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好酸球性中耳炎
好酸球性中耳炎とは、中耳の粘膜から、血液中の白血球の一種である好酸球が浸潤し、にかわ状の粘度の高い滲出(しんしゅつ)液がたまる中耳炎の一つ。
好酸球は、免疫にかかわる白血球の一種で、ある種の寄生虫に対して体を守る免疫機能を担い、アレルギー反応の制御を行う一方で、高度の浸潤があると組織障害を引き起こし、気管支喘息(ぜんそく)、アレルギー性鼻炎などの疾患を引き起こす一因にもなる細胞です。
好酸球性中耳炎は、多くの場合は成人発症型の気管支喘息に合併して発症しますが、好酸球性副鼻腔(ふくびくう)炎から発症する場合もあります。
にかわ状の粘度の高い貯留液が中耳腔にたまることにより、 難聴(伝音難聴)や耳閉感、耳鳴りなどが生じます。特に気管支喘息の発作時に増悪することが多く、発作の軽快とともに耳の症状が治まることもあります。
しかし、音を感じる内耳にも障害を与えることがあり、この場合は耳鳴り、めまいが生じ、治癒不能な難聴(感音難聴)を引き起こすこともたびたびあります 。
細菌感染が合併すると、鼓膜肥厚、鼓膜穿孔(せんこう)、膿性耳漏(のうせいじろう)、肉の塊である肉芽(にくげ)などができることがあります。
40~50歳代での発症が多く、女性にやや多くみられます。好酸球性中耳炎は、進行が速く難治性で、難聴を生じるリスクも高く、発症者の約5割が聴力の低下を来しているといわれます。約8割は両耳に発症し、片側もしくは両側とも聴力を失う可能性もあります。
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、中耳にたまった貯留液中の好酸球を確認します。
鼓膜の視診と聴力検査を行うこともあります。鼓膜の視診では、耳鏡を使って状況などを観察します。聴力検査では、音を聴神経へ伝える外耳・中耳・鼓膜に障害が生じたために起こる伝音難聴か、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる感音難聴かを調べて、症状の進行状況を把握します。
耳と鼻の間にある細い管の働きを調べる耳管機能検査を行うこともあります。
また、よく似た疾患に好酸球性多発血管炎性肉芽腫(しゅ)や好酸球増多症、ウェゲナー肉芽腫症に伴う中耳炎があり、これらと区別します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、抗菌剤や鼓膜切開など従来の中耳炎に対する治療法の効果が乏しいため、鼓膜換気のためのチューブ留置や中耳の洗浄、中耳内へのステロイド剤の局所投与、ステロイド剤の内服による全身投与などを行います。
ただし、まだ治療法は確立はされていません。ステロイド剤の局所投与や内服などで、一時的には改善しますが、再発を繰り返すケースが多くみられます。
感音難聴が生じた場合も、ステロイド剤の投与を行いますが、必ずしも聴力改善が認められるわけではありません。通常手術は無効ですが、高度の細菌感染を伴う場合には手術を行うこともあります。
また、多くの場合に気管支喘息を伴うため、内科や呼吸器科の医師と連携した治療も行います。
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