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顎下腺唾石症


唾液腺の一つである顎下腺にできる結石の存在によって、種々の症状が発生する疾患

顎下腺唾石(がくかせんだせき)症とは、唾液を分泌する腺の1つである顎下腺に、唾液中の石灰分が沈着して石ができてくる疾患。この唾石の存在によって、種々の症状を生じます。

唾液は、唾液を分泌する腺を構成する無数の腺房というところで作られます。腺房で作られた唾液は管を通じて集まり、最終的には1本の排出管に集まり、口の中に出てきます。

その唾液を分泌する腺には顎下腺のほか、耳下腺、舌下腺、小唾液腺などがあり、これらの唾液腺の内部にも唾石はできますが、多くは顎下腺の排出管にみられます。顎下腺の内部、耳下腺の内部、耳下腺の排出管、舌下腺の排出管の順に少なくなります。舌下腺に生じることはまれで、小唾液腺に発生することはほとんどありません。

明らかな原因は不明ですが、排出管の炎症や、何らかの原因による唾液の停滞、唾液の性状などによると見なされています。治療のため摘出した結石を割ってみると、炭酸石灰やリン酸石灰などを主成分とする石灰分が年輪のように見えます。結石のでき初めは当然小さいのですが、自然に排出されないと次第に大きくなっていきます。

1本しかない排出管に結石があると、唾液の通過障害が起こります。食事をすると、唾液腺は唾液を作って口の中に出そうとしますが、途中の結石のために唾液が口の中に出ることができず、唾液腺内にたまり、腺そのものが痛みを伴ってはれてきます。酸味の強い物を食べた時などは、特に症状が強く出ます。

ほとんどの唾石は顎下腺の排出管、顎下腺の内部に生じますが、これらの唾石では左右どちらかの顎(あご)の下がはれます。耳下腺の内部、耳下腺の排出管に生じると、耳の前から下のほうが痛みを伴ってはれます。はれは、食事後しばらくするとだんだん取れてきますが、次の食事をすると再びはれるということを繰り返します。

この症状は結石の大きさに比例しないことが多く、ごく小さなものでも管の出口をふさぐと強い症状が出ます。また、食事ごとの症状はある時期にひどく出ても、一時的に出なくなることもあります。

長期に渡って唾石が存在したり、結石が次第に大きくなると、腺そのものの機能が低下し、唾液の分泌が少なくなります。この状態になると、口の中から細菌が管を通じて入っていき感染を生じると、唾液腺が痛みを伴ってはれ、排出管付近の粘膜が赤くはれて、開口部からはうみが出ます。

無症状のまま偶然発見されるケースもありますが、顎下腺唾石症など唾石症の症状が認められる際は耳鼻咽喉(いんこう)科を受診するようにします。

顎下腺唾石症の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、典型的な症状があれば、口の中の視診や触診により確定診断が可能です。唾石は通常1個ですが、時には多発していることもあります。炎症が合併すると診断が困難なこともあるものの、X線写真、特に造影剤を注入する造影CT(コンピューター断層撮影)検査による唾液腺造影像では確実に診断されます。

小さな唾石は自然に排出されることもありますが、大きくなって排出管をふさぐようになると症状が強くなるので、医師による手術で唾石を取り出す必要があります。排出管でも出口に近い部位にできたものでは、口の中で排出管を切り開いて唾石だけを摘出することにより容易に治療できます。この手術では、まれに摘出部に粘液嚢胞(のうほう)ができたり、唾石が再発したりすることがあります。

唾液腺に近い部位や、唾液腺の内部にできたものでは、頸部(けいぶ)を切開して唾液腺ごと唾石を摘出する必要のある場合がありますが、顎下腺唾石症などの唾石症が再発することはありません。

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