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好酸球性筋膜炎


腕や脚の皮膚に痛みを伴う炎症とはれが起き、皮膚が次第に硬くなっていく疾患

好酸球性筋膜炎とは、腕や脚の皮膚に痛みを伴う炎症とはれが起き、その部位の皮膚が次第に硬くなっていく、まれな疾患。

疾患名のうち好酸球性という部分は、発症初期に好酸球と呼ばれる細胞が血液中に多くみられることに由来します。好酸球は免疫にかかわる白血球の一種で、ある種の寄生虫に対して体を守る免疫機能を担い、アレルギー反応の制御を行う一方で、このアレルギー反応による炎症の一因にもなる細胞です。

筋膜炎は、皮膚の下にある丈夫な線維組織で、筋肉を包む筋膜の炎症を意味しています。

好酸球性筋膜炎は主に40~50歳の中年男性に発症し、女性や小児が発症する場合もあります。原因は不明ですが、自己免疫反応により、皮下組織から筋膜に損傷が生じるために引き起こされると推定されます。

通常の初期症状は、皮膚の痛み、炎症、はれであり、とりわけ腕の内側や脚の前面に多くみられます。時には、顔面、胸部、腹部の皮膚が侵されることもあります。

激しい運動を行った後や、外傷を契機として、最初の症状に気付くことがあります。症状は通常、徐々に進行していきます。数週間後には、炎症を起こした皮膚が硬くなり始め、最終的にはオレンジの皮のような感触になります。

皮膚が徐々に硬くなっていくにつれて、腕や脚が動かしにくくなります。やがては、腕や脚の関節の運動制限のために関節拘縮が起こり、動かせなくなってしまうこともあります。

また、筋肉痛や関節痛が起こる場合もあります。まれに、腕が侵された場合には、手根管症候群を発症することもあります。手根管症候群は、手首の手のひら側にある骨と靭帯(じんたい)に囲まれた手根管というトンネルの中で、神経が慢性的な圧迫を受け、しびれや痛み、運動障害を起こす疾患です。

時には、血液中の赤血球と血小板の数が著しく減少することがあり、疲労を感じやすくなったり、出血が起きやすくなる傾向が現れます。

その好酸球性筋膜炎の症状は一見、皮膚や内臓が硬くなるのを特徴とする膠原(こうげん)病の1つである強皮症(全身性硬化症)と類似しています。しかし、30〜50歳代の女性に多くみられる強皮症と違って、手指の硬化はなく、全身の皮膚が真っ白から青紫色になり、やがて赤くなるレイノー症候群や、内臓の病変も伴いません。

好酸球性筋膜炎の検査と診断と治療

内科、皮膚科、リウマチ科の医師による診断では、圧痛を伴う腕や脚の皮膚の硬化から好酸球性筋膜炎を疑い、血液検査で血液中の好酸球の数の増加、免疫グロブリンの上昇、赤血球沈降速度(ESR)の高進を確認します。

通常、自己抗体である抗核抗体やリウマチ因子は認められません。時に関節痛を伴いますが、明らかな関節炎はX線(レントゲン)検査で認められません。

診断を確定するには、侵された皮膚とその下にある筋膜、筋肉の組織の一部を採取して、顕微鏡で観察する検査である生検を行います。病変部の病理組織では、筋膜周囲のリンパ球、組織球、好酸球の炎症細胞の浸潤があり、筋膜が肥厚して、線維化が見られます。疾患名が示すように好酸球が浸潤するのが特徴的ですが、好酸球の浸潤が認められないケースも30パーセント程度あります。

内科、皮膚科、リウマチ科の医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)が有用で、通常、最も標準的なプレドニゾロンを1日20~60mg内服します。自覚症状の改善に伴って減量し、2~4年の維持療法で1日5mg前後の内服の後は、治療の必要がなくなります。

生命予後は良好ですが、治療が遅れると組織の委縮や瘢痕(はんこん)化、関節拘縮が残存することがあります。副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)で、組織の委縮や瘢痕化を回復させることはできません。

一部の発症者者は別の血液疾患を併発することがあるため、血液検査による経過観察が推奨されます。

副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の内服とともに、体の運動機能を保つため理学療法を行いますが、激しい運動は控えます。日常生活の注意としては、安静と運動をバランスよく行い、ストレス、過労を避けるようにします。

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