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片親疎外症候群



片親によって、もう一方の親との仲を遠くさせられて、子供に悪影響が生じる疾患

片親疎外症候群とは、片親によって、もう一方の親との仲を遠くさせられることで、子供に情緒不安定や対人関係の困難さが生じる疾患。片親引き離し症候群とも呼ばれ、通称でPAS(Parental Alienation Syndrome )と呼ばれます。

この片親疎外症候群は日本ではまだあまり知られていませんが、欧米を中心に児童心理学者を始めとして、家族法を専門とする法律関係者などにも広く認識され、子供にさまざまな情緒的問題、対人関係上の問題などを生じさせ、長期間に渡って悪影響を及ぼすと見なされ、もう一方の親との引き離しを企てている片親の行為は子供の情緒面に対する虐待であると指摘されています。

両親の離婚や別居により、片親と暮らすことになった子供に対して、もう一方の非同居親の悪口や中傷を吹き込むことが、片親疎外症候群の始まりとなります。日々、日常的に片親の悪いイメージを伝えることで、子供を一種の洗脳状態にしてしまいます。例えば「お父さんはあなたを捨てて出て行ったの」などといって意図的に洗脳する結果、子供は非同居親を拒否したり、敵対心や恐怖心を抱いたりして、精神的な交流を阻まれることになります。

離婚調停中など、両親が親権を争っている際に、片親疎外症候群が多く発症しているといわれています。親権とは、子供の財産管理や生活、教育などに関する権利義務を持つことです。親権の一部である監護権(監護教育権)は別にすることができるため、親権で争った場合は父親と母親で親権と監護権を分けて持つこともできます。監護権とは手元に置いて子供を実際に養育する権利義務のことで、親権を父親、監護権を母親が持つというケースが多くみられます。

このケースでは、親権を持つ父親が子供との面会を申し出た際に、離婚する以前は父親と子供の間に何らかのトラブルや原因がなかったのに、監護権を持つ母親から「子供が会いたくないといっている」、「子供が風邪で会わせられない」などと拒否されるケースがあります。この時に考えられるのが、片親疎外症候群です。

子供自身への虐待や暴力ではなく、片親の不貞行為や両親の間のトラブルが原因で離婚をする場合、子供は離婚調停という闘争に巻き込まれて双方の中傷を聞かされ、心に大きな傷を負うことになります。両親は離婚でお互い他人になっても、子供にとって両親は永遠に両親であることに変わりはありません。

子供がいる夫婦が離婚調停にもつれた場合、離婚が円満に解決することはほとんどありません。相手に対する怒りや恨み、不満などは離婚が成立した後もそう簡単には消えるものではなく、仮に母親が監護権を持った場合には、子供から父親を引き離すべく悪口を吹き込んだり、子供に父親との面会を自ら拒否させたりします。母親が父親を嫌えば嫌うほど、子供も母親に捨てられることを恐れて、徐々に母親に同調するようになります。

子供は片親からの引き離しによって、戸惑い、混乱し、激しく悩みます。場合によっては、うつ病や円形脱毛症を発症したり、長期に渡って情緒不安定な状態が続き、将来を台無しにしてしまう可能性もあります。

離婚や別居が子供の思春期以後に起きた場合には、子供から片親が引き離されると、子供は同居親からも精神的に離れてゆくケースが多くみられます。同居親とあまり話さなくなったり、自室に引きこもったりすることが多くなり、同居親に新しい相手ができて性的活動が行われるようになると、この傾向は一段と顕著になります。

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