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空の巣症候群



中高年の専業主婦が陥りやすい心身の不安定な状態

空(から)の巣症候群とは、40歳代後半から50歳代の専業主婦が陥りやすい心身の不安定な状態。エンプティネストシンドローム(empty nest syndrome)とも呼ばれます。

生きがいだった子供たちが大学進学や就職で一人暮らしを始めたり、結婚などで巣立っていき、独り家庭に取り残された専業主婦が、母親としての役割をなくした孤独感や、生きがいを失った虚無感を感じて、新たな生きがいを見付けられずに、抑うつ感などにとらわれて心身の不調を覚える状態です。

この時期の女性は更年期でもあり、夫が仕事で家にいる時間が少なかったり、単身赴任で不在だったりという他の要因とも重なりやすいので、空の巣症候群になりやすい時期に相当します。

子育てに熱心だった良妻賢母型の専業主婦、内交的で近所付き合いがあまり好きではない性格の人、特に趣味を持たずに一日中家にいて家事をやっていることが多い人、外に出るよりも家にいるほうが好きな人に、空の巣症候群になりやすい傾向があります。

心の不調に加えて、頭痛、肩凝り、胸苦しさ、吐き気、食欲低下、不眠などの身体症状を伴うことが多く、誤診されやすいのも空の巣症候群の特徴です。日常的に襲うむなしさや自信喪失、不安から逃れるために、手近にある酒に頼ってキッチンドランカーになり体を壊すケースもあります。夫が定年退職して退職金をもらうのと同時に、妻が離婚を宣言するといったほうに展開していくこともあります。

まずは何も考えずにゆっくりと休むのが、何よりの薬です。子供はいずれ育っていくものと考え、新たに趣味や習い事を始めたり、地域の集まりや行事に積極的に参加し、子供以外の生きがいを見付けたいものです。

夫との絆(きずな)の弱さも要因として指摘されていますので、夫とのコミュニケーションを増やして、第二の人生を夫婦で楽しく過ごせるようにあらかじめ人生設計を立て、共通の趣味を見付けてゆくのもよいでしょう。

状態が悪い時には医療が必要で、薬が効果的です。心療内科やメンタルクリニックを受診し、じっくりと話して自分を見詰め直すのも、空の巣症候群を改善する大切な方法です。

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