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アダムス・ストークス症候群



不整脈などの心臓の異常により、脳への血流量が急激に減少し、脳が虚血状態に陥る症状

アダムス・ストークス症候群とは、急に発生した不整脈などの心臓の異常により、脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、脳が虚血状態に陥る症状。

疾患名は、1800年代前半にアイルランドの2人の内科医、ロバート・アダムスとウイリアム・ストークスがそれぞれ、心臓の拍動がゆっくりになる徐脈に伴う失神発作の症例を報告したことに由来します。

脳が虚血状態に陥るため、めまい、意識消失(失神)、けいれんなどを起こします。通常は数分程度で回復しますが、回復しない場合もあり、その際は死に至ることもあります。

症状は、不整脈の種類や異常の継続時間によって異なります。
  
脳の虚血状態が非常に短時間の場合は、めまい、一瞬意識が遠のく、一瞬手足の力が入らなくなるなどの症状が生じます。心臓の異常が数秒以上続いた場合は、意識消失などの意識障害を起こし、尿失禁、全身けいれんなどの症状が生じることもあります。
  
通常は数秒から数分程度で意識が回復しますが、心臓の動きが元に戻らない場合は、死亡するケースもあります。意識が回復した場合は、アダムス・ストークス症候群とされます。死亡した場合は、心臓まひや突然死と呼ばれることになります。

血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが、心臓の上大静脈と右心房の境界あたりにある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させ、この電気刺激が右心房の壁から右心室の境界近くにある房室結節に伝達されることにより、心臓を規則正しく収縮させています。
  
洞結節で発する電気刺激の経路である刺激伝導系に障害が生じると、心臓が収縮しなくなり不整脈や心停止を来します。これにより脳に血液が送られなくなり、意識障害やけいれんなどを引き起こし、アダムス・ストークス症候群を生じます。
  
アダムス・ストークス症候群の原因は、5割から6割は刺激伝導系に障害が生じる房室ブロックによって心臓の拍動がゆっくりになる徐脈性不整脈、3割から4割が洞結節の働きが鈍くなったり心房が侵される洞不全症候群による徐脈・頻脈混合型不整脈とされ、ほかに心室頻拍や心室細動などによって心臓の拍動が速くなる頻脈性不整脈があります。さらに、心房粗動や心房細動でも、心房から心室への伝導が過剰に高進すると高度頻脈となり、脳の虚血に陥ります。

アダムス・ストークス症候群は、前兆がなく突然起こるため予測や予防は困難です。最初はめまいなどの軽い症状ですぐに消失しても、数時間後、数日後に繰り返すことがあるので注意が必要で、早期に循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科など循環器専門医の診察を受けることが勧められます。

アダムス・ストークス症候群の検査と診断と治療 

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、不整脈が起きている時に心電図検査を行うことで診断がつきます。

循環器科、循環器内科などの医師による治療では、心臓の拍動がゆっくりになる徐脈が原因である場合は、意識消失発作の予防としてペースメーカーの埋め込み手術を行います。ペースメーカーは、遅くなった自分の脈の代わりに、心臓の外から電気刺激を与える装置です。この装置の埋め込み手術は、肩の皮膚の下に電気刺激を発する小さな電池と、その刺激を心臓に伝えるリード線を入れるだけですから、局所麻酔で簡単にすますことができます。

また、心臓の拍動が速くなる心室頻拍、心室細動の再発が危ぶまれる時には、頻脈発生に際して、それを電気的に停止させる植込型除細動器(ICD)の植え込み手術を行います。植え込み型除細動器は通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。

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