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家族性複合型高脂血症
家族性複合型高脂血症とは、血液中の総コレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)の両方が高値となる疾患。家族性複合型脂質異常症とも呼ばれます。
体質の遺伝による高脂血症(脂質異常症)で、いわゆる生まれ付きのものです。常染色体優性遺伝の形式を示すとされているものの、疾患を起こす遺伝子は特定されておらず、リポ蛋白(たんぱく)リパーゼ(LPL)やアポ蛋白など複数の遺伝子異常がかかわっていると見なされています。
その頻度は高く、人口1000人に10人の割合で、つまり人口の約1パーセントにみられます。血液中の脂質を増やす遺伝性疾患の中では、最も多くみられる疾患に相当します。
若年で心筋梗塞(こうそく)を発症することがあり、65歳以下の心筋梗塞患者の基礎疾患として約30パーセントを占めるとされます。
思春期以降に高脂血症が出現することが多く、過栄養、運動不足などの後天的要因によっても、高脂血症が誘発されます。LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇は、同じ遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症に比べると、比較的軽度。
VLDL(超低比重リポ蛋白)コレステロールとLDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値が上昇するⅡb型高脂血症を基盤としますが、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値が上昇するⅡa型高脂血症や、VLDL(超低比重リポ蛋白)コレステロールの値が上昇するⅠⅤ型高脂血症を示す時があります。
同一家系内に高コレステロール血症、高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)および両者合併型の高脂血症が混在し、さらに同一者が高コレステロール血症を示したり、高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)を示したりするという特徴があります。
通常、小児期には症状はありません。LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇が、家族性高コレステロール血症に比べると、比較的軽度のためです。
高脂血症はそれ自身自覚症状はありませんが、将来、心筋梗塞などの動脈硬化症を引き起こす疾患であることを十分認識し、もし検診などで指摘されたら、放置せずに内科、内分泌・代謝科を受診し、適切な治療を受けることが勧められます。
内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、まず身体診察を行い、家族歴について質問します。次に血液検査を行ない、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)、またHDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(善玉コレステロール)の値を測定するとともに、中性脂肪(トリグリセライド)、小型LDLコレステロール(超悪玉コレステロール)、アポ蛋白Bの測定を行ないます。食後9時間から12時間の空腹時に採血します。
大抵の場合、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)と中性脂肪(トリグリセライド)の値が上昇しており、HDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(善玉コレステロール)の値は平均値よりも低下しています。また、小型LDLコレステロール(超悪玉コレステロール)の存在により、アポ蛋白Bの値が上昇しています。
内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法、薬物療法を行ないます。家族性複合型高脂血症は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するため、治療の目的は疾患を完治させることではなく、心臓疾患のリスクを軽減させることです。
食餌療法では、欧米風の高カロリー食品やコレステロール値の高い食品、脂分の多いファーストフードの過剰な摂取を制限します。そして、野菜や果物、魚といった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。
運動療法では、積極的にウォーキングや水中歩行などの適度な有酸素運動を行ないます。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行なうことで基礎代謝の向上効果が期待できます。
また、喫煙、ストレス、過労、飲酒、睡眠不足など生活習慣全般の見直しも、改善法として効果的です。
薬物療法では、一般にスタチン系薬剤と呼ばれているHMG‐CoA還元酵素阻害薬を使います。この種類の薬は、コレステロールの合成を抑制するもので、LDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値を低下させます。
症状に応じて、フィブラート系薬剤のベザフィブラートやフェノフィブラートを使います。この種類の薬は、中性脂肪の合成を阻害するものです。オメガ3系多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)製剤やドコサヘキサンエン酸(DHA)製剤を使うこともあります。
そのほか、ニコチン酸、胆汁酸陰イオン交換樹脂を使うこともあります。胆汁酸陰イオン交換樹脂は、特に食事療法と併用した場合に、LDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値を効果的に低下させます。
血液中の脂質レベルが高すぎるため、医療的な治療を施しても心臓発作の可能性を大幅に低めることはできない場合があります。こういった場合、治療を行ってもリスクは高いままです。
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