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クリプトコックス症
クリプトコックス症とは、ハトの糞(ふん)などにいるクリプトコックスという真菌(かび)を吸い込むことが原因となって、発症する感染症。
クリプトコックス菌は自然界に広く存在する酵母状真菌で、日本では特に神社仏閣などのハトの糞の中から高率に見付けられています。ハトなど鳥の糞に含まれる窒素成分があると、クリプトコックス菌は大変よく増殖し、鳥の活動範囲の土が乾燥すると細かい微粒子となって、少しの風で舞い上がり、人間が気道から吸い込むこととなります。
鳥自身はクリプトコックス菌を運ぶことはあっても、体温が高いためにクリプトコックス菌の増殖が難しいために、クリプトコックス症にはなりません。猫などの動物も、人間と同じく発症します。
初めての感染は肺で感染を引き起こすことが多いものの、肺での初感染は何の症状もないことが多くみられます。健康診断や他の疾患で病院にかかった時に、偶然発見されたりします。 多くは体力や免疫力が落ちた時か、体力を消耗する疾患の二次感染として、初めて症状が出ます。まれに、健康な人にも症状が出ることがあり、必ずしも体力、免疫力の低下と関係しているとは限りません。
発症した場合には、発熱、せき、喀(かく)たん、頭痛、徐々に進行する倦怠(けんたい)感や食欲不振が現れます。次いで、急性または亜急性に髄膜脳炎を発症すれば、吐き気、嘔吐(おうと)を起こします。また、病巣が大脳皮質、脳幹、小脳にも及ぶ場合は、脳神経まひ、意識障害を起こします。重症になると、脳、脊椎(せきつい)髄膜の病巣により死亡に至ることもあります。肺で発症する場合、肺の中に単一または複数の腫瘤(しゅりゅう)ができたり、肺炎を起こすことがあります。
一般人口での発症者は、10万人につき年間0.2〜0.9人と見なされています。なお、自然条件では、クリプトコックス症になった人や動物から、他の人や動物への感染は起こりにくいと考えられています。
クリプトコックス症の症状に気付いたら、呼吸器疾患専門医のいる病院を受診します。早期に診断されない場合は急速に病状が進行することもありますので、注意が必要です。
医師による診断に際しては、胸部X線検査やCT検査が行われ、たん、髄液、皮膚滲出(しんしゅつ)物から原因となるクリプトコックス菌を調べ、円形の酵母様細胞が検出されれば、診断が確定します。
治療に際しては、一般に抗真菌剤が用いられ、フルコナゾール、イトラコナゾール、フルシトシンを始めとするアゾール系抗真菌剤が第一選択となります。 このほか、アムホテリシンBなどの抗真菌剤も使われ、静脈内投与するか、髄液の中に直接注射します。また、肺のクリプトコッカス症では、自然治癒する場合もあります。
予防のためには、体力や免疫力が落ちた人、他の疾患を持っている人は、ハトが集まるような場所に近寄らない注意が必要です。周囲の人たちには、そういう人が治療を受ける医療機関の近くで、ハトにエサをあげるのをやめる配慮が必要です。コンテンツのトップへ戻ります ページのトップへ戻ります ホームへ戻ります
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