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足関節脱臼骨折
足関節脱臼(だっきゅう)骨折とは、足関節すなわち足首の関節を構成する脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)が骨折し、それぞれの骨をつなぐ靭帯(じんたい)が強く損傷を受け、足関節が外れてしまった状態。
足関節脱臼骨折は、足関節に対しての直接的な外力や重度の捻挫(ねんざ)などを切っ掛けとして発症します。具体的には、交通事故やスポーツ外傷、足の踏み違え、道路の穴や段差による転倒、階段や高い所からの転落などに関連して生じることがあります。
また、内側に足をひねるのか、外側に足をひねるのか、足関節に対してどの方向から衝撃が加わるかによって、骨折が生じる部位や靭帯が損傷を受ける部位は異なってきます。
発症すると、足関節の痛みやはれ、皮下出血、変形などの症状が現れます。特に変形は見た目にもわかるほどであり、足の真っすぐさが失われてしまい、障害を受けた部位がゆがんで見えます。骨折がひどいと、骨片の端が皮膚を突き破って外に出て、出血することもあります。はれがあまりに強くなると、血の巡りが悪くなって悪循環を起こし、血の流れが止まって筋肉や神経が死んでしまうことがあります。
足関節は体重が多くかかり、歩行に際して重要な役割を果たす関節であるため、足関節脱臼骨折を生じると、痛みや変形のために、体重をかけて歩行することができなくなってしまいます。
後遺症を減らすためには、早期のギプス固定や手術が重要です。長期的にみると、骨折と脱臼の治癒過程においても後遺症が生じることが少なくなく、変形性関節症に至るケースもあります。その場合には、疼痛(とうつう)が持続しさらなる治療が必要になります。
自身の症状が足関節脱臼骨折でないかと危ぶまれる際は、整形外科のクリニックか、近くの総合病院の救急外来を受診することが勧められます。痛みで全く立ち上がれない際には、救急車での受診が適切です。
実際に整形外科のクリニックを受診した場合には、足関節脱臼骨折の診断は診察とX線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で行います。診断が足関節脱臼骨折で手術が必要な場合には、行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。結果的に足関節脱臼骨折ではなく筋肉の問題であれば、整形外科のクリニックで対応が可能です。
総合病院の救急外来を受診した場合は、相対的に待ち時間が少ないというメリットがある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多くて、待ち時間が長く、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。
整形外科、救急外来などの医師による診断では、内側に足をひねったのか、外側に足をひねったのかによっても、骨折が生じる部位や靭帯が損傷を受ける部位が異なるため、いつ、どこでどのように発生したのかなど受傷機転を含めて、詳細な身体診察をして障害部位を特定します。動脈損傷や神経損傷がないかどうかの確認も行います。(動脈が触れるか、感覚は残っているかなど)も行われます。
また、X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査といった画像検査も行うことで、骨や靭帯などの損傷の程度、骨のずれ具合などを評価します。
整形外科、救急外来などの医師による治療では、骨折で生じている骨のずれ(転位)が少ない場合や、徒手整復で整復位が得られれば、ギプスによる外固定で保存的に処置します。
整復位が得られても保持が難しく不安定性が強い例や、十分な整復位が得られない場合は、少しでも骨のずれがあれば手術を行います。骨のずれや脱臼を元の位置に戻しつつ、骨折部の固定や靭帯損傷の修復などを手術的に行います。
骨がずれたまま固定されると、足関節のすり合わせが悪くなり、将来、関節の軟骨が片減りして、痛くて動きが悪くなり歩けなくなります。軟骨がなくなってからでは、手術で関節を固定して動かなくするしか方法がなくなるので、正確に骨を戻して整復し、早くから関節を動かす訓練ができるように、しっかりと金属のスクリュー(ネジ)や金属のプレート(板)で固定し、ギプスで外固定することになります。
手術後には、症状や病状の回復状態をみながら、徐々に足に荷重をかけつつ運動負荷を上げていきます。この際、自己流のリハビリテーションを行うのではなく、専門的知識を持った理学療法士といった医療従事者の下で運動を行うことが重要です。
骨が付くには6週間かかりますが、ギプスでの外固定は3週間程度にとどめ、その後は取り外しのできる固定装具に変えて、痛みに耐えられる範囲で足関節の運動を開始します。X線検査の写真で骨が付いたことを確認したら、体重をかけた運動を開始します。最初はプールの中で歩く練習から始めるのが理想的です。
長期的後遺症として、関節の軟骨が片減りして痛くて動きが悪くなる変形性関節症を生じた場合は、症状により関節内注射や、骨切り術や関節形成術などの手術を選択することになります。
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