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逆行性射精


射精時に精液が膀胱側へ流れ込む状態で、男性不妊症の原因にも

逆行性射精とは、射精時に精液が陰茎の外尿道口から外部に放出されず、逆方向の膀胱(ぼうこう)に流れ込む状態。

男性の陰茎が勃起(ぼっき)して性行為も正常に行なえ、射精感もあるにもかかわらず、外尿道口から精液が全く出ないか、非常に少なくなります。

これは、通常の射精時には閉じているはずの内尿道口が閉じ切らず、膀胱頸部(けいぶ)が開いたままになるために起こります。内尿道口を閉じるためには交感神経の力が必要で、交感神経が鈍るなどの原因で内尿道口の締まりが悪くなると、通常であれば射精時に陰茎側に向かうべき精液が膀胱側に向かってしまいます。

膀胱内に精液が流れ込んでも痛みなどは特になく、人体には影響はありません。外見からわかる症状は放出される精液量が減るということで、正常値は1・5ml以上といわれる精液量が1mlに満たない場合には、逆行性射精も考えられます。また、射精後の尿が白く濁る、射精後の尿と一緒にドロッとしたものが出てくるなどの症状がある場合もあります。

男性不妊症の原因となることもあります。放出される精液量とその精液の中の精子数や運動率にもよるため、日常生活の中でパートナーが完全に自然妊娠できないということはないものの、妊娠する可能性は低くなります。

逆行性射精の原因は、交感神経の障害や切断があって内尿道口に影響するものと、交感神経以外に問題があって内尿道口の閉鎖不全となるものとに大別されます。

交感神経の障害の原因としては糖尿病が多く、逆行性射精の原因の半数を占めます。糖尿病は軽症でも勃起障害を来し、重症になると逆行性射精や射精障害を来します。交感神経の切断は、脊髄(せきずい)の損傷、また、腹部や骨盤部の悪性腫瘍(しゅよう)などの外科的手術によって起こります。

交感神経以外の原因としては、前立腺(ぜんりつせん)の外科的手術が挙げられ、前立腺肥大症の人の前立腺を切除して尿道を拡張した結果、内尿道口と前立腺の締まりが悪くなることによって起こります。また、前立腺肥大症の薬など特定の薬物の服用が、内尿道口の閉鎖不全を起こすこともあります。

男性不妊症が問題になる場合は、泌尿器科の専門医を受診することが勧められます。

逆行性射精の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、射精後すぐに採取された尿サンプルに多量の精液が含まれていれば、逆行性射精と判断します。

泌尿器科の医師による治療では、交感神経の障害が原因となっている場合には、射精時に交感神経を活発にし、内尿道口を閉じさせる作用のあるアモキサピン(アモキサン)やイミプラミン(トフラニール)という薬などを処方します。定期的に内服してもらう場合と性交渉の前に内服してもらう場合がありますが、眠気を催す副作用の可能性が高い薬であり、注意が必要です。

糖尿病が原因となっている場合には、まず糖尿病を治療して血糖値を安定させることが重要です。血糖値が安定すれば、時間を掛けて自然治癒する可能性はあります。

特定の薬物の服用が原因となっている場合には、その薬物の内服を中止して別の薬物に変更すれば治る可能性はあります。薬を変更する際には、主治医とよく相談することが勧められます。

薬物治療で効果が認められない場合には、膀胱内に射精された精子を回収して、人工授精や体外受精を行うことがあります。この際、射精した後の尿を回収すると精子が死んでしまうため、手順を踏んだ処置を行います。

まず、膀胱内の残尿をカテーテルなどですべて抜いた後、電解質が入っていないブドウ糖液を膀胱内に注入し、そこからマスターベーションによる射精をしてもらい、精子を含んだブドウ糖液をカテーテルで回収します。こうして回収、採取した精子は、その数や運動率などに基づく判断で、人工授精または体外受精に使用し、妊娠を期待します。

膀胱内に射精された精子を回収する処置で、精子が採取できない場合には、精巣精子採取法を行って、精巣の精細管や精巣上体、精管から精子を直接取り出すこともあります。

逆行性射精そのものの予防法は、ありません。しかし、逆行性射精は糖尿病、脊髄損傷、悪性腫瘍の手術などに伴って起こってくるため、それらを予防することが逆行性射精の予防にもつながります。食生活に注意して糖尿病を防ぎ、悪性腫瘍は早期発見できるよう心掛けることが大切となります。

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