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汗孔角化症
汗孔角化(かんこうかくか)症とは、直径数ミリから数センチの大きさで、赤や茶色の円形または環状の形をした、平たく少しだけ盛り上がったカサカサした皮疹(ひしん)が、四肢を中心として、全身の皮膚に多発する疾患。
男性に多く、自覚症状が乏しいことが多くなっています。皮膚の症状はよくなったり悪くなったりして、基本的に慢性的かつゆっくり症状が経過します。時にしこりのようになり、皮膚がんに移行する例もあります。
以前は、汗の出口である汗孔が厚みを増して硬くなる角化異常が関与していると考えられていましたが、今は、皮膚病変が汗孔に限局しないことがわかっています。
皮疹の分布や経過により、古典型(ミベリ型)、日光表在播種(はしゅ)型、表在播種型、線状型、掌蹠(しょうせき)播種型、限局型の病型に分けますが、明確でないことも多くみられます。
古典型(ミベリ型)汗孔角化症は、手足や顔面に小型の皮疹が左右対称に数個、散発性に生じます。常染色体優性遺伝の疾患で、親子や兄弟がともに発症することがあります。 日光表在播種型汗孔角化症は、特に日光に当たる腕や足の外側に小型の皮疹が多数現れます。皮疹が融合することもあります。
表在播種型汗孔角化症は、常染色体優性遺伝の疾患で、紫外線が皮疹を誘発していると考えられています。症状は日光表在播種型とほぼ同様ですが、日光が当たる部位以外にも皮疹が多数現れます。皮疹は、円形ないしは楕円(だえん)形の不規則な環状の隆起局面で、中心部の皮膚は委縮しています。
線状型汗孔角化症は、生まれた時から幼少期までの間に、体の一部分の皮膚に集中して皮疹ができ始め、線状、帯状に現れます。
掌蹠播種型は、手のひらや足の裏に角化した小さな皮疹が多数現れます。全身に拡大することもあります。
限局型は、限られた部位に大型の皮疹ができます。
発症の原因として、常染色体優性遺伝、外傷、加齢、紫外線、放射線、免疫抑制状態、肝炎ウイルスなどが考えられています。
日本人の400人に1人は、汗孔角化症を発症する生まれ付きの素因を持っていると見なされています。さらに、そのような人では、日光に含まれる紫外線に当たるなどにより後天的に皮膚細胞のゲノムが変化すると、汗孔角化症の症状が全身の皮膚に多発することになります。
汗孔角化症を発症する人は、メバロン酸経路の酵素をコードするMVD、MVK、PMVK、FDPSなどの遺伝子に、生まれ付きの変化(遺伝子変異)を1つ持っています。人の細胞は遺伝子を2つずつ持っているため、遺伝子の片方が変化して働かなくても、もう片方がスペアとして働き、通常は何も問題は起きません。
しかし、皮膚細胞のゲノムに生じた後天的な変化によって、MVD遺伝子などが2つとも働かなくなった細胞が汗孔角化症の皮疹を作り、後天的な変化が胎児期に1度だけ生じると線状型汗孔角化症になり、大人になってから後天的な変化が皮膚のあちらこちらで何度も生じると、表在播種型汗孔角化症になります。
皮膚がんに移行することがあるので、皮膚病変に気付いたら、皮膚科専門医を受診して正しい診断をつけてもらい、適切な治療を受けることが必須です。
皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍(しゅよう)科、小児科の医師による診断では、典型的な皮膚の症状では、見た目でも確定できます。
尋常性乾癬(かんせん)、表皮母斑(ぼはん)、疣贅(ゆうぜい)、扁平苔癬(たいせん)、日光角化症などの疾患と鑑別する必要があり、区別が難しい時は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる生検をすることがあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科、小児科の医師による治療では、確立された治療法
は存在していないため、遮光のほか、外用薬や内服薬の使用、外科的な処置をします。
しかし、治療に抵抗性を示し、なかなか治療効果が出なかったり、再発したりすることが多く見受けられます。皮膚がんに移行した場合は、手術による治療が必要です。
外用薬は、主にサリチル酸ワセリンや尿素軟こうといった角質溶解剤、ビタミンD3軟こう、保湿剤を用います。内服薬としては、レチノイド(エトレチナート)を用いることがあります。
外科的な処置などによる治療としては、液体窒素による凍結療法、切除手術による治療のほか、炭酸ガス(CO2)レーザーやルビーレーザーなどのレーザー治療を行うことがあります。
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