいわれている混合肌の一種で、乾燥している部分と脂っぽい脂性肌(オイリー肌)の部分が混在している肌の状態です。額から鼻にかけてのTゾーンは脂っぽいのに、口回りやあごからなるUゾーンは常に乾燥しているなど、顔の中に脂性肌と乾燥肌が混在しているために、ケアするのが難しく、基本的に乾燥している部分と、ベタ付く部分に分けてケアをする必要があります。
肌の悩みは、乾燥肌の人が増加傾向にあるのですが、乾燥肌と同じくらいに増加しているのが脂性乾燥肌です。
原因は、生活する環境やストレスによりホルモンバランスが乱れ、体の代謝や循環機能が正常に働かなくなることにあります。そうなると肌の水分量や油分量のバランスを崩れ、肌にカサ付く部分とベタ付く部分が混在するようになるのです。
脂性乾燥肌は、正しいスキンケアを行い、睡眠やストレスなどの生活環境を見直すだけで改善が見込めるので、対策がしやすい肌の状態です。逆に、間違ったスキンケアをしていたり、菓子や脂っこい食事に偏ったり、生活習慣や食生活に気を遣わないと、症状が悪化しやすい肌の状態でもあります。
脂性乾燥肌になると、何度も洗顔しがちですが、それは逆効果です。洗顔で皮脂を落としすぎないことが大切で、洗顔後の保湿もしっかり行います。
老人性乾燥肌の原因は、加齢です。年齢を重ねると、皮膚の発汗機能や皮脂の分泌機能が低下し、シミやシワができやすやくなり、肌も年齢とともに衰えてきます。また、年を重ねていくと、肌の水分を保つ役割をしている角質細胞間脂質が減少していくことから、皮膚は乾燥しやすくなるといえます。
老人性乾燥肌の中にも、老人性皮膚掻痒症と老人性乾皮症の2種類があります。
老人性皮膚掻痒症は、加齢による皮膚の老化が原因で、ターンオーバーなどの皮膚機能が低下することで発症する皮膚疾患です。分泌される皮脂が減少し、肌に張りがなくなり、汗もかきにくくなるという特徴があります。冬などの乾燥する季節になったり、冷暖房により室内の湿度が低くて空気が乾燥する生活環境にいると、肌がカサカサしてかゆみが強くなる特徴もあります。
老人性乾皮症は、加齢により肌の水分保持能力が低下し、肌の水分が不足することで発症する皮膚疾患です。特に、空気の乾燥する秋から冬にかけて症状が現れることが多く、自覚症状としてかゆみを伴うことが特徴です。冬場の暖房などによる空気の乾燥や、顔や体の洗いすぎで肌の天然保湿因子が失われ、さらに悪化します。
老人性乾燥肌の予防対策としては、熱い湯の長風呂と頻回な入浴を避けることが有効です。入浴する際は、せっけんは洗浄力の強いものを避けて保湿剤入りのものを使い、ゴシゴシ顔や体を洗わないことです。ナイロンタオル、ボディソープを使うと、皮脂が取れすぎて悪化することがあるので、お勧めできません。
入浴後は、顔はもちろん全身をボディローションやボディークリームで保湿するようにします。
できるだけ皮膚をかかないように気を付け、つめは短く切ります。精神的な不安、イライラもかゆみに影響しますので、安らかな気持ちで生活を送ることも必要です。規則正しい生活を心掛け、十分な睡眠を確保し、バランスのよい食事を取ります。刺激の強い食品、辛い食品はかゆみが増すので、避けるようにします。
膣(ちつ)乾燥症とは、女性生殖器系の器官である膣の中が乾燥し、潤いを欠く状態。ドライバジャイナ(Dry Vagina) 、DVS(Dry Vaginal Syndrome)とも呼ばれます。
膣は、骨盤内にあって子宮と体外とをつなぐ管状の器官で、伸び縮みできる構造をしています。膣の前方には膀胱(ぼうこう)や尿道があり、後方には直腸があります。膣壁は粘膜に覆われ、その粘膜面には横に走るひだがあります。このひだは正中部で集合し、前壁と後壁で中央に縦に走るひだになっています。このひだは出産の経験のない人に、多く認められます。
この膣の中は、温かく湿っていて有機物が豊富にある状態で、細菌の繁殖に適しています。しかし、膣には自浄作用という働きがあります。膣壁上皮は卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンの作用により、表皮細胞への分化が促され、細胞質の内にグリコーゲンが蓄積されます。剥離(はくり)した細胞内のグリコーゲンは、ブドウ糖に分解されて、膣内の乳酸桿菌(かんきん)によって乳酸菌に換えられます。これにより膣内は酸性となり、酸性環境に弱い細菌の増殖が抑制されます。
