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キャッスルマン病

極めてまれなリンパ増殖性疾患

キャッスルマン病とは、全身のリンパ節が腫(は)れ上がり、発熱や全身けん怠感などの症状が出る、極めてまれなリンパ増殖性疾患。1956年に、アメリカの病理医のキャッスルマン医師によって、初めて報告されました。

日本では現在、1500人程度しか患者が報告されていません。約10万人に1人の割合と症例が少ないため、難病指定には至っていません。

病態である腫大(しゅだい)したリンパ節から、細胞が産生する蛋白(たんぱく)であるサイトカインの一つ、インターロイキン6が過剰に生成されるのが、キャッスルマン病の原因とされています。このインターロイキン6が健常な蛋白質と結び付き、異常な免疫蛋白に変化して正常な細胞を攻撃することで、生体内でさまざまな炎症を引き起こします。 

インターロイキン6が過剰に生成される理由は、HHV8(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)などのウイルスによる感染や、強いストレスなどが推定されているものの、はっきりとしたメカニズムは不明です。

キャッスルマン病は、2つの型に分けられます。1つのリンパ節が腫れるHVH/限局型と、複数のリンパ節が腫れるPC・MCD/多発型です。

症状としては、全身のリンパ節の慢性的な腫大のほか、発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、貧血、発疹(はっしん)、寝汗などがみられます。症状には、個人差があります。

キャッスルマン病の検査と診断と治療

キャッスルマン病の診察科は病院によってさまざまですが、多くのケースでは血液内科での診察が主となっています。

病気の検査では、血液検査とリンパ節の一部摘出による病理検査が主となります。血液検査においては、CRP(C反応性蛋白物質)の上昇、免疫グロブリン上昇などが顕著に見られます。

症状がさまざまで個人差も大きいため、正確な診断や治療に至らず、診断までに数年を要するケースもあります。

例えば、キャッスルマン病の症状としての体重減少は、正常な蛋白質が変化し、栄養として体内に吸収されなくなったために起こるのですが、栄養失調などと誤った診断をされることがあります。

同じく、アトピー性皮膚炎に似た症状の発疹が、時として皮膚科などで痒疹(ようしん)などと誤った診断をされることがあります。

寝汗がひどく、枕が大きくぬれるなどの症状も、その症状や血液検査結果から白血病や骨髄腫(しゅ)などと誤った診断をされることがあります。

治療においては、1つのリンパ節が腫れるHVH/限局型の場合、その部位の切除で治療するとされます。複数のリンパ節が腫れるPC・MCD/多発型の場合、現代医学で治療方法は解明されていませんが、多くのケースではステロイド系抗炎症薬や免疫抑制剤を用いて、症状を抑えていきます。

発症後の予後が悪く余命数年ともいわれていますが、世界初のキャッスルマン病治療薬アクテムラ(一般名:トシリズマブ)などの分子標的治療薬などの投与により、その改善が期待されています。アクテムラは、過剰に生成された炎症促進物質であるインターロイキン6の作用を抑制する働きを持ち、関節リウマチなど原因不明の自己免疫疾患に対する有効性も確認されています。

ただし、免疫疾患であるキャッスルマン病は過剰に生成された異常な免疫蛋白が自己攻撃をする病ですが、アクテムラの投与などによって逆に極端に免疫力が下がるため、投与後はさまざまな感染症を避けるように生活することが望まれます。アクテムラ自体が体の発熱作用を抑える薬剤ですので、投与後の生活管理、特に発熱に関する対処はしっかりとする必要があります。

例えば、人込みを避け、街中ではマスクを装備し、激しい運動は避け、外出から戻った時にうがいや手洗いを励行するなど。 

キャッスルマン病自体は良性ですが、長期に渡るとさまざまな合併症や、悪性リンパ腫などへの変異を引き起こす可能性があります。合併症としては肺炎や腎(じん)臓の障害、肝臓腫大、脾(ひ)臓腫大などです。

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