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カンジダ性爪囲爪炎
カンジダ性爪囲爪炎(そういそうえん)とは、手の指の爪(つめ)やその周囲に、カンジダという真菌の一種が増殖して起こる皮膚病。
カンジダという真菌、いわゆるかびの一種は、もともと人間が持っている常在菌で、口腔(こうくう)や気管支、肺、腸管、膣(ちつ)内、皮膚などに常在して生息し、病原性が弱いため害を及ぼしません。しかし、疲労が重なったり、病気で体の免疫力が低下している時、あるいは妊娠している時、糖尿病にかかっている時などに、カンジダが増殖して病原性が現れると、さまざまな部位に炎症を引き起こします。
その一つが、爪や爪の周辺に起こるカンジダ性爪囲爪炎です。
ほとんどが手の指に起こり、中指、薬指に多くみられます。始めは、爪の基部が白く濁り、周囲の皮膚が赤くはれ上がり、押すと圧痛があります。悪化すると、爪と皮膚の間が化膿(かのう)して、うみが出たり、痛みが生じます。
非常に治りにくく、爪の根元に炎症が起こると、新しく生えた爪が変形して、爪の表面が凸凹し、横に筋(横溝)がみられたり、爪が褐色や灰色に変色することがあります。
これは、カンジダが爪の中にまで侵入していることはないものの、爪の表面に付着し、爪と皮膚の間で増殖しているためです。このカンジダ性爪囲爪炎は、カンジダ性指間びらん症と合併することもあり、指と指の間に紅斑が現れたり、ただれたりします。
カンジダ性爪囲爪炎は、指先が湿る水仕事の機会の多い中年女性や料理人、糖尿病などの人に起こりやすいものです。
カンジダ性爪囲爪炎に気付いたら、湿疹(しっしん)性の爪囲爪炎、細菌性の化膿性爪囲炎、ひょうそなどとの区別が必要です。皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、病変部の皮膚の表面をピンセットで軽く引っかき、採取した角質を顕微鏡で見る直接鏡検法KOH(苛性〔かせい〕カリ)法で真菌を検出することで、確定します。真菌の種類を特定するために、培養検査を行うこともあります。
皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による治療では、1日1回、抗外用真菌剤を塗布し、抗真菌剤の内服を行います。それと同時に、患部を濡らさないように水から避けて、手を乾燥した状態に保つことが大切です。指先の炎症が治まっても、爪が正常の状態に戻るにはさらに数カ月かかります。
また、化膿が強い場合は、切開排膿が必要となります。糖尿病性のものは、血糖コントロールの悪い時にできやすいので、食事や生活の改善が必要です。予防法としては、カンジダ性爪囲爪炎は水仕事の機会の多い中年女性や調理人などがかかりやすく、特にささくれ、小さい傷がある時に真菌が入りやすくなりますので、指先に小さい傷がある時には、まめに消毒を行い、水などに指先をつける時には、手袋をして直接、触らないように注意する必要があります。
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