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頸椎後縦靭帯骨化症

頸椎の後ろを走っている靱帯が骨に変わり、肥厚してくる疾患

頸椎後縦靭帯(けいついこうじゅうじんたい)骨化症とは、頸椎の後ろを走っている靱帯が骨に変わり、肥厚してくる疾患。

骨に変わった靭帯は、頸椎の可動性を減少させながら脊柱管(せきちゅうかん)内で脊髄や、脊髄から分枝する神経根を徐々に圧迫し、まひ症状を引き起こします。日本人に多い疾患であり、研究と治療法も主に日本で発達してきました。

現在のところ靭帯骨化の原因は不明ですが、単一の要因で生じるのではなく、複数の要因が関与して発症すると考えられています。関与するものとして、遺伝的素因、性ホルモンの異常、カルシウム・ビタミンDの代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレスなどいろいろな要因が考えられています。特に家族内発症が多いことから、遺伝子の関連が有力視されています。

主な症状は、脊髄圧迫症状です。すなわち、手足のしびれや痛みを発症することが多く、はしを使うなど手指の細かい動作がやりにくくなる巧緻(こうち)運動障害、足が突っ張って歩行がしにくくなる痙性(けいせい)歩行などの運動障害も出現します。さらに、頻尿や失禁、便秘などの膀胱(ぼうこう)直腸障害もみられます。

首の動き、特に前に曲げたり後ろに反らしたりする動きの範囲が狭くなります。

頸椎後縦靭帯の骨化があっても無症状の人、大きくない骨化なのに急速にまひの出る人、5~10年かけてゆっくりまひが進行する人など、脊髄症状の起こり方や進み具合は、人によってさまざまです。

その一方で、転倒などの軽い外傷を契機に、まひ症状は急激に悪化しますので、転倒などには十分注意する必要があります。脊髄症状による歩行障害が転倒を招き、その結果、脊髄症状が悪化するという悪循環にもつながります。いったん症状が重度になると、日常生活に障害が出て、介助を要することもあります。

手足のしびれがある場合はもちろんですが、ほかの目的で撮影したX線写真などで骨化を指摘されたら、整形外科を受診して下さい。経験を積んだ医師による正確な診断の元に、治療方針を決定して脊髄まひを予防することが重要です。

頸椎後縦靭帯骨化症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、X線検査を行うと骨化の有無が比較的簡単にはっきりします。CT検査を行うと、骨化の大きさや形状がさらにはっきりし、MRI検査を行うとで、脊髄の圧迫されている状況が観察できます。

整形外科の医師による治療は、保存的治療と手術治療とがあります。保存療法では、骨化によって圧迫されている神経を保護することが治療の主目的になります。頸椎における保存的療法では、まず頸椎の安静保持を保つため、外固定装具を装着します。この時頸椎を快適な位置にあることが必要で、高さの調節可能な装具が適しています。また、首を後ろに反らせる姿勢は避ける必要があります。

そのほか、薬物療法として消炎鎮痛剤、筋弛緩(きんしかん)剤などを内服して、自覚症状の軽減が得られることがあります。

明らかな脊髄症状があり、保存的治療を行っているにもかかわらず疾患が進行し、仕事や日常生活に支障を来す場合には、手術治療します。手術方法は、骨化の状態や部位に応じてさまざまな方法があります。神経の圧迫を取るため骨化部位を摘出して、その部位を自分の骨で固定する前方法と、骨化部位はそのままにして神経の入った脊柱管を広げる後方法があり、後方法が選択されることが一般的です。

手術方法の開発や改良が行われ続け、最近では、比較的安定した手術成績が得られています。しかし、手術後に骨化が進んで、まひが再び悪化することもあるので、手術後も長期に渡って経過を観察する必要があります。

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