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拡張型心筋症


心筋の細胞が変質して、心室の壁が薄く伸び、心臓全体が拡張する疾患

拡張型心筋症とは、心臓の筋肉組織である心筋の細胞の性質が変わり、正常な心臓と比べて心筋が薄く伸び心臓全体が拡張する疾患。

その結果、とりわけ血液を全身に送り出している左心室の壁が薄く伸びて、心筋の収縮機能が低下し、十分な血液を全身に送れなくなります。十分な血液を送れなくなると、それを補うため心臓は容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。

しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡張し、心筋もさらに引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって、心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。

心臓の収縮機能が低下して全身に十分な血液がゆき渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう指令が出る一方、腎臓(じんぞう)では尿として排出される量が減り、そのぶん、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます。

この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症の人は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になった場合はどのようにして悪循環から脱出するかが重要になります。

発症するのは60歳前後の人が多いという報告もありますが、10歳以下の子供から高齢者まで幅広い年齢層に発症します。また、男女比を見ると、2・6:1と男性に多い傾向がみられます。

遺伝子やウイルス感染、免疫反応などが拡張型心筋症の原因と考えられ、一部は原因がわかるようになってきましたが、多くは不明のままです。原因がわからない拡張型心筋症は、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されているため、医療費の自己負担分が公費で支払われる場合があります。

最初のうちは自覚症状がないことも多く、なかなか疾患に気が付かない人もいます。しかし、心不全が重くなると症状が現れてきます。

初期には疲れやすくなったり、運動時や坂道・階段の昇降時などに動悸(どうき)や息切れを感じたりという症状が現れ、ひどくなると安静時にも症状がみられるようになり、夜間発作性呼吸困難が出てくることもあります。夜間発作性呼吸困難とは、夜、眠りについて数時間たったころに突然起こる強い呼吸困難のことです。横になったことで下半身の血液がより多く心臓へ流れ込み、肺全体が血液で満たされ、肺がうまく酸素を取り入れられなくなって起こります。

もっと重症になると、不整脈が起こったり、全身にむくみが出たり、肝臓がはれたり、むくみにより体重が増加したり、胃腸粘膜のむくみにより食欲が低下したりします。また、全身への血液供給の低下により、全身倦怠(けんたい)感、手足の冷感、日中の尿量や尿の回数の減少などが起こります。

脈が通常よりも早くなる心室頻拍や、心筋の収縮が失われてけいれんする心室細動といった危険な不整脈が起こると、突然死する場合もあります。

拡張型心筋症の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状、身体所見や、胸部X線検査、心電図検査、心臓超音波検査(心エコー)、冠動脈造形などの各種検査の所見により判断します。

そのほか、詳細な心臓の画像を作成できるMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、心臓の機能の詳しい情報がわかる心臓カテーテル検査、心筋生検による組織検査を行うこともあります。

診断の基本は、心不全の重症度、その原因となる心室拡大と左心室の収縮機能低下の程度を評価することにあります。

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では一般的に、長期間にわたる安静と減塩食、水分摂取制限が必要です。

心筋の収縮機能の低下に対しては通常、強心薬のジギタリス、利尿剤、降圧剤の一種のACE阻害剤の3つを使用し、症例によってはβ(ベータ)遮断剤が有効なこともあります。

すべての薬剤が無効な場合には、心臓移植が検討されます。

拡張型心筋症で多く出現する頻拍性不整脈に対しては、抗不整脈薬を使用します。しかしながら、心筋の収縮機能の低下している拡張型心筋症では、抗不整脈薬の使用で、さらに収縮力を低下させることは不利であるため、使用には十分な注意が必要です。

突然死のリスクが高い場合は、植え込み型除細動器による治療を行うこともあります。

また、拡張型心筋症を発症した場合、医療機関での治療のほかに日常の生活習慣を改善することも重要です。適度な運動、禁煙や節酒、ストレスの管理、体重の管理などが必要となります。

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