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抗不安薬
抗不安薬とは、不安や緊張を取り除き、精神を穏やかな状態に導く効果がある薬で、向精神薬の一種。緩和精神安定剤、穏和精神安定剤、マイナートランキライザーなどとも呼ばれます。
精神科の薬といえば精神安定剤、精神安定剤といえば抗不安薬といえるぐらいなじみが深く、主に全般性不安障害(神経症)やパニック障害、ストレス障害(PTSD、急性ストレス障害)などの治療に多く使われています。睡眠時の緊張を緩和させることから睡眠薬として利用されたり、抗てんかん薬として利用されたりする場合もあります。
精神科以外の内科などでも、症状によっては処方され、手術の麻酔前に投与されることもあります
同じ向精神薬の一種である抗うつ薬と、抗不安薬の最も大きな違いは、即効性です。抗うつ薬の場合、服用してから効果が現れるまでに、最短でも1週間程度はかかります。抗不安薬の場合、大抵は服用後30分から1時間程度で効果が現れます。不安や焦慮が強く、すぐにでも落ち着かせたい場合など、抗不安薬のほうが適しているわけで、うつ症状が強い場合、即効性を高めるために抗うつ薬の点滴投与が行われる場合もあります。
現在使われている抗不安薬は、そのほとんどがベンゾジアゼピン系の化合物です。そのほかには、チエノジアゼピン系の化合物などがあります。
ベンゾジアゼピン系の化合物の最大の特徴は安全性で、例えば薬物乱用、薬物大量摂取が起きても、すぐに生命にかかわるようなことがなく、医師の処方通りの服用ならば、副作用もひどくはありません。
このベンゾジアゼピン系の化合物には、神経伝達物質の中のGABA(ガンマ・アミノ酪酸)の働きを強化する作用があります。GABAの機能が落ちると、不安と関係するセロトニン系、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)系の神経活動の抑制がうまくできなくなります。つまり、ベンゾジアゼピン系の化合物は、GABAの働きを強化することで、不安を鎮めます。
副作用の主なものは、抗ヒスタミン作用としての眠気とだるさです。自動車の運転をする人や、足腰が弱っている高齢者は、注意が必要です。そのほかの副作用としては、食欲不振、便秘、口渇などが認められます。
近年、抗不安薬で話題になっていることは、依存性と離脱症状(禁断症状)です。しかし、医師の指示を守って服用している場合、ほぼ安全だと考えていいと思われます。
依存性は、抗不安薬自体の副作用というより、精神的な依存だと考えられます。また、そのような状態になっている患者に、大量の処方を繰り返す医師にも問題があります。長期間に渡って、大量の抗不安薬を処方されているという場合には、一度ほかの医師に相談してみたほうがいいでしょう。
離脱症状は、医師の指示を守って、服薬量を少しずつ減らすことで、ほぼ防ぐことが可能です。逆に、長期に渡って、大量に服薬した後に急にやめると、離脱症状の出ることがあります。
主な抗不安薬には、デパス(主な成分はエチゾラム)、セルシン(同ジアゼパム)、メイラックス(同ロフラゼプ酸エチル)などがあります。
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