しかし、40歳代の後半くらいから閉経を迎える女性、および閉経後の女性では、膣の正常な柔軟性、酸性度、潤滑性を維持するために必要不可欠なエストロゲンの分泌量が減り、これが膣壁の粘膜を薄くして柔軟性を失わせるとともに、潤滑性を失わせ、膣乾燥症の原因になります。膣の中が乾燥することにより、痛みやかゆみを覚え、膣壁がこすれたりすることによる炎症なども起こることがあります。
性交渉の際にも、膣の中が乾燥し、潤いがない上に、膣壁の柔軟性がないことで痛みを伴ったり、状態によっては性交渉そのものが苦痛になることもあります。
エストロゲンは、閉経期および閉経後のほか、妊娠中、授乳中に減少し、卵巣の摘出、喫煙によっても減少します。無理なダイエットによって月経周期が崩れたり、生理がこないという若い女性でも、エストロゲンは減少します。ごくまれに、食べ物などのアレルギー反応に関連して、エストロゲンの減少を経験することがあります。
膣が乾燥する原因は、エストロゲンの減少以外にもいくつかあります。風邪薬、アレルギー治療薬、一部の抗うつ剤は、膣を含め体全体の乾燥の原因になります。乳がんの治療に使用されるような化学療法薬も、膣を含め体全体の乾燥の原因になる可能性があります。市販のビデ(膣洗浄剤)を使用すると、膣の中の自然な化学的バランスが崩れて、これが炎症や乾燥の原因になることがあります。
自分自身の体を異物と認識して攻撃する自己免疫性疾患の一種で、全身の分泌腺(せん)組織を侵して唾液(だえき)や涙などが出にくくなるシェーグレン症候群という難病の一症状としても、膣にあるバルトリン腺と呼ばれる分泌腺が侵され、膣乾燥症がみられることもあります。40~60歳の女性に多いのが特徴で、女性ホルモンの要因も関連して発症すると考えられています。
婦人科、産婦人科の医師による診断では、まず膣乾燥症の原因を探し出すために、問診を行います。自覚症状に関する質問をしたり、治療中の病気や市販薬、処方薬にかかわらず使用している薬について質問をしたりします。
確実な診断を得るためには、内診のほか、超音波検査、MRI検査、基礎体温の測定、血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査、膣分泌物の顕微鏡検査や培養検査などを行うこともあります。原因を特定できない場合や、ほかの症状がある場合は、追加の検査を行うこともあります。
婦人科、産婦人科の医師による治療では、閉経期および閉経後の女性ホルモンのエストロゲン不足によるものであれば、天然のエストロゲンを薬として補充します。
しかし、ホルモン療法はすべての人に適した治療というわけではなく、副作用が出ることもあります。副作用には、体重増加、体液貯留、吐き気、頭痛、乳房を押した時の痛み、皮膚にできる色の濃い斑点(はんてん)、脳梗塞(こうそく)、血栓、認知症、乳がんや卵巣がんのリスク増加があります。
ホルモン療法以外の選択肢はいくつかあり、膣の乾燥に対応するために特別に作られた保湿剤を使うと、1回の使用で最大3日間症状を和らげることができます。性交痛の対策としては、性交渉の際に膣用のゼリーやローションといった潤滑剤を使用すると、痛みを和らげることができます。潤滑剤が膣壁の粘膜に潤いを与え、1回の使用で数時間効果が持続します。
市販のビデ(膣洗浄剤)、せっけん、リンスなど膣を洗うために作られた製品を使用して膣の乾燥を生じている場合は、その使用を避けることで悪化させないようにします。
ほかにも、エストロゲンと似た作用をするイソフラボンを含む大豆と大豆製品を食事で摂取すると、膣の乾燥が和らぐことがあります。八味地黄丸(はちみじおうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などの漢方薬を服用することで、膣の乾燥が和らぐこともあります。
シェーグレン症候群による膣乾燥症であれば、内科などでステロイド薬や免疫抑制薬などの服用を含めて、適した治療を受けてもらいます。そちらの治療を行うことで、改善する可能性が考えられます。
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