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形質細胞性口唇炎
形質細胞性口唇炎とは、開口部形質細胞症と呼ばれる良性の慢性炎症性疾患が口唇にできたもの。
開口部形質細胞症は、口唇、頬(ほお)粘膜、歯肉、男性外陰部、女性性器など人体の開口部に、浮腫(ふしゅ)性変化や暗紅色のびらん、痂皮(かひ)などの症状が認められる珍しい疾患です。そして、この開口部形質細胞症の中でも特に口唇に発生するものは、形質細胞性口唇炎と呼ばれています
珍しい疾患で、症状の現れ方は他の一般的な口唇炎と異なる特徴を持ちます。慢性的な炎症により、口唇がむくんだり、はれたり、出血を繰り返したりします。このため、口唇には1ミリ大ほどの境界明瞭(めいりょう)で出血と痂皮、すなわち、かさぶたを伴う暗紅色のびらんが混在するようになります。
びらんに触っても痛みはありませんが、かゆみを認めます。また、かさぶたを除去した際には、除去部より出血を認めます。
形質細胞性口唇炎の発生する部位は下唇が圧倒的に多く、上唇のみに発生するケース、上下唇に併発するケースはまれです。男女の性差はほとんどなく、年齢は50歳代以降に好発し平均は62歳であったという報告もあります.
繰り返される外的な刺激、加齢による口唇粘膜の弾性線維の変性、内分泌による影響、あるいは高血圧症、糖尿病などの全身疾患が原因として挙げられていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、口唇の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行うことで、粘膜固有層や皮膚真皮層に形質細胞の浸潤が認められれば、形質細胞性口唇炎と確定します。
口の中にいる一般的なカビであるカンジダや細菌、ウイルスなどの感染を伴うことが疑われる場合には、口唇の表皮や拭(ぬぐ)い液を培養し、病原体を特定する検査を行うこともあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、形質細胞性口唇炎の治療法が確立していないため、一般的にステロイド軟こうの塗布やステロイドの局所注射を行います。
タクロリムス軟こうなどの非ステロイド軟こうの塗布、グリセオフルビンなどの抗真菌薬軟こうの塗布、インターフェロンなどの抗ウイルス薬の局所注射、放射線療法、電気焼灼(しょうしゃく)、外科的療法としての全切除を行うこともあります。
さらに、口唇に感染症を伴っている場合には、抗生物質(抗菌剤)、抗ウイルス薬、抗真菌薬など、それぞれの病原体に適した塗り薬や内服薬を使用します。
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