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過敏性肺炎


カビなどの有機物や、化学物質などの無機物を繰り返し吸入し、これに過敏になって起こるアレルギー性の肺炎

過敏性肺炎とは、カビなどの真菌、細菌、動物性蛋白(たんぱく)などの有機物や、化学物質などの無機物を繰り返し吸入しているうち、これに過敏になって起こるアレルギー性の肺炎。過敏性肺臓炎、外因性アレルギー性肺胞炎とも呼ばれます。

急性のものと慢性のものとがあり、急性のものでは原因となる吸入物から離れることにより回復しますが、慢性になると病変と症状は続き、進行することがあります。

吸入物の種類や発症する環境の相違により、過敏性肺炎は夏型過敏性肺炎、農夫肺、鳥飼育病、加湿器肺、空調病などに分けられます。いずれも症状はせきや発熱で、進行すると呼吸困難に陥ります。ほかに、たん、咽頭(いんとう)の違和感、体重減少、だるさ、頭痛などがみられます。

夏型過敏性肺炎は、過敏性肺炎のうちで最も多くみられるもので、梅雨の後の高温多湿な夏季に、風通しや日当たりが悪く湿気の多い家屋内に増殖するトリコスポロンというカビの一種が原因で起こります。秋田県、岩手県以南の地域にみられ、冬季はみられません。

トリコスポロンを吸入してから、肺の奥にある小さな袋状の肺胞でアレルギー反応が起こり、8〜13時間で症状が現れます。

農夫肺は、干し草の中の好熱性放線菌というカビが原因で、酪農家にみられます。

鳥飼育病は、鳥のふんなどの排出物が原因で、ハトやインコなどを飼う人に起こります。また、ニワトリなどの鳥の飼育や羽毛を取り扱う職業の人にも起こります。

加湿器肺や空調病は、換気装置についたカビ類を蒸気とともに吸入することが原因となります。

そのほか、サトウキビ肺、養蚕者肺があり、またナメコ栽培者、小麦粉取り扱い者、ポリウレタンの原料であるイソシアネートを扱う塗装工などでも、各種の吸入物を原因とする過敏性肺炎の報告があります。

症状が特定の環境や作業に関連して起こったり、同じ症状が繰り返し起こっている場合には、過敏性肺炎ではないかと疑うことが大切で、内科、呼吸器科を受診します。

過敏性肺炎の検査と診断と治療

内科、呼吸器科の医師による診断では、一般血液検査で末梢(まっしょう)白血球数の上昇、CRP(C反応性タンパク)の上昇などの炎症反応が認められ、低酸素血症を示し、胸部X線像で両肺にすりガラス状や粒状の陰影が認められます。

このような検査データ、所見は他の疾患でも認められるため、抗原を吸入することにより発症するという経過と病歴、また原因抗原の吸入による誘発試験で疾患が発症する再現性を確認することなどにより、診断を確実なものにする必要があります。ただし、誘発試験は抗原の吸入により肺疾患が発症し、呼吸困難になることもあるので、注意して行う必要があります。

家の中に存在するカビなどの真菌が原因であれば、帰宅すると抗原を吸入することになるので、診断できることもあります。

ほかに、気管支鏡と呼ばれる細い肺カメラを使って、肺内の組織を採取する経気管支肺生検が行われることがあります。この検査は他の疾患を否定する意味もあります。過敏性肺炎の特徴的な病理組織像は、器質化肺炎、リンパ球性胞隔炎、肉芽腫(にくげしゅ)などです。

気管支鏡を使って、肺内に生理食塩水を注入して肺を洗った後、回収した液を検査する気管支肺胞洗浄(BAL、バル)が行われることもあります。回収した液の中には、リンパ球が多くみられ、リンパ球のCD4とCD8の比率が低下する特徴があります。

また、血清中に原因となる抗原に対する抗体の存在を検索することも重要です。しかし、疾患を起こしていない健常者でも陽性になることがあるので、この検査だけでは確定診断とはなりません。

内科、呼吸器科の医師による治療では、原因となっている抗原の吸入を避けるようにすることが重要です。薬物療法については、軽度の症状で日常生活に影響しない場合、無治療で経過をみることがあります。中等症、重症では、発熱、呼吸困難、低酸素血症などがあるため、炎症を抑える作用のある副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)を服用するか、静脈注射します。そのほか、息苦しさには酸素吸入など対症療法を行います。

家などの環境が原因の夏型過敏性肺炎の場合は、家の中の掃除や消毒、台所・洗面所・風呂場の腐った木の部分の除去、風通しをよくするなどの工夫も重要です。

農夫肺の原因である干し草のカビのように、環境から抗原をなくせない場合は、防塵(ぼうじん)マスクの装着などが効果を示す場合もあります。加湿器肺、空調病の場合には、換気装置がカビで汚染されていることが多いので、フィルターを交換したり、機材を清潔にします。鳥飼育病では、ハトやインコなどの飼育をやめます。

急性の場合では、入院することなどにより原因抗原から離れると回復することがほとんどです。しかし、慢性の場合では進行することがあり、肺に線維組織が増えて硬くなる肺線維症や、呼吸不全になりますから、予防が大切です。

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