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炎症性乳がん



まれに発生する特殊なタイプの乳がんで、非常に治りにくい種類

炎症性乳がんとは、乳房の皮膚が赤くはれて、オレンジの皮のような外観を示すタイプの乳がん。

まれに発生している特殊なタイプの乳がんで、非常に治りにくい種類です。乳がん全体の約1パーセントを占めます。

一般的な乳がんと同様、40~50歳代に最も多く発症しますが、全年齢において発症する可能性があります。

主に乳頭周辺に症状が出現し、はっきりしたしこりはなく、乳房の3分の1以上の皮膚が赤くはれて、あたかも炎症を起こしたかのように見えるのが特徴です。

さらに、乳房の皮膚がザラザラして、でこぼこになり、毛穴が目立つようになります。まるでオレンジや夏みかんの皮のような外観を示すため、オレンジ皮様皮膚、橙皮(とうひ)状皮膚などと呼ばれることもあります。

また、比較的短期間のうちに乳房が大きくなることも特徴の一つです。乳房が熱を持つように感じ、かゆみが出ることもあります。これらの症状はほとんどの場合、片側の乳房だけにみられます。

しかし、実際は皮膚炎などではなく、がん細胞が乳房のリンパ液の流れをブロックすることにより、皮膚に症状が出たものです。

皮膚の下には、網の目のように張り巡らされたリンパ管があります。このリンパ管の中に、乳管で発生したがん細胞が入って増殖し、詰まりを起こすために、リンパ液の流れが停滞し、乳房の炎症やはれを引き起こします。

さらに進行すると、乳房に潰瘍(かいよう)ができることもあります。ここから分泌液が染み出したり、出血することがあります。潰瘍に細菌などが感染すると、臭いを発するようになります。

まれな乳がんではあるものの、乳がんの中では比較的進行が早く、転移も起こしやすいことから、悪性度の高いがんといえます。

診断がついた時には、すでにほかの部位に転移しているケースも多く、その皮膚の症状や急激な進行から、急性乳腺(にゅうせん)炎と誤診されることも珍しくありません。乳房に赤みやはれが認められたら、皮膚科のみならず、乳腺外科を受診してみることが勧められます。

炎症性乳がんの検査と診断と治療

皮膚科、乳腺外科の医師による診断では、しこりがないケースが多いため、一般的な乳がんで有効なマンモグラフィー(乳房X線検査)、超音波(エコー)検査などでわからないことがほとんどです。

乳房の皮膚を一部採取し、顕微鏡で調べる生体検査が、最も確実とされています。生体検査を行い、皮膚やその下にあるリンパ管に、がん細胞が存在しているのが確認されれば、炎症性乳がんと確定します。

皮膚科、乳腺外科の医師による治療では、抗がん剤による化学療法を中心に、症状に応じて乳腺の動脈に直接抗がん剤を注射する方法や、放射線療法、ホルモン療法などが選択されます。

乳房を切除する手術をした場合でも、手術後の化学療法を継続することで、5年生存率は約50パーセントまでに上昇しています。

以前は、乳房を切除する手術のみの治療が主に行われていましたが、その結果は思わしくないもので、患者のほぼ全員に再発がみられ、5年生存率はわずか17パーセントであったとのデータがあります。

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