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巨大肥厚性胃炎


胃の粘膜がはれて、肥厚し、巨大なひだを形成する疾患

巨大肥厚性胃炎とは、胃の粘膜がはれて、肥厚し、巨大なひだを形成する疾患。メネトリエ病、胃巨大皺襞(しゅうへき)症、胃粘膜肥厚症とも呼ばれます。

肥厚した粘膜から、血液の蛋白(たんぱく)質が漏れるために、低蛋白血症となることがあります。その結果、体にとって重要な栄養分である蛋白質濃度が低下して、初期では主に胃もたれ、上腹部痛、吐き気、嘔吐(おうと)、あるいは下痢などの消化器症状が現れます。無症状のこともあります。

進行すると、低蛋白血症のために貧血や、疲れやすい、食欲の低下、体重の減少、全身がむくむなどの症状が出てきます。さらに進行すると、胃液を分泌する胃腺(せん)が委縮し、胃酸とも呼ばれる塩酸、および酸性条件下で活性化する蛋白分解酵素のペプシンの分泌が減少し、食べ物を消化するために胃で分泌される胃液の量が少ない低酸症が起こります。

胃がんのリスクが高くなる可能性があり、巨大肥厚性胃炎の発症者の約10パーセントが数年後に、胃がんを発症します。

まれに小児にも巨大肥厚性胃炎が起こることがありますが、一般的には中年以降の男性に多く発症します。

成人例では、免疫反応の異常が原因だと考えられているほか、グラム陰性菌のヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染とも関連があるといわれています。小児例では、ヒトヘルペスウイルスの仲間であるサイトメガロウイルス感染との関連があるとされています。

巨大肥厚性胃炎は、無症状で健診などで偶然に発見されることも多い疾患です。消化器症状や、疲れやすさなどがあったら、消化器科、消化器内科、内科を受診しましょう。

巨大肥厚性胃炎の検査と診断と治療

消化器科、消化器内科、内科の医師による診断では、胃内視鏡検査が最も重要で、胃粘膜の巨大な肥厚が観察されます。また、胃内視鏡検査の時に胃の粘膜の一部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行うと、胃粘膜の最も表層にある被蓋(ひがい)上皮細胞(粘液産生細胞)の過形成とともに、固有胃腺の委縮が認められます。生検を行うと、原因となるヘリコバクター・ピロリがいるかどうかを診断することもできます。

さらに、血液検査で低蛋白血症があれば、その検査を進めます。また、胃液検査により低酸または無酸を確認します。

区別すべき病気としては、胃がんや胃リンパ腫(しゅ)が最も重要です。

消化器科、消化器内科、内科の医師による治療では、消化器症状がみられるようであれば、胃の中に放出された胃酸を中和する制酸剤や、胃酸の分泌を減少させる抗コリン剤(自律神経遮断薬)、ヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)薬(H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害薬などを使用します。食後に胃のもたれが起こるようであれば、消化剤を使用することも有効で、症状に合わせて、傷みを和らげる鎮痛剤も使用します。

低蛋白血症に対しては、高カロリー高蛋白食を数回に分けて摂取するようにします。食欲不振などにより摂取が不十分な場合は、高カロリー輸液などの栄養療法を行います。

ヘリコバクター・ピロリやサイトメガロウイルスが感染した場合は、それぞれの治療を行います。

ヘリコバクター・ピロリに対しては、2~3種類の抗生物質(抗菌剤)を、同時に1~2週間服用し続けることで、胃の中に生息しているピロリ菌を除菌します。低蛋白血症ばかりでなく、胃粘膜の巨大な肥厚も改善し完全に治ることもあります。

これらの内科的治療が無効な場合で、胃粘膜からの蛋白漏出の程度が強い場合は、外科的治療として胃の部分切除術または胃全摘術が行われます。

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