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交感性眼炎
交感性眼炎とは、片方の目の虹彩(こうさい)、毛様体、脈絡膜からなるぶどう膜が損傷するような外傷や手術を受けた後、1カ月以上経過してから、反対側の健康な目にも炎症が起こる疾患。
ぶどう膜は、眼球の外膜と内膜に挟まれた中間の層です。この層の膜は外から見えませんが、果物のぶどうの色をしていて、形もぶどうによく似ており、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの部分で構成されています。
虹彩は、瞳孔(どうこう)の周囲にある色の付いた環状の部分で、いわゆる茶目に相当する部分です。カメラレンズの絞りのように開いたり閉じたりして、眼内に入る光の量を調整します。
虹彩に続く毛様体は、いくつかの筋肉が集まった部分で、目のピント合わせをします。毛様体が収縮すると、水晶体が厚くなって近くの物に焦点を合わせることができ、毛様体が緩むと、水晶体が薄くなって遠くにある物に焦点を合わせることができます。同時に、毛様体で作られる房水は、目の内圧を一定に保つのに重要な働きをしています。
脈絡膜は、毛様体の縁から眼球後部の視神経のところまで広がっている部分。最も血管に富んで色素の多い組織で、網膜を裏打ちして目に栄養を与え、暗室効果を作って目を保護する役割を果たしています。
このぶどう膜の一部、あるいは全体が炎症を起こすのが交感性眼炎ですが、外傷や手術を切っ掛けとして、色素細胞が免疫系にさらされることにより色素に富んだぶどう膜に対する自己免疫反応として引き起こされ、多くの場合、外傷や手術を受けてから1カ月から2カ月を経て症状が現れます。
色素細胞に対する自己免疫反応という意味では、原田病と呼ばれる日本人を含め、アジア系の人種で頻度の高いぶどう膜炎と同じ病態であり、経過も似ていますが、外傷や手術が切っ掛けになる点で区別されます。
交感性眼炎の症状としては、原田病と似ており、発熱、のどの痛みなどの風邪のような症状、耳鳴り、難聴、めまい、頭痛などが、目の症状に先立って現れることもあります。時に、頭皮にピリピリするなどの違和感が出てきます。
目の症状は、まぶしい、目の奥のほうが痛い、物が見えにくいなど、通常、両目に現れます。一般的に脈絡膜炎を認め、しばしばその上に滲出(しんしゅつ)性網膜剥離(はくり)を伴います。
目のけがをした後は、眼科医の指示に従って、受傷していない目の定期的なチェックも必要で、異常を感じた場合は速やかに眼科医の診察を受けて下さい。早期治療を行わないと、視力が回復力しない場合もあります。
眼科の医師による診断では、原田病と呼ばれるぶどう膜炎と基本的に同じ検査を行います。
眼底検査を行うと、網膜剥離を伴う特徴的な炎症像がみられます。この滲出性網膜剥離は炎症に伴って起こるもので、通常の網膜に裂孔ができて起こる網膜剥離と違って、手術の必要はありません。炎症を鎮めることによって治ります。
造影剤を注射して蛍光眼底造影検査を行うと、網膜剥離に相当するところで造影剤が漏出するなどの特有の所見が得られます。髄液検査や聴力検査なども必要です。
ほかに血液検査を行うと、白血球の増大、赤沈の高進、CRP(C反応性蛋白〔たんぱく〕)陽性化などの炎症性の反応がみられます。また、白血球の血液型に当たる組織適合抗原(HLA)の中で、DR4またはDR53を持った人によく発症することも原田病と似ています。
眼科の医師による治療は、原田病の治療に準じて、目に永久的な障害が出るのを防ぐため早期に開始します。治療の中心は、炎症を鎮めるためのステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の大量点滴投与です。
ホルモンの一種であるステロイド剤を大量に投与すると、血栓の形成、高血圧、血糖上昇などの重い副作用が出る危険性もあるので、入院が必要です。超大量のステロイド剤を短期間に集中して投与する、いわゆるパルス療法が行われることもあります。免疫抑制薬を使うこともあります。
穿孔(せんこう)性の目の外傷を受けた人で、HLAーDR4またはHLAーDR53など遺伝的素因を持つ場合には、十分な経過観察が必要です。
重篤な交感性眼炎を起こした片方の目の視機能の回復が全く期待できない場合には、もう片方の目に交感性眼炎が起こる危険性を最小限にするために、眼球摘出や眼球治療の外科手術を行うこともあります。
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