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厚硬爪
厚硬爪(こうこうそう)とは、爪(つめ)の甲が異常に厚くなり、硬くなった状態。厚硬爪甲とも呼ばれます。
多くは、爪の先端の皮膚の隆起を伴っており、爪の甲が前に伸びていきません。主に足の親指(第1指)の爪に症状が現れ、厚く、硬くなった爪の伸びる方向は上方から真上へ向かい、高度になると爪の先端が後方へ向かうこともあります。
爪の色は混濁して、灰色から茶褐色に変色し、爪の表面もでこぼこになり、光沢がなくなります。
一度、痛みを感じるほどに厚硬爪の症状が悪化すると、歩いた時の足を後ろにけり出す力により、厚く、硬くなった爪が皮膚に食い込んだり、靴先にぶつかったりして、痛みは余計に増していきます。
加齢とともに生じる場合が多く、高齢者に多くみられます。年齢を増すごとに、栄養が足の爪までゆき届かずに、靴や靴下などによる摩擦からも爪の水分や油分が奪われて、爪の甲が厚く、硬くなります。
また、靴による慢性的な足先への圧迫が原因で、生じることもあります。小さい靴を無理に履いたり、ハイヒールをいつも履いていたりすると、爪の先端の軟らかい皮膚の部分が歩いた時に地面から受ける圧力によって隆起するために、足の親指の爪が正常に伸びることができずに変形し、厚硬爪となります。
外傷、血行障害が原因で、生じることもあります。極めて少ないものの、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症を始めとする内分泌系の疾患や、下肢の静脈瘤(りゅう)性症候群、血管閉塞(へいそく)、末梢(まっしょう)神経障害が原因で起きることもあります。
厚硬爪を治療せずに放置すると、爪甲鉤弯(こうわん)症といって、金具の鉤(かぎ)や鳥のくちばし、羊の角のように、爪が分厚く変形して、弓なりに曲がったり、後ろを向く症状が現れることがあります。
爪甲鉤弯症になると、普通の爪切りでは切れなくなって爪が長くなり、靴を履くことができなくなります。時々、変形した部位が痛むこともあります。
厚硬爪は、いくつかの疾患が合わさって生じていることや、爪の水虫といわれる爪白癬(はくせん)により悪化していることもあるので、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、まず爪の水虫といわれる爪白癬の検査をするのが一般的です。爪に白癬菌などが認められなければ、爪の形状から厚硬爪と確定することになります。甲状腺機能低下症など原因となり得る疾患を確認することもあります。
皮膚科の医師による治療では、厚く、硬く変形した爪を専用の爪切りで処置したり、爪やすりでできるだけ薄くなるように削ります。
日常生活に支障を来すような場合や、爪が下の皮膚から浮いている場合には、外科的に爪をすべて取り除くこともあります。変形した爪が、血管や神経にダメージを与える可能性もあるからです。爪を切除することで、痛みを緩和することにもつながります。
爪を取り去った後、アクリル樹脂製の人工爪を取り付けることもあります。この方法は、治療直後から痛みが軽減し靴を履いて帰宅できますし、入浴も可能です。また、人工爪が外れても繰り返し取り付けることができます。
足の親指の先端の皮膚の隆起が硬くなっている場合、爪の伸びを妨害する骨や皮膚の盛り上がりを外科的に取り除くこともあります。爪の甲の前方だけを外科的に取り除き、その爪床部を開けて骨を削り、人工爪を取り付けることもあります。
甲状腺機能低下症などの疾患が原因になっている場合は、その疾患の治療がそのまま厚硬爪の治療になります。
予防法としては、足先への圧迫、血行障害も厚硬爪の原因となりますので、足指を圧迫することがないようサイズの合った靴を履くことが大切です。複数の靴を毎日履き替え、爪が当たる位置を変えてみたり、靴ひもをしっかり結んで爪が当たらないようにするのも一案です。
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