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口内炎
口内炎とは、さまざまな原因により、口の中や舌の粘膜に起きる炎症の総称。
口の中に原因があって、比較的広い範囲の粘膜に炎症が起こる場合と、全身的な疾患の症状として口の中の粘膜に炎症が起こる場合があります。原因が不明なものも少なくありません。
一般に、口の中の傷は唾液の作用によって治りやすいといわれています。また、食物をかみ下す機械的刺激、冷たいアイスクリームや熱い茶やスープなどの温度刺激にも耐える頑丈な構造になっていながら、口の中に炎症が起こるということは、よほど重大な病変ではないかと思われがちですが、一部のがんや難病と呼ばれるベーチェット病、エイズ(後天性免疫不全症候群)の症状としてできた口内炎でもない限り、大部分の口内炎は心配のないものです。
口内炎を分類すると、症状の違いによって多くのものに分けられます。見た目からは、カタル性口内炎、アフタ性口内炎、潰瘍(かいよう)性口内炎などに分類され、痛みの有無からは、有痛性口内炎と無痛性口内炎に分類されます。
口の中の粘膜に炎症が生じると、普通は薄いピンク色の粘膜が赤くなって、カタル性口内炎、紅斑(こうはん)性口内炎という状態になります。発赤の形や大きさもまちまちで口腔(こうくう)粘膜全体に発生しますが、口唇や口角に多くみられます。
さらに炎症を放置すると、腫脹(しゅちょう)を起こしたり、粘膜の表面がただれたびらんを起こしてびらん性口内炎となります。時には、粘膜が深くえぐれた状態となって潰瘍性口内炎となります。粘膜にできた円形の浅い潰瘍をアフタといい、口腔内にアフタが多発した状態をアフタ性口内炎といいます。
ウイルスや細菌の感染が原因で起こる口内炎もあります。単純ヘルペスウイルスの感染が原因のヘルペス性口内炎や、カビ(真菌)の一種であるカンジダ菌の増殖が原因のカンジダ性口内炎などが相当します。
水疱(すいほう)ができることから始まる口内炎もあり、天疱瘡(てんぽうそう)やヘルペス性口内炎などが相当します。水疱が破れると、びらん、アフタ、潰瘍となります。
そのほかにも、梅毒、淋病(りんびょう)、クラミジアなどの性行為感染症による口内炎も知られています。特定の食べ物や薬物、金属が刺激となってアレルギー反応を起こすアレルギー性口内炎、長期間にわたる喫煙の習慣によって起こるニコチン性口内炎もあります。
有痛性口内炎には、症状として痛みを伴う口内炎が分類されます。多くの場合、口内炎には痛みが伴うのでほとんどが有痛性口内炎に属するといえます。無痛性口内炎には、痛みが起こらない口内炎が分類されます。ほとんどの口内炎は痛みを伴うため、まれにしか発生しない口内炎であるといえます。
口内炎の自覚症状としては、初めは口が荒れたり、極端に熱い物、冷たい物が染みて痛い程度ですが、進行すると接触痛が強くなり、食事がとれない、飲み込みにくい、しゃべりにくいなどの症状が出ます。
口腔外科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉(いんこう)科、内科などの医師による診断では、無痛性口内炎であれば膠原(こうげん)の一つである全身性エリテマトーデスを疑い、免疫血清や血液、尿の検査を行います。有痛性口内炎であれば、ベーチェット病などの基礎疾患が原因のこともあり、アフタ性口内炎などとの区別が難しいため、基礎疾患の検査を行います。
口腔外科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科、内科などの医師による治療では、原因によって具体的な治療法が異なるものの、多くの口内炎に共通する原則的な手当ても行います。
局所的には、うがい薬や軟こうが用いられます。ウイルスや真菌感染のように原因がわかっている場合には、それぞれに効く抗ウイルス剤、抗真菌剤を使用します。全身的な基礎疾患によるものでは、それぞれに応じた薬を使用しますが、その場合でも口の中を清潔にすることが大切です。
アフタ性口内炎などの小範囲のものについては、ステロド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の入ったケナログ、アフタゾロンなどの口腔用軟こう、アフタタッチなどの付着性の錠剤による局所療法を主体に行います。抗アレルギー剤、ビタミン剤、鎮痛消炎剤、漢方薬などの内服治療を施すこともあります。
予防としては、体力の低下時に口内炎を発症しやすいので、疲労をためずに十分な睡眠をとること、栄養のバランスのとれた食事をとること、過度の飲酒を避け、精神的ストレスをためないことが重要です。
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