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血管運動性鼻炎
血管運動性鼻炎とは、アレルギー反応の関与が証明できないため原因がはっきりしないものの、鼻粘膜の自律神経の過敏反応により、くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻詰まり(鼻閉)などの症状を示す疾患。血管運動神経性鼻炎、寒暖差アレルギーとも呼ばれます。
くしゃみ、鼻水、鼻詰まりは、体への異物の侵入を阻止し、排除しようとする防御のメカニズムで、これらの症状が過剰に現れた状態を鼻過敏症といいます。鼻過敏症には、血管運動性鼻炎とアレルギー性鼻炎の2つがあり、ほぼ同じ症状を示します。
鼻の粘膜でアレルギー反応が起こるのがアレルギー性鼻炎で、繰り返す発作性のくしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つが主な症状。鼻から吸い込まれた抗原(アレルゲン)が、鼻の粘膜でアレルギー反応を起こして発症することから、空気中を浮遊している抗原が原因となります。代表的な抗原は、ハウスダスト(室内のほこり)やダニ、花粉などです。
一方、血管運動性鼻炎は、特定のはっきりした原因が不明なものの、アレルギー性鼻炎とほぼ同じ症状を示します。ただし、アレルギー性鼻炎とは異なり、鼻や目のかゆみは起こりません。
特定できないものの、鼻粘膜の無意識に作用する自律神経の働きが過敏になって発症すると考えられています。自律神経の働きを過敏にさせる要因には、急激な温度変化、寝不足や慢性的な疲れ、精神的なストレス、たばこの煙の吸入、化粧品などの香料の吸入、飲酒などがあります。
特に、温度変化によって引き起こされることが多く、暖かい場所から寒い場所へ移動した時や、熱い物を食べた時などに症状が現れやすく、空気が乾燥すると悪化するという特徴があります。
例えば、寒暖差の大きい冬の朝、暖かい布団から抜け出た直後から鼻の血管が拡張し、鼻粘膜の細胞から滲出(しんしゅつ)液がにじみ出て鼻粘膜がむくみ、水様性の鼻水が分泌される状態がしばらく続き、食事を終えて出勤、登校するころになると、周囲の温度に慣れて症状が治まってきます。しかし、暖かい家から空気の冷たい戸外へ出た時には、症状が再発します。
逆に、夜になり布団に入って暖まってくると、鼻詰まりなどの症状がしばらく続きます。鼻詰まりがひどくなると、鼻での呼吸が十分にできなくなり口で呼吸するようになるため、のどの痛みやいびき、不眠、注意力散漫などの症状が出ることもあります。
血管運動性鼻炎の症状は、冬に限ったものではなく、冷房の効いた夏場など年間を通じて起こり得ます。暑い戸外から冷房の効いた室内に入った時などに、鼻水が分泌されて不調になる症状が出ることも多々あります。
年間を通じてよくなったり悪くなったりを繰り返し、症状が数週間続く場合もあれば、すぐに治まることもあります。
くしゃみや鼻水などの症状が長引く場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、自分に合った治療やアドバイスを受けることが勧められます。
耳鼻咽喉科の医師による診断では、まず、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が1年中起こるのか、あるいは春や冬の季節などに限定して起こるのかを調べます。それをもとに、アレルギー性鼻炎かどうか、もしそうならば原因となる抗原は何かを鼻汁検査、特異的IgE抗体検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストを行って調べます。
検査結果で陽性を示す場合に、アレルギー性鼻炎と確定します。検査結果で陰性を示し、抗原(アレルゲン)を特定できない場合に、血管運動性鼻炎と確定します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、アレルギー性鼻炎の場合は抗原の除去・吸入回避が重要ですが、血管運動性鼻炎の場合はアレルギー反応の関与が証明できないので、症状を抑える対症療法を主体に行います。
薬物療法では、抗ヒスタミン薬や漢方薬などの内服薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤が含まれる点鼻薬を主に使います。しかし、長期間の経過観察が必要です。症状を抑える薬を使用すると、その時は改善しても、再発することが多く、完全に治ることが難しいからです。
薬物療法に効果を示さない場合は、手術療法を行うこともあります。鼻詰まりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー手術、凍結手術、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、自律神経の副交感神経を遮断する後鼻神経切断術が行われることもあります。
血管運動性鼻炎に関しては、睡眠不足にならない、精神的ストレスをためない、たばこの煙を吸わない、アルコールを飲みすぎない、規則正しい生活とバランスの取れた食事を心掛ける、適度な運動をして体力を付けるなどの点に注意し、症状を悪化させない努力も大事です。また、体を温めることが効果的です。朝起きたら家の中で軽く体を動かすなど、血行をよくして体を温めると、症状が治まることもあります。服を一枚多く着て体温を調整すると、症状が治まることもあります。
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