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医療機関の診察室で医師が測ると正常血圧なのに、病院以外のふだんは高血圧の病態を、「隠された高血圧」、「正常血圧という仮面をつけた高血圧」という意味で「仮面高血圧」と呼びます。
仮面高血圧は発見しにくく、治療もされない状態が続くため、将来、「持続性高血圧」と同等に脳卒中、心筋梗塞(こうそく)などになるリスクが高い病態として、近年、非常に注目されています。
誰でも簡単に計れる電子血圧計が家庭に普及したことや、持続血圧モニタリング装置で24時間血圧の測定が可能になったことで、仮面高血圧の存在が予想以上に多いことがわかってきたのです。中には健康上、無視できないほどに高い値の人もいます。
結局、医師が外来診察室で測定した血圧データは、必ずしも受診者の平常時の血圧を反映したデータではないのです。時には、治療すべき患者が見逃されていたり、時には、不必要な治療が行われたりする可能性が生じます。
医療機関で測った外来血圧と平常時の家庭血圧が異なるわけは、人間の血圧というものが気持ちや、環境に大きく左右されるからです。
仮面高血圧になるきっかけとして、いくつかの原因が挙げられます。一つはタバコで、タバコを吸うと間違いなく血圧が上昇します。病院の中や、医師による検診中は吸えませんので、受診者の血圧は正常の値まで下がります。
しかし、ヘビースモーカーなら、タバコを吸っている時の血圧のほうが、その人にとってのふだんの血圧です。外来血圧が低く出たからといって、正常ではなく、本来は薬物療法の対象となるべき人です。
ヘビースモーカーのほか、仕事に追われているハードワーカー、仕事と家事を両立して多忙な主婦、ストレスを感じやすい人などの例では、診察の待ち時間にリラクゼーション効果があるため、診察時の血圧が低く出てしまう場合があります。
日本人の高血圧の一因は、塩分の取りすぎだといわれています。塩分を控えめにすることが、まず肝心です。
現在の指導では、塩分の摂取量を1日6グラムまでに抑えるのが、理想だとされています。日本人は10グラム以上の塩分を摂取していますから、かなり減らす必要があります。
加工食品を控えて、調味料を少なくすることが大切。加工食品にはナトリウム量が表示されていますが、2・5倍すると塩分量になります。
肥満は、血圧に悪影響をおよぼします。運動を行って、体重を減らすように心掛けましょう。
高血圧の人には、ゲーム性の高いスポーツや、激しい運動は不向きです。ウオーキングやサイクリングなど、穏やかな運動がお勧めです。まずは一駅ぶん歩くなど、身近なことから始めてみましょう。
冬場は、外気温と体温の差が大きい上、塩辛いものを食べがちなので、高血圧には危険な季節となります。気温の大きな変化には、十分に注意しましょう。
冬季の風呂場での心臓発作は、高血圧も関係があります。特に高齢者は、注意が必要です。
逆に秋は、気候が穏やかで、健康管理に適しています。秋の間に、体重を落とすための運動を始めるなど、血圧対策をスタートさせるといいでしょう。
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