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咽喉頭異常感症



咽喉頭部や食道には病変がないのに、違和感や胸痛などを覚える疾患

咽喉頭(いんこうとう)異常感症とは、咽喉頭部や食道そのものに病変がなく正常にもかかわらず、違和感や胸痛など覚える疾患。耳鼻咽喉科領域では咽喉頭異常感症と呼ばれますが、内科・精神科領域ではヒステリー球、ヒステリー球症候群、食道神経症とも呼ばれます。

症状は、咽喉頭部や食道にヒステリー球と呼ばれる球状の塊が存在している感じ、圧迫感、イガイガ感、食べ物が食道につかえる感じ、胸焼け、吐き気、胸部圧迫感、胸痛など多彩です。

発症者の多くは女性で、ストレス、自律神経失調症、情緒不安定、貧血などが背景にあります。ストレスから自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になると、咽喉頭部や食道付近の筋肉が過剰に収縮して食道の内腔(ないくう)が細く締め付けられてしまうためです。

しかし、いたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、発症者が不安を持つ食道由来の胸痛の原因としては、胃食道逆流によるものが多くみられます。そのほかに、食道運動機能異常、食道知覚過敏、精神疾患との関連があり、これらが相互に関係して発症することが多いようです。

中年女性では、食道通過障害の症状のほかに、鉄欠乏性貧血、舌炎を合併するプランマー・ビンソン症候群という疾患もあります。食道上部にある慢性食道炎が通過障害の原因とも考えられていますが、こちらも食道そのものに病変は認められず、心因性要素も関係しているようです。

症状が続き、心配していても改善しない時は、耳鼻咽喉科や内科を受診して、異常のないことを確認してもらうと早くよくなります。異常がなければ、心療内科の受診も検討してもらえます。

咽喉頭異常感症の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科、内科の医師による診断では、口腔視診、鼻副鼻腔咽喉頭内視鏡検査、副鼻腔・頸(けい)部CT(コンピュータ断層撮影)検査、超音波(エコー)検査、頸部X線(レントゲン)検査、上部消化管内視鏡検査、喉頭アレルギーに関する問診、血液検査、精神症状に関するアンケート検査などを行い局所・全身疾患の鑑別を進めます。

胸が何となくおかしいなど、食道由来の胸部違和感や胸痛を訴える症例の多くは、胃液が食道に逆流して起こる胃食道逆流症が主な原因です。この診断のためには、まず心電図や心臓エコー検査を行って心臓疾患を否定します。次に内視鏡検査やバリウム造影で食道を調べます。

ここで胃食道逆流症による食道粘膜の病変の存在が確認されれば、そのまま治療に入ります。通常は、酸分泌抑制薬の内服が選択されます。

前記の検査で胃食道逆流症が証明されない際には、食道内酸逆流の程度を食道内腔に設置したpHセンサーで証明する方法が最も確実です。近年では鼻から挿入する有線型のセンサーではなく、食道内に固定する無線式のセンサーが使用できるようになっています。

以上の食道の内視鏡検査や食道内のpHのモニタリングで病変が観察されない場合は、心臓の精密検査となります。この目的は、虚血性心疾患の診断です。心臓の冠動脈造影で異常がみられる場合には、心疾患の治療を行います。冠動脈造影で異常が認められず、胃食道逆流症も否定される場合には、骨格筋由来の胸痛の検査に入ります。

最近では、心臓に異常を認めない非心臓性胸痛(NCCP)という概念が普及しています。非心臓性胸痛の約半数は、胃食道逆流症によるものと考えられています。従って、最も専門的な治療経験が要求される咽喉頭異常感症をいたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、順序を追った検査体制で診断を進めていくことが大切となります。

精密検査を進めても、咽喉頭部や食道などに病変がなければ、無治療で経過観察も可能です。治療を希望する場合、心療内科の受診を勧め、過敏になっている神経を沈めるための鎮静薬や精神安定薬が投与されます。また、抱えている問題やストレスになっている原因を突き止め、その問題についてのカウンセリングを行うことで、自然と咽喉頭部や食道の違和感、胸部の違和感が消えていくこともあります。

日常生活では、運動や趣味に励み、精神的、身体的機能を高めることが望まれます。

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