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骨肉腫(しゅ)


青少年に発症しやすい、骨のがん

骨肉腫(しゅ)とは、骨の悪性腫瘍(しゅよう)。発症しやすいのは、主に7歳くらいから10歳代にかけての青少年です。

日本全国で1年に200人弱しかみられない、比較的まれな疾患といえます。そのために、一般の医師が診断や治療に精通していることが少なく、手遅れになりやすい疾患ともいえます。

症状として、上肢や下肢の骨がはれるために、腫瘍部が太くなってきます。筋肉の厚い個所では、骨がはれてきたことがわかりにくく、痛みや骨折が起こったためにX線写真を撮り、初めて異常に気付くこともあります。

発症しやすい個所は、ひざの近くの大腿(だいたい)骨、脛(けい)骨。この個所に、骨肉腫の約70パーセントが生じます。次いで、肩の近くの上腕骨や、またの近くの大腿骨に生じます。

一般に腫瘍部ははれて、熱を持っていますが、皮膚が赤くなっていることは少ないようです。運動や圧迫によって、痛みが強くなることもあります。

骨肉腫の検査と診断と治療

骨の変化を知るためには、X線検査が診断の基本となります。できるだけ早期の変化を見逃さないためには、症状のある個所だけでなく、反対側も撮影し、慎重に比較して診断することが大切。そのためには、骨のX線診断に習熟した整形外科専門の医師に診てもらうようにします。

X線写真で骨肉腫が疑われた場合、病巣部からごく少量の組織を切り取り、顕微鏡で観察して診断を確定します。この検査からは、腫瘍専門医のいる医療機関で受けるほうがよいでしょう。

骨肉腫の治療は、手術療法と化学療法が大きな柱です。放射線療法を行うこともありますが、これは手術療法がむずかしいケースに限定すべきと見なされています。

その理由は、3つあります。1つは、骨肉腫の細胞は大量の放射線でないと死滅しないこと。2つ目は、放射線照射を行うと皮膚が醜くただれたり、骨組織の一部が死ぬ壊死(えし)が生じ、仮に最初は手足を切断しないですんでも、やがて切断せざるを得ない状態になること。3つ目は、10年くらいたつと、その部分に放射線による別のがんができることもあること。

手術療法としては近年、人工関節やそのほかの生体材料、すなわち人体の機能と同じような役目を果たす人工的な器官が開発され、上肢、下肢の機能を十分に残した腫瘍切除術が開発されています。

しかし、腫瘍が大きくなりすぎると、切断のほうが安全です。腫瘍の手術の場合に、一歩間違えて腫瘍細胞が手術後の傷の中に残ったりすると、病態をさらに悪化させることがあるためです。

化学療法は、手術の前から開始されます。使用されるのは抗がん剤で、一般に多種類の薬を繰り返し投与します。投与の開始後、多くのケースでは2カ月くらいの時期に手術を受けます。手術後も傷が治ったら、1年間は何回も投与を繰り返し続ける必要があります。

これは、肺などへの転移がない時期から予防的に投与するもので、補助化学療法といいます。転移が起こらないように、副作用が強いので多少苦しくても、補助化学療法を徹底して受けるように、努力することが大切です。もしも肺などに転移が生じた時は、その部分の手術を受ける必要があります。

手術を受け、腫瘍部を除去した、普通の健康体と同じです。たとえ下肢全体の切断術を行ったとしても、近年の義足はきわめて機能的で、日常生活にそれほど支障は生じてきません。積極的にリハビリテーションを受けて、社会へ復帰する心構えを持つことが大切です。

ただし、手術後1年間は補助化学療法を繰り返し受けることと、定期検診を医師の指示どおりに受けることが必要。補助化学療法を受けなくてよくなった後も、間隔は前ほどではなくなりますが、定期検診はきちんと受ける必要があります。 

かつては不治の病のようにいわれていた骨肉腫も、ほかのがんと同様、現在では著しく予後がよくなり、約60〜70パーセントの発症者は治っています。

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