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解離性大動脈瘤

大動脈壁に裂け目ができて血管が膨らんだ状態

解離性大動脈瘤(りゅう)とは、大動脈の壁に縦の裂け目ができて、血管が膨らんだ疾患。50歳以降の男性に多くみられます。

大動脈壁は、内膜、中膜、外膜の3層からできています。このうちの中膜の一部に縦の裂け目ができて、内膜と外膜が外れるのを解離といいます。解離した血管は一部が外膜だけになるために薄くなり、内圧のために膨らんで動脈瘤になります。中膜の裂け目は、高血圧が長く続いたために、大動脈壁がもろくなってできます。まれに、生まれ付き中膜が弱い疾患によってもできます。

大動脈壁が裂ける範囲は、胸部大動脈の一部から、大動脈の全長に及ぶものまでいろいろ。そのできた場所によって、A型とB型とに分けられます。A型は解離腔(くう)が心臓に近い上行大動脈に存在するもの、B型は解離腔が胸部の下行大動脈から腹部にかけて存在するものです。

解離は突然起こり、症状も突然出現します。解離による痛みは激烈な場合がほとんどで、血管の解離の場所により前胸部痛から肩、背部にかけての痛みまであり、呼吸困難やショック状態になります。まれに、痛みがほとんどなく無症状のこともあります。血管の機能が障害されて、例えば頭の血流が悪くなった場合、失神、けいれん、意識障害を起こすこともあります。心筋梗塞(こうそく)を起こしたり、腹の血管が詰まって腹痛を起こしたり、足の血管が詰まって足の痛みを来すこともあります。

通常は外膜によって血管外へ血液が流出するのは避けられますが、大動脈瘤が破裂して血液が血管外へ流出した場合は、ショックによる失神を起こすことから、突然倒れ、命を失うほどの激烈な症状を来すこともあります。

解離性大動脈瘤の検査と診断と治療

内膜が裂けた場所、大動脈瘤の破裂出血の有無などによって、重症度、治療方法が変わってきます。

解離性大動脈瘤が心臓に近い上行大動脈に存在するA型では、破裂により心臓を圧迫し救命できない場合が多く、ほとんどが緊急ないし早期手術の適応となります。放置すれば、大動脈閉鎖不全、心タンポナーデなどを引き起こす可能性があり、総頚動脈などに解離が及べば脳循環不全などにもなります。

A型の手術では、血管が裂けて破裂している血管、あるいは破裂しそうな血管を人工血管に置き換えます。ほとんどが大掛かりな手術となり、人工心肺装置を用いた体外循環を行って、心臓を停止させたり、脳への血流を一時的に遮断して、人工血管に置き換えます。

解離性大動脈瘤が胸部の下行大動脈から腹部にかけて存在するB型では、解離の部分が少なくて破裂する確率が少ない場合は、血圧を下げる薬を使って安静にすることにより、血管壁の裂け目が進行するのを抑えて動脈瘤の破裂を防ぎます。通常は手術をしませんが、A型へ移行することもあるので厳重な管理が必要です。

薬の効果がない場合、大動脈瘤が破裂する危険性がある場合、血流の低下があって腹痛や足の痛みがある場合は、手術となります。背中にある胸部下行大動脈に瘤があれば、開胸して人工血管に置き換えます。吻合(ふんごう)する血管壁も解離している場合があり、たとえ解離部分を修復しても血管の壁は弱くなっているため、手術後の出血が最も心配されます。

術後の出血のほか、心機能の低下、脳梗塞が、解離性大動脈瘤の重大な合併症とみなされます。B型では、さらに脊髄(せきずい)まひ、虚血性腸炎、腎不全、下肢の血流障害の合併症を起こすことがあり、何らかの治療をする必要があります。いずれにせよ、このような合併症が起こった場合、命に関わってきます。

解離性大動脈瘤にかかり、手術あるいは安静治療で退院した人は、以後も引き続き経過観察が必要。手術を行っても、解離した血管すべてを人工血管に置換することはできません。また、安静治療で破裂の危険がなくなっても、解離そのものが消失したわけではありません。少なくとも血管が膨れて破裂することはなくなったのですが、徐々に拡大して再破裂する可能性もあります。半年あるいは年に1回、CTなどによって、解離の悪化がないか検査します。

解離は突然起こるものですが、原因はほとんどが動脈硬化です。よって、解離性大動脈瘤の予防は、動脈硬化の予防ということになります。高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満の是正を行い、激しい運動を控え、急激な寒冷にさらされたりしないようして、血圧を急に上げないようにすることが大事です。

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