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高尿酸血症


プリン体が分解されてできる尿酸が、血液中で正常値を超えて高くなった状態

高尿酸血症とは、血液中の尿酸が正常値を超えて高くなった状態。

尿酸は、体内でプリン体という蛋白(たんぱく)質が分解されてできる老廃物です。プリン体は、体の中のすべての細胞に入っている遺伝子を作っている核酸という物質の中に含まれています。 細胞が死ぬ時には、プリン体は分解されて尿酸ができます。

体の中でできる尿酸のうち、約80パーセントは腎臓(じんぞう)から尿の中に溶けた状態で排出されます。正常な人の場合、尿酸は1日に約700mg作られ、同量が尿の中に溶けたりして排出されているため、体内の尿酸は常に約1200mgの一定量に保たれています。

しかし、この腎臓での尿酸の排出がうまくいかずに排出量が少なかったり、体の中で尿酸が作られすぎて排出が間に合わなかったり、あるいはその両方が起こると血液中に尿酸が増えてきます。このように血液中の尿酸が正常値を超えて高くなった状態が、高尿酸血症です。

高尿酸血症の60パーセントは、尿酸排出低下型のタイプです。遺伝や肥満が関与しているといわれており、腎不全になっても尿酸の排出が低下します。

高尿酸血症の10パーセントは、尿酸産生過剰型のタイプです。プリン体を多く含む食品を過剰に摂取したり、激しい運動を行って細胞が破壊され、体内で合成されるプリン体が増加するのが、主な原因です。白血病や炎症性疾患でも細胞が破壊され、体内で合成されるプリン体が増加します。

高尿酸血症の30パーセントは、尿酸排出低下型と尿酸産生過剰型の混合型のタイプです。

高尿酸血症の患者数は約500万人以上、潜在患者数は1600万人いるといわれています。尿酸がどのくらい体内に蓄積されているかは、血液検査の項目にある血清尿酸値で確認することができます。血清尿酸値は、一般的にメタボ健診と呼ばれる特定健康診査・特定保健指導の検査項目にも入っています。

この高尿酸血症の状態がある程度長期化すると、体液中に含まれる尿酸が異常に増え、尿酸は尿酸塩という結晶の形になって関節や腎臓などに沈着するようになります。このように高尿酸血症を基礎として、尿酸塩が関節に沈着することによって急性の関節炎を起こす疾患が、痛風です。痛風にかかると、足の親指の付け根の関節などがはれて、激しく痛みます。何回も繰り返すと、関節や骨が変形してきます。痛風の患者数は、約90万人いるといわれています。

痛風は30〜50歳代の男性に多く、95%以上は男性で占められています。女性は男性に比べて極めて少なく、発症する場合はほとんどが閉経期以降です。女性ホルモンの一つであるエストロゲンには、腎臓での尿酸の排出を促進する働きがありますが、閉経期以降はエストロゲンの分泌が低下するので、血液中に尿酸がたまる傾向になるためと考えられています。

一方、高尿酸血症を基礎として、尿酸塩が腎臓の髄質や尿細管、間質などに沈着することによって腎臓の機能を低下させる疾患が、痛風腎です。特に腎臓の髄質では尿が酸性に傾いており、尿酸はより結晶化しやすくなり、それらが腎臓組織に沈着して、こぶ状の物ができ、炎症を起こします。

痛風腎の初期には、静かに進行し自覚症状が現れにくいので、気付かれません。かなり進行すると、尿酸結石ができやすくなり、それが尿路に詰まって尿管を刺激したり傷付けたりすると、腹部や背中が激しく痛んだり、場合によっては血尿も出ることがあります。

また、痛風腎を発症すると、尿細管を取り囲む間質の線維化が進む慢性間質性腎炎を示して、腎臓の機能が低下し、慢性腎不全の原因となります。

そのほかにも、高尿酸血症を基礎として、動脈硬化、心筋梗塞(こうそく)、脂質異常症、糖尿病、肥満、高血圧などの疾患を引き起こすとされています。

高尿酸血症の検査と診断と治療

内科、整形外科、リウマチ科の医師による診断では、尿酸の血液中に溶解可能な最大濃度である7・0mg/dlを正常上限とし、これを超えるものを高尿酸血症と確定します。

内科、整形外科、リウマチ科の医師による治療では、食事療法、運動療法、薬物療法を行います。

食事療法では、尿酸値を下げることを目的に、食生活全体を見直し、改善します。肉類は食べ過ぎることにより、尿を酸性に傾け尿酸が溶けにくくなりますので、野菜を多く摂取しアルカリ性に持ってゆきます。

また、魚卵、内臓類、大豆などプリン体を多く含む食品や、アルコール類、特に体内でプリン体の合成を促すビールは控えます。腎臓の機能が低下していないようであれば、尿酸の排出を促すために、水分を多く摂取することも勧められます。

運動療法では、高尿酸血症では運動がきつすぎると筋肉が壊れ、かえって尿酸を上昇させてしまいますので、他の疾患に比べて弱めの運動を行います。弱めの運動を行うことによって、尿酸の排出が促進され尿酸値が低下します。運動例は、散歩や水中歩行などです。ただし、痛風発作が起こっている場合やアルコールを飲んだ後は、運動は禁止です。

薬物療法は、食事療法や運動療法で改善しない場合や、血液中の尿酸が8・0mg/dl以上の場合に行います。薬物には、尿酸の排出を促す尿酸排泄(はいせつ)促進薬、体内で過剰な尿酸の生成を抑制する尿酸生成抑制薬、酸性尿を改善する尿アルカリ化剤などがあります。

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