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アレルギー性気管支肺アスペルギルス症



大気中に浮遊する真菌の一種に対してアレルギーを起こすことから発症

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは、アスペルギルスという大気中に浮遊する真菌(かび)に対してアレルギーを起こすことから発症する疾患。気管支喘息(ぜんそく)を基礎疾患に持つ人において発症することが多い疾患で、慢性的な咳(せき)や喘鳴、息苦しさなどの症状が生じます。

アスペルギルスは糸状真菌の一種で、多くは自然界に広く分布し、200以上の種類が知られています。堆肥(たいひ)、断熱材、エアコンまたはヒーターの吹き出し口、手術病棟および病室、病院の備品、浮遊粉塵(ふんじん)などに高頻度に分布していますが、人に疾患を起こすのは、アスペルギルス・フミガータス、アスペルギルス・フレーバス、アスペルギルス・ナイジャーなど数種類に限られています。

この環境中に広く生息するアスペルギルスは、特殊な状況を除き、人に対して大きな健康被害をもたらすことはありません。しかし、アスペルギルス・フミガータスなどに対してアレルギー反応を起こす人がおり、このことを原因として発症する疾患がアレルギー性気管支肺アスペルギルス症になります。

気管支喘息を基礎疾患に持つ人がアスペルギルス・フミガータスなどを吸い込むと、気管支と肺が過敏に反応して発症することが知られているほか、先天性疾患の一つである嚢胞(のうほう)性線維症と呼ばれる疾患を持つ人も発症するリスクが高いことが知られています。

なお、アスペルギルスと関連した疾患としては、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症以外にも、慢性肺アスペルギルス症、侵襲性肺アスペルギルス症もあります。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症すると、気管支喘息の際にみられるような慢性的な咳、呼吸のたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などといった音を伴う喘鳴、息苦しさなどの症状が現れます。また、痰(たん)に血液が混じることもあります。気道系に関連した症状以外にも、発熱や食欲不振、頭痛、全身倦怠(けんたい)感、胸痛なども生じることがあります。

病状が進行すると、肺の組織が徐々に破壊されて、肺線維症や気管支拡張症と呼ばれる不可逆的な病変を来すことがあります。

呼吸器症状に気付いたら、呼吸器疾患専門医のいる病院を受診します。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の検査と診断と治療

呼吸器科ないしアレルギー科の医師による診断では、喘息症状からアレルギー性気管支肺アスペルギルス症を疑い、血液検査、皮膚反応、胸部X線(レントゲン)検査、胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査、喀痰(かくたん)検査などを行います。

血液検査では、アスペルギルスに対してアレルギー反応を起こしていることを確認するために、アスペルギルスに対しての抗体が体内に存在していないか、アレルギーを思わせる好酸球やIgE抗体の増加がないかなどを確認します。アスペルギルスの抗原を直接皮膚に接種し、どのような反応を示すかを観察することもあります。ほとんどの場合、アスペルギルスに対する即時型皮膚反応が陽性です。

胸部X線検査では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の場合、異常な影の存在を画像にて指摘できます。また、異常な影は時間経過とともに移動することも特徴的です。症状が類似する気管支喘息では、このような変化が見られることはなく、両者の鑑別に有益です。胸部CT検査では、気管支の内側に痰が詰まったり、気管支が拡張した変化が画像にて認められることがあります。

喀痰検査では、痰が黄色くドロッとした性状であるのが特徴的で、気管支喘息のみでは見られない性状を示します。

呼吸器科、アレルギー科の医師による治療では、通常の気管支喘息の治療に加えて、アレルギー反応を抑えることを目的としたステロイド剤の内服治療を行います。

治療が遅れたり不十分であったりすると、肺に線維化といわれる変化や気管支拡張を来たして元に戻らなくなることがあります。その場合、呼吸不全になり酸素療法や呼吸リハビリテーションが必要となることがあります。

ステロイド剤の内服治療は長期間続ける必要がありますが、症状が改善したり、画像検査で認められる一過性、移動性もしくは固定性の影が改善すれば、徐々に減量していきます。ステロイド剤には多くの副作用があるため、副作用を予防するための治療薬も併用しながら、適正容量を決定して治療を行います。治療の効果が不十分な場合は、真菌の増殖を阻止する抗真菌剤を併用することもあります。

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